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| 文学総合点=平均点x評価数 | 1,525位/3,067作品中(総合2/偏差値48.08) | 1,524位<= =>1,526位 |
| 2002年文学総合点 | 53位/110作品中 | 52位<= =>54位 |
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| 作品紹介(あらすじ)少年の日、西の町で暮らす母と僕のアパートに 「 てこじい 」 がふらりと現われた。謎めいた祖父に僕は魅かれてゆく。 忘れられない町、忘れられない時。祖父の生涯と死、母の迷いと哀しみを瑞々しく描く。第127回芥川賞候補作。 ( Amazon 「 MARC 」 データベースより ) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 著者:湯本香樹実 出版:文藝春秋 掲載:文學界 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 日本 開始日:2002/09/15(日) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
利用状況
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最近の閲覧数
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| 最終変更日:2011/12/12 / 最終変更者:雪霞 / その他更新者: 羽幌炭鉱 / 提案者:遠野 (更新履歴) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 2006/06/12 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/] by 遠野 (表示スキップ) 評価履歴[良い:250(100%) 普通:0(0%) 悪い:0(0%)] / プロバイダ: 7995 ホスト:8084 ブラウザ: 4184 10歳の少年のまなざしによって描かれた、放浪者である祖父――てこじいの最後の一年間の物語。 著者はこれまで、「夏の庭」や、「ポプラの秋」等の作品において、老人と子供との交流、また、死んでゆくものと取り残されるものを取り扱って来ましたが、本作も同様のテーマに則って構築されています。家族の中に溜まった、淀みが祓われるのも、また同様でしょうか。 予定調和のようにやって来たてこじいと、少年の交流を軸に、少年の母親との確執、遠い昔語り、ひとつの転機、そしてお仕舞いまでが、温もりある筆で紡がれています。 良いものも悪いものも隔てない、あどけない雰囲気の小説。1970年代の九州の地方都市を舞台に、ゆるやかに淡々と続く、母子2人と闖入者の生活が、回想形式によって語られています。 子供の目から隠されてしかるべき物事は明確に語られる事なく、けれど小さな隙間から、漏れ零れてしまう。やわらかな心に留まる疑問、小さな矜持、こだわり。 それらの匙加減が、非常に巧みなのです。時折現在、またはそれに近い視点に引き戻される事により、全体が程よく引き締まっている感もあります。 アカガイの貝殻が繋ぐ、過去と現在のエピソードが秀逸なのです。暖かな回想から、貝殻を媒介にして現在に飛び、女子学生の言葉をきっかけに、また過去へと還ってゆく。小さな言葉のはしばしから、当時の母の苦境、それに対する祖父の不器用な優しさと精一杯の心遣いが見えてくる。それが齎した大きな効果に、胸がじんわりと、溶解するような気持ちになりました。 てこじいの入院という転機から、仕舞いまでのごくごく短い頁は、特に印象的。交わされる祖父と孫の会話の純朴さも勿論良いのですが、「来るもの」に立ち向かう、少年の母の姿が特に、優れているのです。懸命に前を向く、懸命さと痛々しさ。けれど素直になることは難しい、そのもどかしさすら、彼女のしなやかな姿を引き立てる要素となっています。 「親の死に目に会えなくなるから」と、てこじいの前で夜中、爪を切っていた彼女が、「死神に向かって不屈の意思を示すかのように」シジミ汁を作る。彼女の内面の変化を端的に表す場面ですが、思い返してみれば、夜中に爪を切るという行為は、嫌がらせであると同時に、とても複雑なメッセージだったのではないかな、とも感じられるのです。(親よりも子供の方が早く死ぬ、即ち変調を来たしていた親に、出来る限り長く生きて欲しい、と云う) 煩わしいのか、慕わしいのか。両方の地点を行ったり来たりしていた彼女の立場は結局、最後まで定まることは無かったようだけれど、内にあったしこりの大部分が、取り去られてしまったのがわかるのが、嬉しい。 訪れるべくして訪れた、最期はとても、美しかった。締め付けられる程に切なくもありましたが、美しさがそれに勝っていたように思えます。 ラストの清清しさもこころよく、後味も爽やか。 頁数も文字数も少ない、簡素な雰囲気の本ですが、込められたものはとても大きい。 肩肘張らずに読めながら、じっくりと作品世界に浸ることができる。幅広い年代にお勧めできる、良質な一冊です。 この評価板に投稿する |
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