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小説評価: 1,488位 <= 1,489位(2,343作品中/偏差値47.85) =>1,490位

冬の鷹 (小説)

読み仮名: ふゆのたか
総合情報評価
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ハードカバー:叱り叱られ

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1.メインはゲストか山口か?
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新書:エリートセックス (幻冬舎新書 か 2-1)

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1.出来る男になるためのセックスの教科書
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1.もう一歩踏み出す勇気をくれた一冊
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CD:アイノラ抒情曲集

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1.舘野・吉松ファンは必聴
著者:吉村昭
出版社:新潮社
発売日:1976/01(日本)
最終変更日:2008/04/22 09:20:31 / 最終変更者:634 / 提案者:634 (更新履歴)
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1. 2008/04/30 良い by 634 [編集・削除/削除・改善提案//論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿]
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『解体新書』といえば、杉田玄白があまりにも有名ですが、その杉田玄白ではなく、解体新書作成に欠かせなかったオランダ語の翻訳に賭けた前野良沢の事を描いた作品であり、杉田玄白がメインになりがちの解体新書の見方に、一石を投じてくれたような作品であったと思います。

前野良沢がオランダ語に興味を持ち始めたのは40代後半であり、その翻訳や、医者としての傍ら、そのオランダ語の勉強に全力を賭けた・・・というところが非常に学者肌であり、純粋に学問や、自分が興味を持った事に全力を向けて取り組んだ人物だった事が判りますし、派手な事や有名になることにそれほど興味や関心が無く、むしろ、「これはまだ未完成だ」と思いながら、どんな小さな探求にも全力を持て取り組まなければならない事を教えてくれたように思うし、作者も、良沢と玄白の確執のような部分を随所で取り上げています。

同時期の日本の学者として良沢や玄白の他に、平賀源内が有名ですが、破天荒で派手好きな源内を地味で謙虚な性格の良沢は嫌っていたようで、源内と親交があった玄白も、解体新書を創る際に、源内を快く思っていない良沢をかなり尊重していたとなっていましたが、解体新書を出す時になると良沢が「まだ不完全だ」ということで、出すのはどうかという形を取っていましたが、玄白は自身の身体の不安から出すという形になったのですが、良沢の名前がなかったという部分に、玄白との確執があったことが伺えます。

良沢は完全主義者であり、苦学して身につけたオランダ語で翻訳した部分にまだ自信が無いというのに対し、玄白は生まれつき虚弱な体質だった事で、自分が世に残したいものという形にしたのですが、良沢にしろ、玄白にしろ、相手の立場や考えは理解している部分はあるとはいえ、どうしても埋まらない溝のようなものを終生抱えていたという所が、有名な書物発行の影のように見えて、非常に興味深かったです。

そういった二人の学者の姿は、それぞれの思いと確執が色々と見え隠れしていて、相手の立場や気持ちは判っていた。けれども、どうしても承諾しかねるという部分に、家族を先立たれ、寂しい余生を送った良沢と違い、新書で有名になり、家族以外には満ち足りた余生を送った事も皮肉なものを感じます。派手好きな源内は事業の失敗から落ちぶれて自殺した事を思えば、誰の人生が幸福だったのかとは一概に言えないし、人生は判らないという部分も描かれているようだし、頑固な職人のような人物だった良沢や、自分に自信が無い玄白と、才智を持って世渡りしながらも最後には・・・という源内のそれぞれの姿には、どこかもの悲しさと寂しさを覚えます。

そんな学者達の考えや人生には、いろいろと人間の生き方と人生の哀愁が出ているし、今生きている人々にも様々な部分で考えさせてくれますし、人生というものが、斜陽のようでもあり、また、ささやかなものを求めても・・・という事もあるのだし、学者達の姿と一生というものっや、偉大な発見というものにも、こういった協力な親交、確執があってこそ生まれてきたものや、歴史があったのだろうと思うと、切なくもなります。人生は幸福なことばかりではないということが、こういった内容からも読み取れてきて、シビアにハートに響いてきた感じです。

良沢にしても、玄白にしても、そういった人物達の想いと哀愁は、どこか現実の今でも続いているようにも思えました。他の吉村作品に比べると、やや読み終えた後の満足感に欠けるのですが、真実の中に、人は虚構を描いてたのかも知れず、または、虚構の中に真実を・・・という作者特有の作品という流れに外れませんでした。

学問や発見の歴史の明暗や、人の行動や影の部分という形を知る上でも、非常に重い内容が心に残りました。
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