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劇画ヒトラー (漫画)
読み仮名: げきがひとらー
総合
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懇談室
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作品紹介(あらすじ)
「ゲゲゲの鬼太郎」で知られる作者が描く、世紀の独裁者「アドラフ・ヒトラー伝」。
作者:
水木しげる
掲載:
週刊漫画サンデー
版元:
実業之日本社
連載開始日:
1971
(日本)
最終変更日:2007/01/20 11:18:42 / 最終変更者:
羽幌炭鉱
/ 提案者:
孔明
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評価統計
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海外
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1. 2007/01/20
とても良い
by
634
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165
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11695
ホスト:
11922
ブラウザー:
5234
愚かな独裁者を描くという手法は本作でだけではないのだけど、戦中派で徴兵され、片腕を失うという生涯に残る傷を負った水木しげるの作風だけに、こういった作品には妙に説得力がある。ヒットラー(こう呼ばせてもらう)は独裁者である以前に、一人の弱い心を持った屈折した劣等感の塊の人間だったという部分は、そういった人間の脆さと姿を出している。
こういう人間はヒットラーだけではない。同時期のスターリンやムッソリーニ、現在の金正日がそうだし、某宗教教団の教祖もこういった人物で、周囲に祭り上げられながら、その実、周囲の人間に脅威を抱き、誰も信じられないという肥大した自我の塊でありつつ、孤独であり、その為に誰かに救いを・・・・・・という部分はあるのだが、屈折している性格故に、自己表現が下手な為に自らの周囲を更に・・・・・・という部分は滑稽にみえるし、哀れもうという気も起きない。むしろ、「こんな奴が同じ人間だと思うと・・・・・・」という嫌悪感が、マトモな、あるいは一般的な思考を持っている人からは出るであろう。
そういった人物を敢えて主人公にし、破滅へと向かっていくという部分を描くのはかなりの冒険であっただろう。そして、まともな精神思考を持っていない、いわゆる精神病患者に、国の舵取りを任せてしまうと・・・・・・といった部分を極めて写実的に描いている。こういった表現方法は、戦中派の水木氏でないと、描けないという部分もあったであろう。
ベルサイユ条約の破棄と、第一次大戦でのドイツ敗北からの立ち上がりに、時代が、民がこの男を選んだ!というのは、選民思想、そしてその場の流れやノリによって好い加減な政治家を選んでしまうと言う危険性を今に伝えているし、日本でも、そういった好い加減な政治家によって・・・・・・というのがあるし、水木氏自身が、戦争へと走っていき、破滅する日本の姿を後に描いたのだし、その愚かな戦争に参加したが故に、生死の境を彷徨ったという経験があるので、余計に説得力がある。
ヒットラー自身の人物像は、マトモではない戦争という世界に身を置いてきた人にしてみれば、「俺もあの時は若かった・・・・・・。」「今の時代の若者達はこういったノリに飛び込んでしまうのだろうか。」とも思うのかも知れない。独裁者である以前に、一人の無力な劣等感の塊の小さな人間(因みに、シークレットブーツも愛用していたと言われる。そして、パーキンソン病であることも隠し通そうとしていた。)だったという人物像を知ることは、世の中にはこういう人間も多いし、そうした人間の弱さが、ヒットラーを通じて描く手法は間違ってはいない。
ナポレオンの失敗を学ばず、ロシア遠征で失敗をし、Uボートに最新機器や整備をさせず、ムザムザ大西洋に沈めてしまったり、バトル・オブ・ブリテンや、アフリカ戦線でも、前線の兵士達への配慮に欠け、ビスマルクやツェッペリンといった海軍戦力の下準備や、その扱いに対するお粗末な手腕故に、有効な兵器を活かせず、ただ消耗だけに走ったのは、最新の戦争資料でも明かであるし、そういった身に余ることをやらせれば、悲劇がブラックな喜劇にもなるというのを、チャップリンの映画のそれとは違うスケールで描いたといっても良いだろう。
そういう部分を考えると、本作の描いた一人の小さなちっぽけな人間によって・・・・・・という危険性と、そういった人物を良い方向に向けさせることが出来るのか?というテーマにも突いている。
自分でも他人でも、人を生かすも殺すも、その人次第であることに、この作品は行き着いたといえそう。
2. 2007/01/19
悪い
by
宇宙刑事ジャンギャバン
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34
推薦評価:
49
] / プロバイダー:
33223
ホスト:
33285
ブラウザー:
7395
ああ、妖怪漫画家・水木しげる氏が二十世紀最悪の独裁者アドルフ・ヒトラーを題材に描いた劇画でしたな。
一人の、自分の芸術的才能が世に認められないと世界を逆恨みし続けた、自意識過剰で独り善がりな男が、敗戦で打ちひしがれたドイツで成り上がり、ヨーロッパを蹂躙し、破滅していくと言う話ですか。
まあ、時代が(彼にとっては)良かったと言う事になるのでしょうかね。ドイツと言う国が第一次世界大戦で敗北し、ベルサイユ条約で痛めつけられ、経済的に破綻し、傲慢と言えるほど高い彼らのプライドがズタズタに傷つけられていなければ、国民は自らの意思で独裁者なんぞ作らなかったでしょうからな。
ま、凄く面白いと言う事はなかったですな。描き方があまりにも淡々としすぎていたので。
3. 2005/12/13
とても良い
by
カジマさん
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81%
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39
推薦評価:
38
] / プロバイダー:
9112
ホスト:
9218
ブラウザー:
6213
独裁者として名を世界中に轟かせたヒトラーの一生を水木先生が描いた漫画。
まず絵柄が凄いというのが第一印象。上手いか下手か?と聞かれればお世辞にも上手いとは言えないが、彼のことだからわざとそう描いてるのかもしれない。そのせいか登場人物が本当に個性的に見える。一応特徴は掴んでいるので、ナチスに詳しい人なら一発で分かるかも。
自分の才能に固執する余り、自分を悪い評価しかしなかった社会への恨みを青年期に持て余していたが、
天才的ともいえる演説(これは宣伝大臣ゲッペルスによるものだという話もある)とカリスマ性で民衆を惑わせたほどの技量でドイツを世界大戦の主役に据えたほどだから、このような演説家としての才能はおそらくあったのかもしれない。
また彼は非常に芸術に関心が高く、オペラの演目を口笛でやってのけてしまったり、フランスを占領時、パリを見物して「この感動は言い表せない」と語ったとされている場面があって、彼がもし芸術家として大成したら将来有名な人になっただろう。それだけに世界でも悪者のレッテルを張られて、有名になったのは皮肉なものだと思いますが。
またナチスのリーダーになった彼は世界を自分の思い通りにしようとしたり。
姪であるゲリを異常ともいえるほどの独占愛をしたり。
戦地で言うことを聞かない兵士を評して「死ぬことを何故恐れるのか!」と怒ったり。
年を取るごとにヒトラーは内面的な部分で、元々の自己中心的な箇所をレベルアップさせてきています。
ただヒトラー自身がそれに燃え尽きた時はドイツの敗戦の色が濃くなってきた時に顕著に現れてきており、ドイツと共に生き、ドイツと共に滅びたというのが伝わってきます。
ヒトラー最大の愚行でユダヤ人の強制連行がありますが、あんまりこの漫画では収容所の詳しい説明は載っていなかったと思いますが、後年その収容所がどんな様子だったのかをある写真集で見る機会があり、見てみたのですが、それはそれは強烈なもので食事しながら見た自分は気分悪くなりました。
このような事を考えると、ヒトラーは最悪な奴だという判断に至るのですが、よくよく考えれば民衆にも責任があり、ナチに付き従ったからこそ、ヒトラーの台頭を許したのであり、そして民衆がヒトラーの戯言を信じたのはドイツの第一次世界大戦以後の深刻な経済であったと思います。
第一次世界大戦が根源であると考えれば、戦争は戦争を呼ぶとのフレーズが似合うと思います。
そうしたことからもヒトラーは戦争が生み出した人間の欲望や不満を、具現化した人間だと言っていいでしょう。またヒトラーは異常なまでの愛国心を持っていたというのも、それに関係しているかも知れません。
そうなるとヒトラーは悪いが、その時代背景も考えなくては彼を悪人だと決め付ける風潮が納得出来ませんね。この漫画はそういう意味ではヒトラーを批判してるような感じではなく、また肯定してるわけでもありません。中立的な立場から見たヒトラーの概説書としては充分合格点です。
ただ無難な本ですので、最高!とまでは行きませんが、とても良いの価値はあると思います。
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