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小説評価: 843位 <= 844位(2,343作品中/偏差値49.10) =>845位

空白の戦記 (小説)

読み仮名: くうはくのせんき
総合情報評価
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(本/漫画)

直近発売の本/漫画: 2005/07 ()神風特攻の記録―戦史の空白を埋める体当たり攻撃の真実 (光人社NF文庫)
本/漫画(6件)
売上/新着
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:告白的「航空化学戦」始末記 (証言・昭和の戦争 リバイバル戦記コレクション―空白の戦記)
参考:\1,631
1992/10
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221419
文庫:空白の戦記 (新潮文庫 よ 5-9)
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1981/04
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1.知られざる秘史
363607
文庫:神風特攻の記録―戦史の空白を埋める体当たり攻撃の真実 (光人社NF文庫)

参考:\670
2005/07
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1.組織的特攻はフィリピンで始まった
806340
:空白の戦記 (1970年)
参考:\452
1970
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1042484
:地獄の戦場「沖縄」・奇蹟の脱出航海記 (証言・昭和の戦争 リバイバル戦記コレクション―空白の....
参考:\1,631
1992/09
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:空白の沖縄戦記―幻の沖縄奪還クリ舟挺身隊 (1975年)
参考:\1,029
1975
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作品紹介(あらすじ)

日本が国際社会から孤立しつつあった昭和10年(1935年)に起こった第4艦隊事件、昭和8年(1933年)の友鶴事件、沖縄の捕虜となった日本兵の住民達の悲劇と特攻、戦艦武藏の図面紛失事件など、太平洋戦争にまつわるエピソードを描いた戦記ドキュメンタリー。

著者:吉村昭
出版社:文藝春秋
最終変更日:2008/03/11 19:48:19 / 最終変更者:634 / 提案者:634 (更新履歴)
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1. 2008/03/18 最高! by 634 [編集・削除/削除・改善提案//論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿]
評価履歴[良い:1380(50%) 普通:541(20%) 悪い:851(31%) 推薦人:51 推薦評価:165] / プロバイダー: 10780 ホスト:10888 ブラウザー: 6342
戦争という人間が起こす愚行に纏わる様々なエピソードを集めたもので、艦に不釣り合いな位の過剰な武装化が原因で起こってしまった「友鶴事件」と、演習中に強風で艦があおられ、艦体が一気に破断してしまった「第四艦隊事件」、捕虜になった日本兵が、降伏を呼びかけても、逆に友軍に殺されてしまうという話や、作者の最高作である『戦艦武藏』の中で描かれた軍艦図面紛失事件というものが色々と描かれており、その内容も非常に心に残るものがありました。

第四艦隊事件や友鶴事件は、艦の船体構造の脆さと限界点が浮き彫りになり、それが原因で艦の対策が問題となったものなのですが、その対処の方法が、海軍や日本の隠蔽という部分が良く出ているし、日本の弱みを見せないように、見せないようにという描かれ方をされています。

第四艦隊事件にしろ、友鶴事件にしろ、外国の圧力に対し、日本の力を見せてやるという目論見で演じられたものではありますが、その事で逆に日本の脆さのようなものを見せてしまった事を恐れた軍によって、徹底的に・・・という部分が、当時の緊張感を伝えると同時に、軍事機密を開けやかすことについての恐れと、人間の愚かさが出ています。

冷静に考えると、軍事機密の流出は確かに深刻なものではあるでしょうが、その軍事機密の流出を阻止するのが過剰すぎるきらいもあるし、兵器というものは日進月歩であり、一年前に造られた新鋭兵器が一年後にはもう旧式化しているというのは、よくあることです。そして、そんな技術が知れたか、知られなかったかという部分には、人間を客観的に見ている作者の目があります。

太平洋戦争で、アリューシャンで墜落した零戦を最後まで発見できず、米軍に零戦の弱点を見抜かれた・・・という部分で、零戦の損耗率が上がっていきますが、その零戦の軍事機密が隠せても、防御力軽視の零戦には、もともと運用上、制作上の無理があったのだし、そういった日本の脆さが、危機管理に今でも甘い日本を映し出していたように思えます。

戦艦大和の46センチ砲にしても、戦後までその口径が知られなかったのですが、それでも、大和の主砲が戦争中には何の貢献もしなかったように、第四艦隊事件や、友鶴事件での艦船の脆さを隠しても、結局、日本は負けてしまったという現実を考えれば、秘密を隠し通しても、ついには・・・という空しさや虚無感が溢れ出ています。

こういった日本の体質の問題が描かれ、戦艦武藏の図面紛失事件にしても、そんな日本の環境が引き起こしてしまったような事件のようにも思えるし、そういった意味では、本作は、そんなあまり知られなかった戦争と兵器の歴史を描いているのだし、人間の必死さと愚かしさが出ていたように思えました。武蔵の図面紛失をカバーし、完成を急がせても、結局は・・・という武蔵の最期に、そんな虚無感が出ていたのではないかとさえ思えます。

現在のアメリカでも、イラク戦争で、大量破壊兵器が・・・などという事で問題が出ていますが、そういう軍隊組織の歪さが、この作品にも出ているような感じです。よく、アメリカの戦争は相手に言いがかりを付けて・・・と言われていますが、そのアメリカの戦争にしても、徳より損をするという構造は昔から変わっていないし、今の諸問題にも通じる作品だったといえたでしょう。

酷い話として、米軍捕虜になった主人公が米軍の日系人の世話を受けるのですが、沖縄戦で降伏や投降を呼びかけることは出来ないかという役を引き受けますが、沖縄住民は軍から「米軍は女子供でも全て皆殺しにする」という洗脳教育を受けていて、余計な犠牲を強いてしまったし、最終的に主人公は軍に、なんとか出来ないかと頼むのですが、裏切り者や「死して療囚の辱めを受ける事なかれ」という日本軍に蔓延していた降伏は許さず自決しろ、出なければ、処刑するという形を終戦までとっており、味方に殺されるという結果になってしまいます。

しかし、こういった考えは日本軍に強調されがちですが、他の国の軍隊も同じような事をしていそうだし、そんな教育を今でも・・・と恐ろしい想像までしてしまいそうになります。そういった暴力と破壊、殺戮という戦争の中で人間は次第に歪に、おかしくなっていく・・・という部分も、この作品に出ていたような感じです。

人間が起こす最大の愚行はやはり戦争なのだし、そんな戦争という理不尽なものに振り回された結果が・・・というシビアさと、視点の鋭さは、今のこの時代に於いても無視できないものがあり、作者のそういったあらゆるものを見てきた冷静な観察眼を改めて再評価すべきではないかと思えそうな内容でした。
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