全作品アニメゲーム漫画小説ドラマ特撮日本映画海外映画情報DB:声優,ゲーム機..論客:参加日/階位/地域日記


小説評価: 1,302位 <= 1,303位(2,341作品中/偏差値48.47) =>1,304位

顔師・連太郎と五つの謎 (小説)

読み仮名: かおしれんたろうといつつのなぞ
総合情報評価
(評価投稿)
懇談室画像/壁紙商品
(本/漫画)
直近発売の本/漫画: 1989/11 ()顔師・連太郎と五つの謎
本/漫画(1件)
売上/新着
1085663
単行本:顔師・連太郎と五つの謎
参考:\1,325
1989/11
()
作品紹介(あらすじ)

日本舞踊の化粧師である連太郎と、顔の無い人形、五郎。
伝統芸能をベースに描く、連作ミステリー短編集。

著者:皆川博子
出版社:中央公論社

掲載
「春怨」・・・別冊婦人公論 1989年春号
「笛を吹く墓鬼」・・・別冊婦人公論 1988年秋号
「ブランデーは血の香り」・・・別冊婦人公論 1989冬号
「牡丹燦乱」・・・別冊婦人公論 1989夏号
「消えた村雨」・・・小説新潮7月臨時増刊 '87SUMMER
発売日:1989/11/20(日本)
最終変更日:2008/05/09 20:13:00 / 最終変更者:遠野 / 提案者:遠野 (更新履歴)
評価統計(1日1回定時に更新)
 評価平均小説評価順位偏差値評価ポイント最高の中の最高
日本とても良い(2.00)1,303位48.472.00 

利用状況

総閲覧数書込み数評価数
日本7011
海外1200

評価の分布

最高とても良い良い普通悪いとても悪い最悪
人数0100000
割合0.0%100.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%
加算分布0%100%100%100%100%100%100%
分布要約100%0%0%
                                                                                                    

最近8日間の閲覧数
合計13日12日11日10日9日8日7日6日
70
2
5
3
24
36
0
0
0

ログイン状態で有階位者ご利用可能
階位さえあれば可能
階位1000位以内必要(階位と権限/特典の関係の説明)


1. 2008/05/09 とても良い by 遠野 [編集・削除/削除・改善提案//論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿]
評価履歴[良い:232(100%) 普通:0(0%) 悪い:0(0%) 推薦人:12 推薦評価:28] / プロバイダー: 28399 ホスト:28393 ブラウザー: 4184
顔師(日本舞踏舞台の化粧師)連太郎が出逢う、五つの事件を綴った連作短編集です。芸能に携わる者の眼差しによる描きが、非常に美しい作品。職業人ならではの視線が、文章に確かな息づきを与えています。

探偵小説ないし、推理小説に分類される小説ですが、本作は他のそれらとは、一線を画しています。主人公は事件の解明はすれど、解決らしい解決を成す事はありません。推理モノに欠かせない(?)、警察の出番も、殆どありません。どの編も、関係者の内側に向かって完結して行くような感があります。

閉塞感を強める一端を担っているのが、第一編「春怨」にて連太郎が入手する、顔の無い人形、五郎。主人公の深層、無意識下にある言葉を形にする役割を担っているのが、この五郎なのですが、彼(?)には、キャラクターが存在しないのです。
主人公の内なる声を具現する、無機物が登場する作品は、幾つか読んだことがあるのですが、それらに在るような「明確な仮の人格」、また「相方的なポジション」が、五郎にはありません。
連太郎の意識――拘りのようなものが邪魔をして、表層に現れることのなかったインスピレーションを伝える。言葉の投げかけや会話、と云う手法を取ってはいますが、それらは、思考の紡ぎ手による自問自答の域を出ない風に描かれています。
五郎と接する連太郎は、孤独であるようであり、孤独でないようであり。面も鬘もない頭部は、鏡のようなものなのでしょうか。如何な言葉を伝えようとも、五郎は連太郎でしかない――ことが、筆の陰から滲む。
この人形は、世界を広げる役割は果たしようもないけれど、深める役割は、存分に果たしているのだな、と、深々と思います。

前述した通り、本作は「解明はするが、解決はない」編ばかりが収められています。トリックも凝っており、独特の美しさがある。主人公の職業や見識、また舞台設定も、活かされています。
けれど如何せん、釈然としないのです。理解は出来るが、納得ゆかない……とでも云えば良いのか。すっきりと、整然とした仕舞いを求める方には、どうにも薦め難い。
けれど通読して、振り返ってみれば、その座りの悪さすら、本作の「色」だと感じられてくる。連太郎ひとりの物語だとすれば、この形は理想的な仕舞いの型のうちの、一つなのかもしれません。

結局物語は、凄まじく釈然としない形を貫いて、終焉を迎えます。初読では、これで終わってしまうのか!……と、愕然としてしまったのですが、一度読み直してみれば、ひどく「らしい」かたちだと、妙な納得をしてしまいました。
鮮やかな筋書きなどない。あるのは、連太郎の無力を思わせる、流ればかりです。心情的には、抗って欲しい。感情は、歪もうとも反逆する人々に、傾いてしまう。
けれどもまた、そう在ろうとしないのが、この主人公なのだ、と納得してもいるのです。彼には――この物語には、このような終わりしか無く、また、この終わり以外に、行き着く場所は無かったのでしょう。

この作品は、著者が文庫化を拒んでいるらしく、手に取ることは難しい状況です。勿体無い!
見かけたならば是非ご一読を。万人受けは難しいでしょうが、美しい作品なのです。
評価投稿 / 作品DB目次へ戻る
作品データベース目次 | 最速一括検索エンジン | サイトマップ | Copyright(c) 1999- 1st Class