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このサイトの中にある作品で、ちょっと評価できない作品について少しだけ語る。まぁ「嫌いだから」とか「駄作だから」という理由ではなく、「作品そのものは好きだし力作だとは思うのだが、どうしても作品としての評価はできない」から。
吉村昭著「関東大震災」
昭和40年代に書かれた本で、著者はちゃんと震災前後の資料に当たっていて、それが作品として完成されているのが凄い。参考資料は私も読んだものが幾つかあるが、ちゃんと資料を読み込んだ上に正しく使用しているあたり、著者は資料に対して篤実な人柄だったのかもしれない。
序盤(と終盤に)今村明恒と大森房吉を登場させ、震災を中心に置く方式だが、特筆すべきは「第二の悲劇-人心の錯乱」にある。
震災=天災の影で引き起こされた朝鮮人虐殺事件、亀戸事件そして甘粕事件。ある意味此方のほうがこの世の地獄であった。ここで多くは語らないが、その首謀者・実行犯の殆どは責任を取らなかった事実は書かねばなるまい(興味のある御仁は本書を元に資料を当たると良いでしょう。間違ってもネットで調べようなどと思わない事!)。これは国家主導説もあるからある程度黙認されたのかもしれんが、現在の資料では「黒に近いグレーゾーン」なので明言は出来ないけど。
甘粕事件では偶々(と言ったら死者に失礼ではあるが)子供が犠牲になったのである程度のセンセーションを巻き起こしたが、他の事件では…酷すぎる。犯罪に対してそれに相応した刑罰も与えないなんて、まともな国家体制じゃねえ。
後の虎ノ門事件(本書はこれを示唆する文言はある)の首謀者がどうなったのかと比べると一目瞭然(前記3事件の首謀者・実行犯は最大でも懲役→恩赦だった)。当時の日本は「民度が低かった」と言われても一切文句は言い返せんな。
戦後の同じ痛ましい震災「阪神大震災」では同じような悲劇が繰り返さなかったのは、日本人が歴史から学んだ事と無関係で無いと信じたい。だからこそネット上でのお馬鹿さんが幅を利かしてるのが危険でもあるのだが。
多分、この評価不能作品は今のところ弐で打ち止めの予定(ヒント・前回の日記)。あの作品はアクが強くて大好きではあるのだが…看過出来ない欠点も孕んでるからなぁ…。
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