海外映画総合点ランキング: 275位/1,463作品中 (総合点9.00/偏差値50.51) 274位 <= =>276位
海外映画1964年総合点1964ランキング: 2位/3作品中 1位 <= =>3位
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読み仮名: はかせのいじょうなあいじょう / 英語タイトル: DR. STRANGELOVE
2007/01/25 良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/]
by HUNGRY SPIDER 評価履歴[良い:174(41%) 普通:70(16%) 悪い:183(43%)] / プロバイダー: 3586 ホスト:3597 ブラウザー: 7395
タイトルを見るなり「ネタだろ」としか思えなかったんで、気軽に借りてみたところ期待が裏切られた感。ネタとして済ますには、内容が重過ぎるではないかね。
本作は人間(お偉方)の愚かしさを風刺した作品であり、核兵器とかはハッキリ言ってただの小道具に過ぎない。意味不明な恐怖感に苛まれ狂人と化したジャック・リッパー(和訳すると「切り裂きジャック」)はじめ、本作に出てくるお偉方はどこか変だった。一見、マトモそうなことを言ってるようにも思える大統領にしたって、少し離れて見れば、彼の行動はヒスである。美人秘書を抱えた将軍も、また然り。ソ連の大使とやらも、言ってみれば癇癪持ちの一言で性格を表せてしまう。結局、お偉方は揃いも揃って「あんた結局何やりたいの?」とお聞きしたくなるような連中だった。そんな中にあって、唯一「マトモ」なのが、外見的には最も危なそうなあの狂科学者・ドクターストレンジラヴだ。自分は、実はこの狂科学者、我々視聴者の投影を目的として登場させられたのだと思っている。頭のネジが外れたお偉方の中で、唯一具体的で理論的な発言ができ、尚且つ彼らのアホ加減を客観的に眺められる彼は、最も我々から近い位置にいるのだ。
本作のタイトルは「博士の異常な愛情、または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」という、ネタとして笑えるくらいに長ったらしいものだが、その「博士」が観客の暗示だとしたら、成程、タイトルにも説得力が生まれてくる。
つまり、こういうことだ。「この頭の悪いお偉方と、それに頼らずにはいられない愚かな人間どもの世界の平和など考えるよりは、いっそ水爆で世界を全とっかえした方がよろしいのでは…」…そのような、諦め故の極端なほど過激な思想の反映こそ、あのタイトルなのだろうか…現実のお偉方にあんなのが沢山いればいるほど、本作の持つ毒気が際立つように思える。描かれていた過激な破壊的思想、それは民衆のお偉方に対する「あんたらが能無しだったら俺らは愛想を尽かすぜ」という強がりであり、叫びだったのかも知れない。
だからこそ、本作は人の上に立っている人が真面目に見ればかなり嫌な思いをするだろう。別に政治家だけを指しているのではなく、会社の課長なんかも、これに含まれる。或いは「一家の大黒柱」なる人も含まれる。要するに、上の愚かさ(狂気じみてはいるが)を描いており、それが世界の破滅に繋がる、そんなお話なのだし、その様子を冷笑するキャラ(ストレンジラヴ博士)もいることだし、ここまで極端ではないにしろ、誰かの上に立ったとしたら、作中に含まれる毒が自分にも突き刺さることだろう(友人の学級委員長は、自分の学校行事に対する熱意が白い目で見られていることに感づいていたが、その「白い目」をした奴こそ作中の博士であり、それに感づく前の彼はお偉方の姿を体現していたのかも…彼に本作を見せたらどんな反応をするかな)。
本作における風刺の対象とは、「水爆を使う人間」であり、これは「水爆」を「権力」「金」「石油」「ヴェルサーチ」なんかに置き換えても使えるだろう(笑)。要は、あまりモノを持ちすぎると自分もモノもコントロールが効かなくなっちゃいますよ、そんな感じの警報を含んでいる作品、ということ。作中では、「水爆」よりも「権力」の方が風刺劇としては的確だったかな?自分が最も強力な風刺を感じたのは、世界の命運を握るのがモノを持たない庶民の味方(コカ・コーラの自販機)だったことで、それがモノを持ちすぎた人々(軍の上官たちや大統領)と対比されているようだった。上の暴走を下が止めることもあるんだぜ…そんな声が聞こえてくるように思えたのは、言いすぎだろうか。
EDの楽園を彷彿とさせる歌では、あまりに歌詞の内容と違いすぎる哀れな末路と相まって、何と言えばいいかわからず、ただ笑うしかなかった。まったく、あのセンスには感心させられる。笑いというのは理性と感情の不協和音、みたいなことをかつて聞いたが、本作の製作陣はきっとそのことをわかっていたに違いない。その意味で、本作は「面白い作品」と言っていいだろうか。
とまあ、上では内容について書いてみたが…正直、本作はかなりアクの強い作品な上、ただのドタバタと片付けるにはあまりにクロく、また思ったほど動きが多くないので、見る人を選ぶことだろう。だから内容が濃密であり、尚且つ完成されていても、オススメできるかどうかはちょっと考えさせて…そう思えるので、評価としては「良い」。
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