闇沼asukaの旅日記


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鳳凰は雌雄の二羽、鸞(らん)である。二槻(ふたつき)二神(ふたがみ)という氏姓もある。
仏教語に双神アシフィン、アソカ大王があり、これがアスカと転訛して飛鳥となったらしい。
アスカとは双神(二神)、ふたつの月宇宙のことなのだ。 『月の本』林完次
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11/08/27
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1. 2012/03/26
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2. 2011/08/28 「『困ってるひと』――大野更紗(おおの さらさ)」 分類: 話の話
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ポプラビーチで連載 http://www.poplarbeech.com/komatteruhito/index.html ツイッター@wsary


が面白い。(単行本すでに6月に発売されてて今さらだし。すんません)

今、もっとも注目を集める福島のド田舎「ムーミン谷(注:著者命名)」で半ば野生化しながら棲息していた「原発チルドレン」であり、

上京して上智大学のおフランス語学科でビルマの難民問題に精力的に取り組んでいたという、

些か混沌としたパーソナリティを有していた一女子がある日突然、世にも稀な奇妙な難病に罹り、

何の因果か、自らが日本の社会制度というアマゾンで遭難・難民化し、前人未到のジャングルを旅した遭難記・大冒険記。

そして彼女のパーソナリティはカオスの縁で更なる多様性と混沌へと向けて進化を遂げるのであった。

すべての旅がそうであるように(なのか?)ユニークな一女性の自己発見と、現在位置(日本社会の現実)把握の旅の記録でもあり、

即物的な人体の神秘に瞠目するアメイジングエクストリーム難病記である。

「難民」とは国境の向こうでも遠いどこかでもなく今、ここに、自らの足元にこそいた、ある日突然いつ何時、自らさえそうなりうるという発見。

「難」は常に自分が今いる足元、今、ここに揺さぶられ目覚める時を待って眠り潜在していただけなのだ。

人は誰もが『社会』というモンスターの腹の中に食われている。

ということを人は「難」にぶちあたって初めて自覚する。

「生」という「困難」だらけの険しいジャングルを道ゆく、すべての旅人たちへの一指南書。



それにしても震災前から常々思ってたけど、政治や制度を小回り利くようにして不備は整備しとかないとイザ危機が起きたとき、

偽りの凪の中で無駄に増設に増設を重ねた船みたいに、

どんな大波小波の危機も回避できないどころか、自らの鈍重さに自沈してくだけだろーがと思ってたけど正にそうなりそうな予感。

大野さんも震災前からこの本を書いていた目的の一つは、自身の特殊な不幸をひけらかすことではなく、

誤魔化しようがなく瓦壊し始めた日本社会の、綻びと亀裂の渦中に身を置いた危機感からの警鐘だったと思う。

著者が見てきた医療制度崩壊の現実は、どんなホラーよりも心胆寒からしめられる。

医療制度だけではなく、日本の中で、いつ難民となってしまうかもわからない、

自分たちの足元がどれだけ危うく脆弱な基盤で成り立っているかということを、遠い専門用語で気負うことなく仰々しい悲観でもなく、

身体的に自分の足元の範囲内から認識させたいという意図があったのではないだろうか。

この書は、今の日本社会の中で難民化し、漂流した(今もその渦中にいる)生還者の実録記なのだ。

大野さん身体張りすぎ。

でも文字通り生きたまま身体を切り裂かれる生と死の淵と、現実の最果てから生まれた言葉だからこそ、真実が宿ってるんだと思う。

しかし生きるための医療行為が、とある国の政治犯への拷問を超えるかと思われるほどシンクロするという現実の奇妙さと、

自らの人生においてその両極端の二つを経験的に繋げてしまえるのはどんな芸人も真っ青の著者の才能だと思う。

遠い発展途上国の難民、今ここにいる日本社会の中の難民、医療行為と政治犯への拷問、助けられる者と助ける者、

一見遠い溝に隔てられたそことここを繋げ、転倒し、実は表裏一体だった真実を一瞬にして裏返して見せてしまえる手技はすごいと思う。

・・・

現在は難病闘病に加え、故郷の福島で震災、ご実家が原発災害をもろにかぶるなど「難」が雪崩の如し……

そんな日本社会の「難」だらけのギリギリの道なき道を行く彼女の先人としての言葉は、真っ暗闇の道の先を勇気の光で照らすのだ。

だって肉体的、精神的、社会的死のギリギリの淵の難病闘病記の第一章のタイトルが、

「絶望は、しない」、と言い切るのだもの、そりゃこちとらが絶望してるわけにゃいかんがなってなるしかない。

でもその第一声の宣言とこの本に書かれた軽妙な言葉は、闇と絶望と最果てのドン底の底まで潜り抜けたからこそ生まれた、光照らす言葉なのだ。

これほど真剣に闘い生きてる人に対して、申し訳なくてお恥ずかしくて、簡単にホイホイ絶望なんかしてられない。

臍を咬むように思う、絶望、というと体良く体裁を作れるけど、要するに投げ出しに甘んじてる限り、

絶望という言葉さえ、その言葉は薄く軽く浅い。

でもそれは、同情と憐れみの「お涙頂戴」のカタルシスで終わらせてくれる言葉なんかより、遥かに厳しい。

知性とユーモアと根性とセイント(聖)力で、生存ギリギリの難病患者が持てる限りの武器全開にして、生きる道を切り開き、

社会というモンスターとの決闘を決意した物語であり、絶望はしない、と宣言した本であり、

そうすることで読者にも、心地良い憐憫と絶望のカタルシスに浸ることを許さず、

真正面から目を見開いて現実を見つめ、耳を開いて現実を聞き取り、足を踏ん張って現実に踏みとどまらせる本だ。

絶望を許さず、自らの生、自分が今いるところはどういう場所なのか、に真正面から向き合わせる、厳しい、けれども優しい書だ。

この本で泣くとしたら、可哀相で泣くのではない、哀しくて泣くのではない、喪失を惜しんで泣くのではない、

今のぶっとんだこの世界にある一抹の生が、奇跡のように美しくて面白くて愛しいからだ。

・・

一人一人が社会制度が、今まで無関心と惰性でみんなが作り上げてしまった、

日本社会という「モンスター」の腹の中をどのように生き抜くか、という勇気とヒントを与える体当たりの実践的社会学の書である。

困ってる時にこそ、「大丈夫、だいじょうぶだよ!」と言い掛けてくれる、日本中が稀なる難に覆われている今、だからこそ必要な書かもしれない。

剣道のように真剣に、フェンシングのように軽やかに、軽妙洒脱な文体の裏にある(真の危機の中で余裕を生み出すユーモアと知性は比例する)、

哀しみ、絶望、怒り、人の卑小さ、人の偉大さ、醜悪、美、恐怖、孤独、痛み、共闘、真剣、遊び、希望、喜び、幸せ……

「日本社会の最果て」のどん底で人が生きることをこれほど多面的に色彩豊かに美しく見せる奇跡。

これだけ特殊な経験をしていながら、出来事の特権化、特殊化、自身の偶像化、聖域化をしないのがエライと思う。

大野さんにしか体験できなかったこと、大野さんにしか切り抜けられなかった個人的な出来事であることは確かなのに、

それが誰にとっても「私自身の物語」になりうるように読ませる書き手としてすごいと思う。

こういう面白い話しや面白い人を知れると生きることが嬉しくなる。

なんていうか、大野更紗さん、生まれてくれて、生きててくれてありがとう、生きる勇気と笑いと感動をありがとう。もらってるばかりでなんか申し訳ない。

美少女難病闘病記モノが好きな人にもお勧め (抱腹絶倒難病薄幸美女…ニュータイプである)。

流れるのは「1リットルの涙」ではなく、「1リットルのおしり」だけど……

(変な話、こういう即物的、身体的、生理的、現実的な話しは女性の方が耐性あると思う。) 

生きるとは困ることだ、困りながらも生きることだ、人が生きるってすごいなとふつーに思えてくる本。

歩くことさえ困難な著者は、それでも杖をついてズリッと一歩ずつ、歩くことと生きることと語ることをあきらめない。

せめて歩くことくらいは困難でない私たちは、そんな著者のあきらめない歩行を追って、どんな困難な道でも、それぞれの歩幅で歩くことがきっとできると思う。

というわけでみなさん読んで下さい。

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3. 2011/08/14
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4. 2011/08/13
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5. 2011/07/03
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