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小説評価: 1,027位 <= 1,028位(2,343作品中/偏差値48.47) =>1,029位

幕府軍艦「回天」始末 (小説)

読み仮名: ばくふぐんかんかいてんしまつ
総合情報評価
(評価投稿)
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(本/漫画)
直近発売の本/漫画: 1993/12 ()幕府軍艦「回天」始末 (文春文庫)
本/漫画(1件)
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文庫:幕府軍艦「回天」始末 (文春文庫)
参考:\357
1993/12
()
著者:吉村昭
出版:文藝春秋
発売日:1993(日本)
最終変更日:2006/10/21 10:53:27 / 最終変更者:634 / 提案者:634 (更新履歴)
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1. 2006/10/23 とても良い by 634 [編集・削除/削除・改善提案//論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿]
評価履歴[良い:1380(50%) 普通:541(20%) 悪い:851(31%) 推薦人:51 推薦評価:165] / プロバイダー: 20897 ホスト:20945 ブラウザー: 5234
戊辰戦争のクライマックスである箱舘戦争の海戦を題材にした話で、艦隊最強の「開陽」を失い、劣勢になった榎本軍がどのように新政府軍と戦うか?というものでした。
新政府軍の最強戦力である「甲鉄」(日本最初の戦艦とも言われている)に立ち向かう為にあの手、この手の奇策を打ちますが、結局は・・・・・・という歴史の流れに逆らえず、本作の主役である「回天」は次々傷ついてゆき、しまいには・・・・・・という結果になりました。

故吉村昭特有の豊富な取材と勉強により、色々と詳しく調べられ、実際に本の中にあったその地域の地元住民にも説得力のある内容という具合にまとめられています。そういう意味では安心でき、読みやすい内容でした。本作もそういった吉村作品に倣ったものになっています。

本作は海戦の他に、箱舘戦争に於ける戦いの多くも描いています。それが本作の海戦と榎本軍の総崩れに繋がる部分も描かれており、負け戦ならではの悲壮感と、そこから一歩置いて視点という吉村タッチの良さも特徴となっており、主役の軍艦の呆気ない終わり方と扱われ方もドラスティックです。

本作ではそう言うものの他にも戦いに敗れた榎本軍の戦死者が放置され、それ故に賊軍扱いされ、彼等を埋葬しようとした人にまで罰が及ぶという新政府の理不尽さも出ていたのですが、これは歴史の繰り返しという部分も出ていると思います。

かつて江戸幕府は豊臣家を徹底的に滅ぼし、その栄光や過去に影響に縋ることを禁じ、弾圧という方向に行き着きました。しかし、数百年後、江戸幕府が豊臣家のようになってしまい、幕府に加担した者も・・・というのも歴史の皮肉な巡り合わせという部分が出ています。

回天というネーミングが縁起が悪かったのかどうか知りませんが、この軍艦には不吉なものがあるようで、戦闘の度に乗員を失い、榎本軍の戦力を減退させていった節もあるし、疫病神のような軍艦だったのだろうかと思えそうな部分があります。

それから100年も経たないうちに、今度は太平洋戦争の特攻兵器である人間魚雷に「回天」というネーミングがつけられ、それが海のカミカゼと呼ばれて連合軍から恐れられたものの、それで戦局を好転させることは出来ず、ただ無為に多くの命を海原に散らせてしまったようにも思えるし、「回天」という艦にはとかく悪いイメージが付き、榎本軍の敗北が、太平洋戦争の大敗北という形にも繋がっていきそうな部分があるので、運命の皮肉さのようなものがこの作品にも現れていそうです。

もし、又戦争が起きて、「回天」という名前の軍艦が出来たとすれば、今度こそ日本は・・・・・・というイメージがない訳ではありません。その意味では「歴史は悪い形で繰り返される」というシニカルさとネガティブさも本作には漂っており、その意味では警鐘的、バイブル的な作品という見方もできます。
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