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硫黄島からの手紙(海外映画)


評価: 好評(日付順) [他形式: RSS/携帯版/English]
読み仮名: いおうじまからのてがみ / 英語タイトル: Letters from Iwo Jima
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自由形式掲示板日記
2007/07/09
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2008/04/21 良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by ヒック 評価履歴[良い:47(65%) 普通:11(15%) 悪い:14(19%)] / プロバイダー: 34156 ホスト:34022 ブラウザー: 4731
この作品は父親たちの星条旗とセットにして見るべきだと思う。
イーストウッドは、戦争にいいもわるいもないとコメントしている。だからこそ、一方的に事を見るべきではなく、アメリカ人の視点と日本人の視点とに分けたように思う。
硫黄島の戦いを取り上げたのはよかった。
硫黄島を死守するために、自決か投降か我慢かという選択に強いられる兵士たちの苦悩は想像もできないほど辛かっただろう。
娯楽性もなきゃ、涙をそそる感動もない。
だが、一つの真実がある。
毎度思うが、二宮のささやくシーンは感情がこもっていて素晴らしいね。
2007/08/04 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by スパン 評価履歴[良い:110(62%) 普通:28(16%) 悪い:38(22%)] / プロバイダー: 31304 ホスト:31470 ブラウザー: 5234
硫黄島での激戦と、当時の日本軍の理不尽且つ愚かな体制を描いた秀作。
シナリオ・演出・役者の演技等のレベルが総じて高く、高い評判の期待に背かない作品です。

原則的に史実をなぞった内容であるので「劇的な展開」というものは特に無いですが、話の流れのテンポは全体的に小気味良いです。
戦闘面を中心とした描写もなかなかの出来で、とかく激しく動き回るカメラワークにより観辛くなりがちな戦闘の描写も、このジャンルの映画にしては視聴し易い方ではないかと思います。加えて「迫力」や「臨場感」という面においても充分満足できる内容となっており、このある種相反する要素を両立させている点は評価に値します。
演技面では、渡辺・伊原の両ベテランの演技が特に秀逸。戦争当時のみならず、現代社会においても理想的な上司と思えるような見事な役柄を演じきっていました。
一方、世間で絶賛されている二宮の演技には多少違和感を覚えました。
戦争の無意味さや理不尽さに対する不満を抱いた等身大の若者を上手く演じきっているとは思いますが、言葉遣いが妙に現代人っぽく、作中において明らかに「異物」感を感じさせます。
個人的には、元憲兵の一等兵役を演じた加瀬の演技の方が良かったのではないかと思います。

当初この「硫黄島〜」の方は日本人監督が担当する予定だったとのことですが、もし日本人監督がメガホンを取っていたら、日本兵に対する「誇張」や「美化」によって妙に偏った作品になっていたかもしれないです。また、並の外国人監督が撮ったのでは、逆に日本に対する「偏見」により、ともすれば視聴に耐えない作品になっていた可能性もあります。
このような「誇張」と「偏見」を極力抑えつつ、うまくまとめきった手腕は実に見事であり、それを成し遂げたクリント・イーストウッド監督には敬意を評したいです。
2007/06/25 良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by ねぶそくのタカ 評価履歴[良い:91(44%) 普通:67(32%) 悪い:49(24%)] / プロバイダー: 16572 ホスト:16324 ブラウザー: 5234
「父親たちの星条旗」でもそうであるが、この硫黄島2部作は淡々と戦争が描かれている。そのあえて盛り上げようとしない淡々とした描写が、フィクションとしての部分も有りながらも、ドキュメンタリー的な雰囲気を漂わせていて、この2本の映画にとても合っていると感じた。

とにかく印象に残っているのは、海外の戦争映画であるにも関わらず、日本のことを偏見抜きに細かく描いていることだ。「外国人がイメージする戦時中の日本人」ではなく、「日本人がイメージする戦時中の日本人」という印象の日本兵達で描かれているのである。
その中だからこそ「敵」としてではないアメリカ人を知っている栗林中将や西中佐の存在がより効果的になっていた。
閉鎖された情報からでしか相手をしらない日本兵達の行動(殺すか、特攻するか、自殺するか)と自らの目でアメリカを見て知っているからこそ、そういった行動はとれない彼らとの対比が、戦争のミクロな視点での悲劇を上手く描いていた。

ここで説明しておきたいが、「日本人はこんな感じで死ぬのを美学にしてたんだろ?俺達にはわからねぇなぁ。」という偏見から映画が作られたために、上からの命令で何も考えないで行動する兵士であるという印象を抱くことはいっさいない。
なぜなら各々の日本兵の役者の演技からは「本当は死にたくない。」と思っていることがひしひし伝わってくるし、この後の西中佐が捕虜にしたアメリカ兵の母からの手紙を読み上げて、日本兵達が「アメリカ人も同じ人間じゃないか。」と気付くシーンと、アメリカ兵が捕虜にした日本兵をめんどうだからと殺してしまうシーンから、この映画では正義も悪もない戦争を真っ直ぐ描いているものだと感じ取れるからだ。
そうした描写から、両方の兵士達を戦争の中でその時その時で違う行動をする「人間」として描いていることが感じ取れとても感情移入できた。本当に海外映画であるにもかかわらず、まるで日本人が作ったように日本のことも丁寧に描いているのでそれだけで感動だ。

見終えた後、涙が出るほどの感動や、打ちのめされるほどの衝撃はないものの、とにかく丁寧に作られていていると感じる映画であり、作品のメッセージも素直に感じ取れることができた。そのため視聴後、私はしばらくため息とともにしんみりしていた。

ついでに、二ノ宮くんの演技であるが、少々現代の若者のような演技になってしまっているところもあるが、そのため今の私達とは違い、上からの情報や命令に疑いを持たない他の日本兵達の中での異端な存在として演技が光って見えた。彼を映画に採用した人は日本のアイドルということは知らずに、ただ演技に引かれて採用したというのも頷ける。
2007/05/09 良いと思う立場からのコメント [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by グングニル 評価履歴[良い:139(60%) 普通:12(5%) 悪い:80(35%)] / プロバイダー: 45196 ホスト:45303 ブラウザー: 8936
いつだったか、某有名掲示板にて
「今現在の視点で描かれた戦争という点では、ガンダムSEEDとさして変らない凡作」という評価がされていたことがありました。

遂にこういう見方すらしてしまうヒトまで出てしまうとは、世も末だと思いました・・・。

この映画の魅力は何より「敵国だった相手の国の描写を第三者視点で描いてみる」という事に成功している所だというのに。

やはりパトレイバー2の柘植さんの言うように、日本は「戦争を完全に忘れ、論じる事すらできなくなっている」国になりつつあるのでしょうか。
2007/04/25 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by RIKA 評価履歴[良い:41(87%) 普通:2(4%) 悪い:4(9%)] / プロバイダー: 22453 ホスト:22428 ブラウザー: 4184
一人の人間として、現在の世界の在り方に再び疑問を持たせてくれた作品です。

数多くの人間、数多くの立場から作品が描かれており、登場人物一人一人がよく見えます。
一人一人に愛着がわいて、一人一人の死を辛く思いました。
だからこそ戦争の残酷さが身に染みます。平和な生ぬるい時代に生まれてきた私にとってはいい刺激になりました。映画でさえあの悲劇なのですから、本場のものは計り知れません。
現在も続く各地の戦争・紛争に、未解決の国家・人間関係に対して「このままでいいのか?」と問うている感がよく伝わってきました。
最後の終わり方が実際微妙だったのですが、「戦争」をテーマとして扱う作品の終わり方が綺麗ではテーマに戦争を選んだ意味がないです。おそらく「未解決の問題が残っている」というメッセージだったのではないかと思います。そう考えると製作者側の思いは観客によく伝わっている、と高評価すべきでしょう。

残念な点が1つだけ。
誰が誰だかよくわからないことが多くあったこと。

それだけです。十分に良い作品だと思います。是非多くの人に見ていただきたい。
2007/04/18 最高! [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by りんごマン 評価履歴[良い:43(78%) 普通:2(4%) 悪い:10(18%)] / プロバイダー: 14111 ホスト:14369 ブラウザー: 5237
はじめて海外映画で泣きました。
洋画ということでアメリカ側が正義として描かれるのかなと思っていたのですが、違っていました。
誰も悪くない、そしてどちらも悪い。矛盾していますがこの言葉がぴったりだと思います。
戦争がしたくて戦場に行ったひとなんか誰もいない。そう思わせる映画でした。
2007/03/14 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by タトゥ 評価履歴[良い:13(76%) 普通:1(6%) 悪い:3(18%)] / プロバイダー: 6592 ホスト:6596 ブラウザー: 5234
日本人にとっては革新と言えるほど素晴しいハリウッド映画じゃなかろうか。
ハリウッド映画において出てくる日本人はみな中国系であったりするし、
『パールハーバー』ですらまともに日本人俳優を採用しなかったりしたが、
この映画は日本人俳優による日本が舞台の映画を綿密に作り上げたことで、日本人にとっては有り余るほどの革新であると言えるのではないだろうか。配役もよかった。(二宮君は演技は…だが一兵卒の雰囲気はめちゃ出てたように感じる。)
もちろん内容もよいものであった。敗北が当然(兵たち自身は当然とは思わなかったかもしれないが)の持久戦を舞台に一兵卒や将校の葛藤を見事に描き出し、戦争の残酷さを言葉にならないほど我が身に打ち込んでくれる。
大戦中の日米を客観的に見つめて作品を作った構成力、綿密に大戦中の日本の風習状況思想を理解し
導入するクリント・イーストウッド監督には言うまでもなく感服だが、
ハリウッドにおける日本人俳優起用のきっかけを作ってくれた渡辺謙さんも称えたい。

血で血を洗う戦場で手紙が伝える思いは皆同じ…この思いが世界の国々につながれば…

再現力が説得力を生むこと、そして伝えたいことへの熱意こそが映画を良き物足らしめることを
この作品から製作者側は学んでほしい。
2007/03/08 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by Y・I 評価履歴[良い:154(71%) 普通:13(6%) 悪い:50(23%)] / プロバイダー: 6368 ホスト:6448 ブラウザー: 3875
正月に家族と見て参りました。今作は日本の視点から見た硫黄島の映画です。皆さんの仰っている通り、将校・一般兵に至るまで実に心理描写がリアルでしたね・・・。あと戦争を扱ってる映画なので当然と言えばそれまでですが、グロい場面もかなり多いです。しかもただグロいのではなく死に行く者の叫びというか無念さが伝わってきて観ている側も悲しくなってきます。(集団玉砕のシーンなんかは最たるモノ)それらの描写がより戦争の狂気と無常感を引き立たせているんですが・・・。

キャストは概ね好演だったかと。二宮氏の昭和っぽくない口調はやや違和感がありましたが、栗林中将扮する渡辺氏と西中尉扮する伊原氏がカッコ良かったです。

日米双方の立場を冷静な視点で戦争の虚しさをありのままに描き、先入観や偏見を払拭する姿勢を貫いたクリント・イーストウッド監督には敬意を表したいです。評価は「とても良い」で。正しい戦争なんて存在しないんですよね・・。
2007/03/08 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by アインシュタイン 評価履歴[良い:170(66%) 普通:27(11%) 悪い:59(23%)] / プロバイダー: 11516 ホスト:11613 ブラウザー: 6287
出演者は日本人ばかりでしたが海外映画ということもあり、やはり迫力がとても感じられました。
心理描写はさすがでした。
手榴弾で自決する場面は見ていて本当に辛かったです。ただ、海外映画なのにグロさが少なく感じられました。
日本兵の捕虜を銃で殺したシーンはビックリしました。

出演者達は皆それぞれ個性豊かで演技力も高く素晴らしかったと思います。
ただ、中村獅童さんと二宮くんはやや浮いてる感じがしました。

感動はもちろんするがいろんなことを考えさせる素晴らしい映画だと思います。
2007/03/05 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by サエ 評価履歴[良い:56(86%) 普通:2(3%) 悪い:7(11%)] / プロバイダー: 12661 ホスト:12728 ブラウザー: 3008(携帯)
戦争映画はあまり観ないのですが、評判がいいので鑑賞しました。思わず邦画のつもりで観て
しまいましたが海外映画なんですよね…すごい。
国の為にと頑張る人もいれば、早く家族に会いたいと思っている人等…それぞれの人物の心理
描写がよく表現できていて良かったです。
皆さんもおっしゃっていますが、アメリカを正義、日本を悪とするのではなく、平等に描かれ
ていました。戦争に正義も悪もないのだと。特にアメリカの監督さんが日本兵の捕虜をアメリ
カ兵が殺害したシーンを載せたのは驚きでした。

手榴弾で自害する場面がそこまでグロくはなかったものの、リアルで怖かったです。家族の写
真を抱え、泣きながら自爆した人もいて、胸が痛みました。

そういえば渡辺謙さん…世間で言われているほどいい役者かな〜?と思っていましたが(←ファ
ンの方ごめんなさい!!)この役はとても良いと思いました。苦しい状況でも冷静で毅然としてて
…司令官!って感じでした。

アカデミー賞にはノミネートされてたものの、作品賞に選ばれなくて残念。全編ほとんどが
日本語だったので、仕方のない事なのかもしれません。少なくとも作品賞に選ばれた傑作
香港映画の劣化リメイク作品よりよっぽど面白かったのですが…。

父親達の星条旗もぜひ観たいです!!
2007/02/05 最高! [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by グングニル 評価履歴[良い:139(60%) 普通:12(5%) 悪い:80(35%)] / プロバイダー: 45196 ホスト:45303 ブラウザー: 8936
「とても良い」か「最高」にするかをかなり迷いました。
しかし、ハリウッド映画とは思えないほどの正確な日本描写であったので、ここは敬意をこめて「最高」に致します。
もしコレが邦画だったら「良い」〜「とても良い」止まりでしたが・・・。

この作品は「トラ!トラ!トラ!」の監督、スピルバーグ氏も関わっているそうです。
どおりで・・・と思いました。
「トラ!〜」との共通点は、「どちらも正義でも悪でもない」という眼を持って描かれていることでした。
この映画では、日本軍が主に中心ですが、キャラクター達はおのおので様々な心境でもって描かれています。
心の底から国のために死のうと思う人、国よりも家族を案ずる人、これから戦うアメリカの事を考えてしまう人など、多種多様な思想を持った兵士が出てきます。
それに対し、「パールハーバー」などは、“日本軍=敵を倒して国を挙げる事しか考えない集団"のような一方的な思い込みのみで作られ、兵隊の心情を全く描こうとしませんでした。

元敵国のアメリカの方が監督になる以上、やはり自国の歴史観念を通した眼で見てしまうのは、ある程度は理解できますが・・・
しかし、イーストウッド監督とスピルバーグ氏は先入観念を可能な限り払拭し、一から時代背景や克明な現状様相を勉強していったようですね。
本当にあの方々の作りこみには脱帽です。

「父親たちの星条旗」は未視聴なのですが、こちらの作品と「硫黄島〜」は相互にリンクしあっているようなので、是非見てみたいですね。
こういった、「二国の其々の兵士達の心情」を細かく正確に描写した映画が、もっともっと出てよいのではないかと思います。
2007/01/26 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by サブかわ 評価履歴[良い:76(66%) 普通:15(13%) 悪い:25(22%)] / プロバイダー: 14298 ホスト:14541 ブラウザー: 3875
単純に面白かった。
戦争モンに「面白い」って表現もアレだと思うけど話の作りから人の心境描写からなにまでリアル。

ただちょっと時間軸が分かりにくいかな?ってのと二宮が妻子持ちのおじさんの役してるのに結構な違和感。
あと結構グロテスク。
戦争なんだからグロいのは当たり前なんだけどそういうのが苦手な人は注意。

内容は鬱になること間違いなしなお話。
私は泣かなかったんですが見終わった後どんより。
圧倒的な劣勢、補給無しの希望の光も全く見えない中での戦い。
当時がそのままスクリーンに入ったような、海外映画には到底見えない。
でも日本だけではこれほどのクオリティは出なかったでしょうね。

百聞は一見にしかず、最近の映画の中では一番の作品だと思います。
2007/01/16 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by 雪霞 評価履歴[良い:94(58%) 普通:40(25%) 悪い:28(17%)] / プロバイダー: 6299 ホスト:6424 ブラウザー: 3875
戦争映画の中には、時に、特定の見方を押し付けてくるものがある。そうでなくても、敵兵には悪逆非道な者が多く、味方には正義感が強い者が多い
というふうに描かれる傾向がある ( 映画のストーリー上ある程度やむをえない面はあるが、行きすぎと思える例があるのも事実である ) 。

だが、『硫黄島からの手紙』 のクリント・イーストウッド監督はそれをしない。
彼は、硫黄島の日本軍を、淡々と描く。アメリカ人の監督が、アメリカを美化せず、日本兵に対する色眼鏡や思い込みも極力排して、できるだけ
事実に立脚したドラマを描こうとし、それに成功している。これは特筆すべき誠実さと才能のなせるわざだと思う。 ( 事実と相違する部分も若干
あることは指摘されているが、映画の本質を損なうようなものではない。) そもそも、日本人俳優を使ってほぼ全編日本語台詞のアメリカ映画を
作ろうと考えた点ひとつとっても、彼の見識の高さが示されていると思う。
硫黄島は井戸を掘っても真水が出ず、雨水に頼るしかなかったという。物資の欠乏で補給も少なかった。硫黄臭のただよう中で地下壕を掘り、
勝つためではなく敗北を遅らせるためだけに戦った日本兵に対する、監督の敵味方を超えた敬意さえ感じられる。

硫黄島の地下壕にこもり、米軍が当初 「5日で落とせる」 と踏んだこの島で35日間持ちこたえた日本軍だが、彼らの中にもさまざまな
人間がいた。国家のために死ぬことを至上の美徳とする者もいれば、生きて家族のもとに帰ることを常に考える者もいる。
揺るがない者もいれば、迷う者もいる。信頼もあれば確執もある。極限状態であらわれる人間の本質は、アメリカ人でも日本人でも変わらない
ことがよくわかる。

そうした中で、「相手のことを知らないほど、簡単に憎みあう」 という真理も浮かびあがる。
この映画には、捕えた米兵を惨殺する日本兵や、投降した日本兵を撃ち殺す米兵が出てくる。
その一方で、主人公の栗林忠道中将はかつてアメリカに留学してアメリカ人と友情を交わした時代を回想する。1932年ロサンゼルスオリンピックの
馬術競技金メダリストで欧米に友人も多い 「バロン西」 こと西竹一中佐は、負傷した米兵捕虜の治療を命じ、彼に英語で話しかける。
相手の文化を知り、一人ひとりの人間を知ったとき、それでもひとくくりに 「敵」 として排除できるのか?
また、かつての友の国を 「敵」 として戦わねばならない者は矛盾と苦渋を抱え込む。それを個人に強いる戦争とは、いったい何なのか?

日本人監督ならば情に流されてウェットな描写に陥りそうな物語を、イーストウッド監督は冷静さを保った筆致で描いている。
観客に作り手の意見を投げつけるのではなく、観客に考えさせる映画である。
1度観ておしまいではなく、2度3度の鑑賞に耐える映画。年月が経っても古びない映画。

日本人にもアメリカ人にも、もちろんそれ以外の国の人々にも、是非見てほしい。

【4時間後追記】
さっきニュースを見ていたら、この映画がアメリカでゴールデングローブ賞の外国語映画賞を受賞したとのこと。拍手。
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