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小説評価: 1,232位 <= 1,233位(2,343作品中/偏差値48.47) =>1,234位

海馬(とど) (小説)

読み仮名: とど
総合情報評価
(評価投稿)
日記
2008/03/05
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(DVD)

直近発売のDVD: 2008/01/11 ():かわいいどうぶつがいっぱい!
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著者:吉村昭
出版社:新潮社
最終変更日:2007/03/13 21:49:01 / 最終変更者:634 / 提案者:634 (更新履歴)
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1. 2007/03/18 とても良い by 634 [編集・削除/削除・改善提案//論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿]
評価履歴[良い:1380(50%) 普通:541(20%) 悪い:851(31%) 推薦人:51 推薦評価:165] / プロバイダー: 11695 ホスト:11832 ブラウザー: 5234
現在は捕獲規制が成されているトド(もっとも、こういった大型海獣の行き過ぎた保護には、米のエゴが大きいのだが)ですが、そんなトドが多くいて、漁業被害が深刻という事で、トド撃ちの猟師もいた時代の知床(現在の世界自然遺産登録された場所ではそうだった)を描いた作品でした。

単なるトドを撃退、または捕殺する為のトド撃ち達の話なのかと思ったら、そうではなく、愛憎劇もある話でした。
トド撃ちの娘が田舎の生活に嫌気がさし、都会の生活に憧れて、家を捨てて都会へと出るのですが、都会の毒気に翻弄され、心身共に疲れ果て、故郷へ帰ってきたのですが、父親がそんな娘の振るまいを許さなかった、けれど、その娘に憧れていた若い猟師が、娘を引き取って・・・・・・というシーンが胸を打ちました。

人間が住む世界は故郷が一番なのではないのかという部分と、都会が田舎育ちの純朴な人達を・・・・・・という部分も突いています。理想と現実のギャップという点で、あまりタイトルと関係ない感じがしない事もないのですが、トド撃ちの商売や猟師だって厳しいし、かといって憧れの都会へ行った所で、その都会の空気は優しくはなかった・・・・・・感じの話なので、人間は何処へ行っても、苦しみから逃れる事は出来ないという現実のシビアさと、理想の先の現実は・・・・・・という点に振り回される人間の滑稽さと、不器用さと弱さが滲み出ていました。

しかし、そんな田舎の暮らしは、格差地域社会の時世である現在には優しくはないのだし、自然遺産登録され、知床の人達は住みづらくなったという話を聞く時もあるし、そういう点では、人間社会の滑稽さと奇妙さ、そして歪さを作者が捉えていたことは確かだし、それ故に、自然遺産登録された地域が本当に潤っているのかどうかという現実を考えれば、本作を描いた作者の先見性が出ているのかも知れないし、そういった自分達が造りだしたしきたりや決まりに勝手に振り回されている人間の滑稽さや、それに従わなくても、結局は生きていく事は出来ない人間の弱さが多く滲み出ています。

人間社会の歪さと、そして、その中でしか生きていく事が出来ないとはいえ、感情の動物故に上手くはいかない人間の寂しさと悲哀を描いており、そういった意味でも注目できた作品でした。
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