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| 文学総合点=平均点x評価数 | 762位/3,067作品中(総合4/偏差値49.97) | 761位<= =>763位 |
| 2005年文学総合点 | 31位/134作品中 | 30位<= =>32位 |
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| 作品紹介(あらすじ)どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。 財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。 そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 作者:宮部みゆき 出版社:幻冬舎、光文社 新聞連載内容に加筆修正、および最終章の書下ろしを追加して刊行(2006/08/25)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 日本 開始日:2005/03/01(火) 北海道新聞・東京新聞・中日新聞ほか 海外 :開始日:2005/12/31
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| 最終変更日:2010/01/02 / 最終変更者:Janus01 / 提案者:美代子 (更新履歴) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 2010/01/02 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/] by Janus01 (表示スキップ) 評価履歴[良い:83(80%) 普通:14(13%) 悪い:7(7%)] / プロバイダ: 16297 ホスト:16332 ブラウザ: 9466 「名もなき毒」まさに著者が書きたかった内容を示すタイトルである。 「名もなき…」と言うフレーズは、「名もなき大衆」「名もなき人々」「名もなき野辺の花々」の様に使われる。口語形では自己評価として「名も無い○○」と卑下して見せる場合に「一介の」と同じ意味で使われる場合もあるが、「名もなき…」という文語形では「個」として認識されない多くのものどもを集め寄せたものを指すことが多いと思う。 では、「名もなき毒」の指す、寄せ集められた毒とは…。最初に毒殺事件が描かれる。これも毒の話には違いない。次に主人公が現れて、ハウスシック症候群の話題が出てくる。これも一種の毒の話である。さらには住宅の問題として、土壌汚染の話題も現れる。確かに毒の話である。しかし、本書に潜む本当の毒とは、化学物質ではない。それは、人と人の関係の中で生じる形の無い毒が顕在化して現れたものである。 個々の出来事は明確に描写してある。展開もそれなりに予想できる。しかし、全体像は読み進めても読み進めてもなかなか見えてこない。こういった作品であるので、最初から肌に合わない、あるいは途中で挫折する人も多くいるであろう。自分の場合は、途中で本を伏せ、ため息をついては「どうして読み始めたら手を離すことができない小説なのだろう」、そう思ってはまた本を手に取る。その繰り返しで読み進めていった。 本作には、主人公が関わっている以外は一見全く関連の無い2つの事件がある。そしてそれは確かに直接の関連は無いのだが、その2つの事件が重なり合うとき、ちょうど幕を掛けられて正体がわからなかったものの幕を外す除幕式に立ち会った様な感じがした。 また、自分にとっては本作は、多くの宮部みゆき作品を覆っていた幕を取り払う役目を持った作品でもあると感じている。同じ著者による『火車』『理由』『模倣犯』と読み継いできて、必ず読後に残るやるせなさの「毒」、その毒どもの集積地が本作品であり、その姿をはっきりと示して見せたのが本作品であったと。それらの毒の一面について、本作の中盤に主人公の義父がこう語る場面がある。「我々がこしらえたはずの社会は、いつからこんな無様な代物に堕ちてしまったのだろう」と。 新聞連載の最後は「バカ野郎ぉぉぉ!」の叫びの場面で終わるそうである。単行本も新聞連載と同じ部分で終わったのならば、以前の作品と同じで、何度も繰り返してきた読後の「毒」に自分は執り憑かれたままでいただろう。しかし、本作品には、刊行に際して、最終章が書き加えられた。登場人物たちは、トラウマを抱えながらも、前向きに歩き始める。ちんどん屋の奏でる藤山一郎の『丘を越えて』と、道楽で解毒薬の役割を果たそうと思った故人の想いで、本作は締めくくられる。 著者が前述の各作品で提示してきた毒。それを描き出してきた著者は、本作を読んだ読者のわずか一部だけでも主人公が気づいた故人の想いに共感してくれることを望んでいるのかも知れない。 --- 途中にも書きましたが、本書を受け付けない人も多いと思います。自分にとってもやはり好きになれない作品でもありますが、著者の作品の最高峰の一つと評価いたします。なお、前作『誰か』の設定を引き継いではいますが、前作を読んでいなくとも内容把握には問題が無く、この1冊だけでも読める構成になっています。 [推薦数:1] 2006/11/14 良い(+1 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/] by 美代子 (表示スキップ) 評価履歴[良い:358(87%) 普通:23(6%) 悪い:31(8%)] / プロバイダ: 32756 ホスト:32772 ブラウザ: 2850(携帯) 宮部みゆきの本は今まで全く読んだ事はなかったが、 これはたまたまウチで加入している新聞で連載されていた為最後まで読んだ。 故に内容と少々異なるかもしれないが、かなり面白く、また考えさせられた作品。 まずタイトルの「名もなき毒」。 毒、と聞いて普通に致死性のモノを思い浮かべるのが殆どだろう。 この物語は一人の老人が青酸カリ入りのジュースという「毒」を飲み、死ぬ事件から始まる。 そこから家に潜む毒、所謂ハウスシック症候群に至る「毒」、 人が持つ言葉という「毒」、 かつてそこに建っていた工場が残した「毒」。 これらが様々な形で主人公と、それに関わる人々に襲いかかっていく様は、 ある意味社会の縮図である。 毒を使ったり、毒に犯されたりする人々を主人公は目の当たりにし、 そして破滅したり、結果的に犯罪を犯してしまったりする加害者でも被害者でもある人間を見つめていく。 勿論そんな「毒」を使った人々が一様に悪い訳ではない、 だからこそ被害者の肉親であった少女の、連載最後での台詞、 誰にも向ける事が出来ない、悲しい叫び、 「バカヤロー!!」 が胸に突き刺さる。 文庫化にあたり流石に最終章が追加されたらしいが、 世の中に潜む「毒」というモノに、人について深く考えさせられた、名作とはいかないまでも佳作だと思う。
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