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慈悲深い死(小説)


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読み仮名: じひぶかいし / 英語タイトル: OUT ON THE CUTTING EDGE
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(本/漫画)
直近発売の本/漫画: 1990/07/25 ():慈悲深い死 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) \710
本/漫画(1件)
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文庫:慈悲深い死 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
参考:\710
1990/07/25
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1.NYの皮肉な日常会話
作品紹介(あらすじ)

元ニューヨーク市警警察官、マット・スカダーは重度のアルコール中毒
患者だ。瀕死の発作を起こして以来、断酒を続けている。無免許の私立探偵
として活動する彼の前に、行方不明になった娘を捜して欲しい、という依頼が。
死と隣り合わせのアルコールの誘惑、都会の退廃と孤独に苛まれながら、
ニューヨークの裏通りを独り行く私立探偵の物語。
マット・スカダー シリーズ7作目。

作者:ローレンス・ブロック
翻訳:田口俊樹
出版:二見文庫
発売日:1990/8/25(日本)
最終変更日:2006/10/08 17:34:32 / 最終変更者:古典主義 / 提案者:古典主義 (更新履歴)
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2006/10/08 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by 古典主義 評価履歴[良い:415(42%) 普通:233(24%) 悪い:332(34%)] / プロバイダー: 17809 ホスト:17707 ブラウザー: 5234
現代ハードボイルド作品の中で、長命を保つ人気シリーズ。
マット・スカダーシリーズと言うと、普通は代表作「八百万の死に様」が
挙がるのだが、個人的にはこちらの方が評価が高い。
ローレンス・ブロックは実は作劇法が完成(固定)されている作家で、
何作か発表順に読み耽ると、その骨子が読めてくる。さらに、3作程度で
テーマやスタイルをスイッチしてマンネリ回避まで図っているのだが、
その「マンネリ直前」が熟練と完成の極みで、食べ頃の作品になる、のにも
気付くだろう。
スカダーシリーズは6作目の「聖なる酒場への挽歌」、「八百万の死に様」、
「慈悲深い死」と続き、その後異常犯罪者が相手になる「倒錯三部作」へと
繋がるが、「慈悲深い死」と「獣たちの墓(倒錯三部作の最終)」が最も
出来が良い。そして、本作は「八百万の死に様」で自分の弱さと孤独、穢れた
世界への嫌悪をアルコールでしか癒せなかったスカダーが、足取りは危なっかしい
ものの、世界と折り合いをつけ、確かな歩みを踏み出した記念すべき作品だ。
私が世間的に代表作と呼ばれる「八百万の死に様」にあまり共感できない点は、
依頼人チャンスの「死と再生」は見事に描かれているのに対し、主人公スカダーが
「生きている」という確認に留まっている点だ。チャンスの事業破綻とそれを
乗り越える手伝いをしたスカダーは、その事実に触発されるかのように、今まで
出来なかった事、自身の弱さをAA(アルコール中毒者の会合)で告白でき、
豪泣する。しかし、一つの通過点を超えたに過ぎず、依頼人チャンスのように
新たな希望・目標へ向けて踏み出すには到っていない。そこが不満なのだ。
だが、本作の事件を通じてスカダーは自身の身を切るような決断を迫られる
にも関わらず、精神のバランスを崩さず決断・行動する。事件は性質上、
スカダーの孤独を一層浮き彫りにするし、失踪事件の真相も世界の無情を
具現化する内容だ。しかし、大酒飲みの重犯罪者というスカダーと正反対の
人間だが、妙に気の会う友、ミック・バルーを得て、スカダーが初めて自身の
居場所を確認する。哀切の中にしみじみと爽快感を感じさせるラストだ。
本作は、「聖なる酒場への挽歌」から続いた「酔いどれ探偵」として、
人間の弱さを体現するスカダーの「叙情三部作(勝手に命名)」の転換期だ。
冒頭では断酒を続けているが、続くかは定かではない状態に読者はそこはかとない
不安を抱く。しかし、辛く厳しい事件を乗り越え、ミック・バルーと「肉屋の
ミサ」へ行く約束を交わすスカダーは、もう酒で身を誤る事が無い、と確信
できる。体験する事件がより無情で凄惨な事が、それをかえって浮き彫りにする。
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