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[海外映画]チャンピオンズ


Champions
海外映画総合点=平均点x評価数787位/2,508作品中(総合3/偏差値49.01) 786位<= =>788位
1984年海外映画総合点16位/30作品中 15位<= =>17位

評価統計
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評価総合点3.00
海外映画順位(総合点)787位(2,508作品中)
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作品紹介(あらすじ)

障害走の名ジョッキーとして栄光を手にしていたボブ・チャンピオンの夢は、名馬アルダニティに乗って大障害レース「グランド・ナショナル」に優勝する事。
しかしボブはガンの宣告を受け、辛い化学療法に耐える闘病生活を余儀なくされる。
一方、彼と共に数々のレースを勝ち抜いてきた名馬アルダニティも、脚の骨折という競走馬としては致命的な怪我を負う。
どん底に突き落とされながらもカムバックを夢見るチャンピオンとアルダニティは、1981年4月4日、グランドナショナルレースに臨む。
この映画は、名ジョッキー、ボブ・チャンピオンと不世出の名馬アルダニティの真実のドラマである。

監督:ジョン・アーヴィン
制作:ピーター・ショウ
原作:ボブ・チャンピオン:ジョナサン・パウエル
脚本:エヴァン・ジョーンズ
撮影:ロニー・テイラー
美術:ジョン・シドール:ロイ・スタンナード
音楽:カール・デイビス
衣装:アンナ・ウエイド

<キャスト>
日本 公開開始日:1984
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日本3,13011
海外52300
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最終変更日:2007/08/24 / 最終変更者:えぼだいのひらき / 提案者:えぼだいのひらき (更新履歴)
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by (表示スキップ) 評価履歴[良い:144(75%) 普通:38(20%) 悪い:9(5%)] / プロバイダ: 1434 ホスト:1325 ブラウザ: 8643
癌に侵された騎手と、骨折したウマが共に病を克服して世界一過酷な障害レースで優勝するなんて、いかにも出来過ぎのドラマだと普通だったら減点対象になるストーリーですが、これは実在する騎手のボブ・チャンピオン氏と障害レース馬のアルダニティ号が成し遂げた奇跡の様な物語です。
それ故に、奇跡の上に裏打ちされた血の滲む様な努力が、最高のソースとなった最上級の料理の様な作品です。

障害レースの花形騎手として順風満帆な生活を送っていたボブは、ある日突然、癌を宣告されます。このまま放置すれば余命8ヶ月・・・しかし、最新の化学療法を受ければ回復する見込みはあると言うのです。
命を永らえたとして、騎手として復帰出来る保障はありませんが、彼の周囲は「生きる事」を望みます。いつとも判らぬ復帰への道・・・日に日に衰える体力に焦る彼は、次第に自分が周囲から哀れみの目で見られている事を肌で感じて行きます。
そんな中、ある調教師の元で、秘書をしているジョーと云う女性が彼の元を訪れ、励まし、いつしか2人は心を通わせる様になります。
しかし、化学療法の副作用に苦しむ彼に追い討ちをかける様に、レースを見に来た彼の目の前で、かつての相棒のアルダニティも右前足を骨折してしまうのです。観衆の面前で足を引きずり、無言で引き揚げて来るアルダニティ・・・ボブは悲しそうに瞳を伏せるのでした。
気力も萎えてしまった状態での闘病生活は眼を覆う程の凄まじさです。髪や眉・・・体毛と云う体毛は抜け落ち、眼は窪み、嘔吐、発熱、意識混濁が彼を襲います。
それでも、そんな状況でありながらも4度もカツラを新調したりと、復帰への意欲は持ち続け、同時に焦る彼を妹メリーの家族が懸命に支える描写は何とも胸を打つものでした。

1年以上に亘る苦しい療養の末、ついに奇跡は起き、癌細胞は消滅し、彼は病に打ち勝ちます。
ですが、一刻も早い復帰を望む彼にとって「体力の衰え」と云う現実は厳しいものでした。焦る彼は周囲に「完治」を強調しますが、調教のウマでさえ抑える事は出来ず、暴走させてしまいます。疲れて止まったウマにまたがったまま、成す術もなく無言で荒い息をするだけの彼に対し、調教師のギフォードは敢えて事務的な対応をします。
それでも、体は少しずつ回復して行き、ある日の朝、鏡を覗いていた彼は小さな変化に気付きます。顎を撫で回し、頭をそっと撫で、彼は狂喜乱舞します。そう・・・化学療法で失われた髪の毛や髭が伸びて来たのです。
退院した時もそうでしたが、ボブ役のジョン・ハート氏は喜怒哀楽の表現が実にお上手な方だと思います。失礼ですが、際立って美しい面立ちでもなく、体格もそれ程大きくなく、取り立てて目を引く俳優さんとは思えませんけれど、「目を奪われる存在感」を持ち合わせていらして、これは天性の魅力ですね。
俳優さんにとって、こう云う「華」の部分はとても大事だと思います。

そして、暫くして彼の元に1台の馬運車が到着します。中からは、骨折から立ち直ったアルダニティが静かに降り立ちます。
「お前も長い事かかったな」と鼻面を撫ぜると、アルダニティはボブに顔をぐっと押し付けます。今迄、鼻面を撫でようとすると決まってそれを振り払うかの様な仕草をしていたアルダニティでしたが、まるで気持ちが通じているかの様な仕草はとても印象的でした。
それから更に1年もの歳月をかけて、1人と1頭は目標に向けて、文字通り血の滲む様な努力を続けるのです。

グランドナショナルは4マイル4ハロン(約7242m)の長丁場に30もの障害があると云う、世界で1番過酷な障害レースです。
過去に作られた「緑園の天使」と違って、明らかに合成と判るフイルムを流していた訳でもなく、「優駿ーORACION-」と違って、過去の(それも競馬ファンなら見ただけでどのレースか判ってしまう)レースをそのまま使った訳でもなく、本物のウマ達が本作の為に、擬似レースとして実際にこのコースを走ったシーンが使われています。実際に私達が中継で目にするのとは違うカメラワークからの迫力ある画像は、手に汗を握る出来です。
間歩が合わず障害に突っ込んでしまうもの、障害の踏切板の溝に落ちてしまうもの、もんどりうって転倒するもの、騎手が落馬した後も空(から)ウマのまま健気に障害を越えるもの、その度に救急車の映像が組み込まれている事からも判る様に、本レースがいかに過酷なレースであると云う事が伝わって来る迫力ある映像です。一切のCGを用いず、実際の映像に効果的にアップやスローモーションを多用したレースシーンは、屈指の出来であると言えると思います。
それでいながら、最後のゴールシーンは敢えてアップではなく、カメラを引いた状態で、BGMとアルダニティの蹄の音だけが響く何ともあっさりした演出だった事が、反って効果的であった様に思います。

と同時に、是非注目して戴きたいのは、走るウマ達の耳の動きです。
平場を走っている時に伏せられている彼等の耳は、障害を跳ぶ時に「すっ」と一瞬前を向くのです。障害を飛越する事に神経を集中させている証であり、正に偽りのない映像そのものであると思います。レースのシーンは勿論プロの騎手の方々が騎乗なさっているのでしょうから、こう云った迫力のある映像が撮れたのでしょうね。
反面、ボブがアップになる別撮りのシーンではアルダニティの耳がぶらぶらしていて、「きちんと走ってないな?」ってモロに判ってしまうのは、何ともご愛嬌だったりします。

実際にアルダニティがグランドナショナルで優勝したのは1981年で、彼が11歳の時です。その後、引退してから本作制作の為に彼が走った時には、おそらく13〜14歳位になっていた事でしょう。
障害レースに出る一流馬は、せん馬(虚勢したウマ)である事が多く、年齢も平場専門の競走馬と違って10歳前後である事も珍しくありません。グランドナショナルの出場資格は6歳以上ですし、障害レースで勝ち上がって行くには、経験と勇気がモノを言い、その能力はどちらかと言えば一代限りのモノであると言えるのです。つまり、同じサラブレッドであっても、血統にはあまりこだわりはないのです。(余談ですが、オリンピックの馬術競技でも、血統のはっきりしないウマが出場する事は珍しくありません。)
作中でもボブがアルダニティの事を「アルダニティは決して失敗しない。どんな障害も跳び越え走り続ける。あのウマには勇気がある。勇気にはいろいろある。戦うのは獅子の勇気。ウマの勇気は走り跳ぶ事だ。愛を注いでやれば、ウマは応えてくれる。」と評価しています。物語の最後のシーンで、誘導馬4頭に挟まれて群衆の中を進む彼を見ても判る様に、アルダニティは決して馬格の良いウマではありません。
その彼が、鞍上のボブの指示に的確に応え、次々と障害をクリアしていく様は、本当に胸に迫るものがあります。

又、効果として素晴らしい配慮だと思ったのは、最後のレースのシーンでの台詞の字幕が極力抑えられていた事です。その為、迫力ある画面に集中する事が出来ました。
ただ、字幕で1つだけとても気になった所がありました。
それは、主役のアルダニティの表記でした。アルダニティのスペルは「Aldanity」。米語でしたら「アルダニティ」でしょうが、本作はイギリス制作(一部アメリカ共作ですが・・・)作品です。英語読みであるならばどちらかと言えば「オルダニティ」ではないかと・・・作中でも、全てのキャラクターが英語読みで彼の事を呼んでいるのです。レースのシーンでは、実況のアナウンサーが「オールダニーティー!!」と連呼しています。
これはちょっと気になりました。

動物をメインに据えた作品の場合、多くの作品で、やっとの事で主人に会ったのに振られる事のない尻尾とか、トレーナーの命令を聞き逃すまいと視線の合わない緊張した顔等と云った演技の為に、どうしても違和感が拭えない事がありますが、アルダニティは1度たりとも「演技」をする事がなかったにも係らず、素晴らしいを演技(←矛盾した言い方ですが・・・)を披露してくれました。
そして、地味な描写でしたけれど、ジョーだけでなく、彼を支えたメリーの家族と、最後迄彼を見捨てずチャンスを与え続けた調教師のギフォードとアルダニティの馬主のエンビリコスも間違いなくこの奇跡の物語の大事な立役者でした。
大事な部分の台詞は極力押さえ、魅せる演出がとても活きていました。
そして、エンドロールには、その後の彼等の様子が文字で表され、化学療法の為、子供は望めないと言われていたボブとジョーの間には1年後に息子が誕生していた事が記されています。

世の中は努力が全て実を結ぶとは限りませんが、絶妙のタイミングで運をも味方につけてしまった彼等の物語は、正に「事実に勝るものはなし」で、本当に素晴らしい作品だったと思います。

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