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| 日本映画総合点=平均点x評価数 | 897位/1,461作品中(総合0/偏差値48.63) | 896位<= =>898位 |
| 2007年日本映画総合点 | 57位/104作品中 | 56位<= =>58位 |
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| 監督・脚本:早川渉 原作:諸星大二郎 プロデューサー:早川渉波多野ゆかり稲田秀樹 キャスト:堺雅人小野真弓水戸ひねき | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 日本 公開開始日:2007/09/15(土) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
利用状況
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| 最終変更日:2008/07/01 / 最終変更者:HUNGRY SPIDER / 提案者:HUNGRY SPIDER (更新履歴) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 2008/07/02 普通(+0 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/] by HUNGRY SPIDER (表示スキップ) 評価履歴[良い:267(37%) 普通:158(22%) 悪い:298(41%)] / プロバイダ: 4807 ホスト:4711 ブラウザ: 7395 諸星大二郎氏の小説「壁男」は未読なので、その立場からの意見を述べさせていただきたい。 物語は、「壁の中に棲み、こちらを覗っている壁男」なる謎の存在を意識しだした時から、徐々に壁男への偏執を強める男と、そんな彼の恋人であるリポーターが織り成すサイコホラー、といったところか。 この作品に於ける最重要ポイントは、「曖昧さ」にあるように思う。 作中では、壁男はその存在に関して、納得できる情報を一切示していないので、あくまで流言の域を出ない。その流言に、人間たちが勝手に振り回されるだけなのだ。そして振り回すだけ振り回しておいて、何の決着もつかないどころか、余計に物語を暈すような仕掛けを張って終わっていく。 これでは作品が非常に不明瞭になるのも仕方のないことだが、その不明瞭な感じをどう捉えるかが、本作の評価の分かれ目だろう。 そんな本作に対する自分の印象は、基本的に悪くはない。 その理由は、恐らく、自分が最も魅入られた部分が、作品のキモと相通じるもの、即ち曖昧さに関係してくるものだからである、と言えるように思う。それを端的に表すと、「曖昧さの表現がかなり上手い」ということになるだろう。 本作の主人公は、「壁男」に関連した夢をみることで、壁男に対して興味を抱くのだが、時が経つに連れて、その「興味」が「偏執」に、そして「狂気」に変貌していく…確かに「現実と空想の区別がつかなくなった一人の男」という、ありがちな題材を描いていると捉えることもできるし、事実その通りではあるんだが、本作はその「ありがち」に対する描写がとても丁寧なのだ。 この作品では、「壁男は存在すら怪しい」というのが大前提だが、本作ではそんな代物に対して入れ込んでいく男の主観的な視点を基本に据えている。ここで重要なのが、本作の基本となる主観が、信憑性の低いものであることだ。それによって、壁男の存在とともに、果たしてこの映画で起こっていることのどこまでが現実なのか、という不安感が齎される。更に、主人公の異常をクレッシェンドさせることで、世界の歪みを自然な形で引き出す。その一方で、彼女や女友達が、しきりに「彼はオカシイ」と示すことで、作品を俯瞰させる視点も与え、「曖昧である」ということ自体を客観視させる。 この微妙な客観の投入は、一見、作品の臨場感に水を差すようにも思えるが、実はこれが結構大事な役割を果たしてるのではないかと、自分は考えている。余程の作品でない限り、中だるみは必然的に付き纏うが、本作の客観性は、中だるみのフォローとして機能していた。即ち、つまんなくなってきたと思ってる時、相変わらずオカシイんだからつまんなくもなるよという見方が与えられることで、作品で起こっている異常を異常として再認識させられるとともに、主観と客観の間にあるような、視聴者の微妙な立ち位置を朧に意識させ、その微妙さが一層の臨場感を引き立てる。つまり、客観性があるからこそ、臨場感がより高まっているのだ。 曖昧さを主観に訴えることで味を感じさせる作品だと、視聴者の心理操作が重要な課題になると思うが、その点でみると、本作は万人受けするか否かについては怪しい部分が大いにあるものの(まぁ内容が内容だから…)、その操作は丁寧とも言える。だから、作品の曖昧な感じを受け入れられたのだと思う。 ただ、その曖昧さを全て受け入れられたわけではない。 気になるのは、所謂「夢オチ」の使い方だ。本作の場合は回数が限られているのだけど、これでは現実と夢を錯綜させる程の、徹底的な曖昧さまでには至っていないし、かと言って夢にしては、彼女や現実生活の描写が妙にクリアなので(日常の描写は壁男や主人公の曖昧さとは別物!)、「夢か現実か」という世界構造については、悪い意味での中途半端さだけが残る。つまり、夢の使い方が上手いとはお世辞にも言い難く、このことが作品の根幹を揺るがしてしまい、その上せっかくの丁寧な心理操作の効果も半減させているように思えた。夢には客観の入り込む余地などないのだから。 夢を取り入れるなら、いっそ夢オチを乱用して、どこまでもカオスな世界として仕立て上げるか、或いは完全に現実世界の出来事として描くかした方が、作品の不明瞭ゆえの不気味さがより引き立ったように思えてならない。前者だと先述の「客観性」が無駄になってしまうが、その分、わからないが故の不安感はより高まっただろうし、後者だと、事物に対して目を向けやすくなるから、より怪異に魅入られた男の不気味さが際立っただろう。 とにかく、夢による曖昧さばかりは、自分には受け入れることが難しい。これは、作品世界の根幹に関ることだから、マイナス要因としては、かなり大きいものとなってしまう。曖昧さの表現は決して下手ではないのに…本当に惜しい。 なお、本作では主人公の恋人がリポーターを務めるということで、メディアについて取り上げられているが、これは、情報なしでは生きていけない人間の脆弱さ(情報ゆえに人格が歪む危険性)と、その対極にある淡白さ(頼るのも忘れるのも早い)を描いた、一種の風刺といったところか。更に、メディアという媒介を壁男の存在…意味ありげな「In-Out」に繋げている節も見受けられた。つまり本作には、メディアに関して、発信側と受信側の、ふたつの視点が存在する。これによって描き出されているのは、メディアの明確な定義…などではない。寧ろその逆、不明瞭な割に、存在を感じずにはいられないものとして位置づけている。 これは、考え方のひとつとしては面白いと、個人的には思う。壁男がテレビ大好き、といった一見コミカルな設定も、「情報を蓄積するもの」という意味では、メディアと共通してるわけだし。ただ、両者の違うところは、「発信」の手段の有無だ。壁男は発信ができないんだったら、こちら側が勝手に存在を感じるだけだが…そう感じてしまう人間は、やはり受動的に振り回される存在なのかな。まぁ、本作自体が人間を振り回すだけ、とも言えるような作品だから、そのことを作り手が自覚していたのだとは思うが。 本作は確かに曖昧さの表現や、そこに視聴者の意識を持っていく為の操作が上手い。しかし、自分にも受け入れられないところはあったし…更に、不明瞭な作品が嫌いな人にとっては、本作はなかなか気分の悪い作品であるとも思う。思わせぶりは思わせぶり以上に描かれていないので、そのことが視聴後に、不愉快な徒労感を齎す危険性も十分にある。だから、「曖昧さの受け入れ方がポイント」だと、自分は思うのだ。 以上の理由と感想から、自分の本作に対する評価は「普通」とさせていただきたい。 この評価板に投稿する |
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