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映画 ダークナイト 感想/紹介


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1. 2009/01/14 映画 > 映画 ダークナイト 感想/紹介」
[この書込みのみ表示(記事URL紹介用) / 編集 / 削除 / トラバ送信 / 共有分類に追加(タグ付け)]拍手:5個

バットマンビギンより始まったバットマン新シリーズ2作目、dark knightを観たので感想を。

正義は堕落し、悪は栄える。警察官をはじめとした公務に殉じるはずものもは汚職にまみれ、或いは目の前の悪に目をつぶる。ゴッサムシティは既に悪に染まり、すべての正義を飲み込む場所であった。
バットマンが悪に対し、恐怖を与えることによって悪を押さえつけ、秩序と法を取り戻すことに成功したかに見えたが、水面下に潜んでいたより純粋な悪が力を得てゴッサムを覆う。その悪こそバットマンの永遠のライバルとされる混沌と無法の申し子、ジョーカーだ。
そして、時を同じくしてバットマンが行っていた恐怖による法と秩序を人望によってより確かなものにしようとするものが頭角を現す。光の騎士と称えられる地方検事ハーベイ・デントである。

ダークナイトはバットマンが抱える自己矛盾や限界をジョーカーとデントという鏡が映し出すバットマンの敗北を描いた作品だ。
特別な能力といえば人より少し頭が切れ、少し強いだけ。誰かの無しでは存在できず、非力だからこそ正体をひた隠しにし、闇に紛れるしかない。闘いを有利に運ぶには犯罪という力に手を染めていくしかない。ならば「正義」の為にどこまで「力」を振るうのか。

ゴッサムシティの警察の中で正義を求めるジム・ゴードンとハーベイの協力を得てゴッサムに巣くう悪を一掃できる段階に入ろうかというとき現れた犯罪を快楽とするジョーカーに対し、後手に回り追いつめていたはずが逆に追いつめられていく。
闇に身を起きながらも秩序と法に自らの存在理由を成り立たせているバットマンが追いつめられたとき、力とアイデンティティの境界が次第に崩壊していく。

アメコミヒーローを扱った映画は重厚さを出すために演技派の俳優を起用するという。ダークナイトはその文句に違うことなく演技に目を見張るものがあった。特にジョーカーの演技は圧巻。狂気という力を存分に見せつけ、すべての存在を食ってしまっているほどだ。

150分という長い映画だが、起承転結を複数作って連続させていく構成や俳優の演技、そして重厚でどんでん返しが何度も起こるストーリーの展開とピリッとしたアクションも手伝って飽きずに観ることができる。

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ヒーローに憧れる犯罪者

バットマンは一般的な観点から見れば立派な犯罪者だ。不法侵入、拉致、傷害に脅迫、道路交通法なんかも破りまくりでその上法を守るべき立場にある警察上層部や検察官との癒着によりこれらの罪から逃れている形になっている。さらに有り余る金とお抱えの優秀な技術スタッフ、そして鍛えぬ枯れた体と精神はすべての行動の制約をすり抜ける。
質の悪い超一流の犯罪者というわけだ。

だからこそ秩序と法を求めるブルース・ウィルスはバットマンのもつ犯罪という力にルールを課す。それが「一般市民に手を出さないこと」「人を殺さないこと」だ。どんなに崇高な目的の上でも、このルールを犯したとき、バットマンはヒーローとしての資格を失うことになる。そして、それは同時に協力者の信頼も失うこととなり、バットマン自体が存在できなくなる。手段はどうであれ、ヒーロー足り得ようとするエゴ、これがバットマンの悪としての限界である。

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闇の鏡、ジョーカー

これに対し、ジョーカーは狂気と頭脳を武器にバットマンときわめて近いことをやってのけることができる。だが、ジョーカーには縛られるルールはない。犯罪そのものが目的だから悪のルールにすら縛られないのだ。犯罪という力を軸にして、生い立ちや混沌と無法を求めるジョーカーはバットマンと対照のそんざいとなっている。

バットマンは対症療法的にジョーカーの行動に対応するしかないため常に後手に回るという2重の不利を抱えることになる。
バットマンを始末することによって金を得ることが当初の目的であったはずが、次第に自分と対象の存在であるバットマンと関わることが目的となっていく。それに従い、行動も常軌を逸したものとなり、ブルースの理想にとって致命的なものとなっていく。自らのルールが邪魔をして2手3手おくれて対応しなければならないバットマンは自らのルールの線引きを改めて迫られることになる。

ジョーカーは言う。ルールなんか破っちまえと。

だが、ルールを破るといことはジョーカーと同等の存在になってしまうということ。それはバットマンの死を意味する。
そして、バットマンによる圧迫によって力を得た恒久の悪、ジョーカーがバットマンを自己の存在理由として位置づけるように、バットマンは永遠に存在できる理由としてジョーカーを必要とする。

自らのルールと恒久の悪の消滅が自分の存在価値の消滅となるためバットマンはジョーカーを殺せないのだ。
たとえ自分の大切な物を奪ってしまう結果になってしまっても。

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光の鏡、ハーベイ

バットマンの光の面を象徴するブルースはバットマンが光を浴びることができない存在であることを理解している。だからこそ光への渇望も強い。簡単に言うとバットマンをやめたいのだ。前述していることと矛盾しているがこれもまた確かなことである。
ブルースにとっての光とは好意を寄せる女性、レイチェルとの生活とゴッサムを正すこと。だが、バットマンという闇は仮にゴッサムを正したとしても光の当たる場所にでることは許さない。そして、また、レイチェルと一緒になることを拒む。

そんなブルースと対になる存在がハーベイだ。高潔で意志が強く、検事という、秩序と法の番人にして人望という光の力を持つハーベイ。闇に染まることなくゴッサムを正す可能性をもち、レイチェルの側にいることができる。求めるものという軸を中心にブルースと対照となる人物として描かれている。

ブルースの限界はバットマンとしてゴッサムに戻ってきたということ。ハーベイもまた、バットマンの存在なくして頭角を表すことのなかった人物であり、バットマンありきの光の騎士であるがそれ故に、本来ブルースが持つことができたはずの物がことごとくハーベイにこぼれ落ちるという実に皮肉な関係だ。

ブルースがバットマンを殺す為には光の力を持つ物が跡を継がなければならない。バットマンを殺したいブルースは決して光の騎士を殺すことができない。

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ダークナイトはバットマンの限界と覚悟を2つの鏡を用いて浮きだたせる物語だ。バットマンは消して自分の映る鏡を壊すことができない。それが限界を露呈させ、ヒーローではなく、秩序と法に忠誠を誓う闇の騎士として歩む覚悟を決めさせられる。

ヒーローになれない犯罪者、それがダークナイトで語られるバットマンの魅力だろう。

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