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| 著者:隆慶一郎 出版社:新潮社 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 2005/09/22 良い(+1 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/] by 神 賢一 (表示スキップ) 評価履歴[良い:50(82%) 普通:5(8%) 悪い:6(10%)] / プロバイダ: 7706 ホスト:7387 ブラウザ: 5234 本作は『吉原御免状』で文壇に華々しいデビューを飾り、その後も次々と時代小説を世に送り出していた隆慶一郎氏が、満を持して『吉原御免状』の続編として執筆した作品である。 前作の終幕で吉原の惣名主となることを決意した松永誠一郎が、父親である後水尾上皇との面談を果たして吉原に戻り、それから5年程が過ぎた時代を話の中心に据え、裏柳生の総帥であった義仙との年を経た対決や老中酒井忠清の陰謀など、前作を上回るスケールで描かれている。 舞台は再び吉原を中心に江戸全体や大阪までも含め、前作の主要な登場人物に加え新たな人物を舞台に送り出し、完結したはずの前作の内容をうまく伏線として絡ませながら、物語を展開していく。 前作の義仙との対決において、情を交わした裏柳生の間者であった勝山太夫を失った誠一郎であったが、その後初めての人であった高尾太夫までも失い、心に影を落とし始めた誠一郎の心理情景を本作では重視し、その変化を比喩的表現を巧みに使いながら読者に訴え、誠一郎とて超人ではないと言うことを示すことでより一層読者を物語の中へ誘っていく。 一方の義仙は前作での最後の誠一郎との対決において右腕を失い、柳生の里に逼塞していたが、その6年余りの年月を誠一郎への復讐心を糧に残る左腕一本でひたすら剣の技を磨き続け、老中酒井の「神君御免状」への裏黒い欲望を利用して、以前の様な直接的な攻撃ではなく、間接的に吉原への攻撃を始めることとなる。 そして本作で新たに登場した人物で特に中心となるのが、「鍵屋の辻の仇討ち」で有名な荒木又右衛門であろう。仇討ち後にも数奇な運命に晒され、そして病死したはずの又右衛門はその業により柳生の里に「死後」潜伏しており、裏柳生との関わり、そして誠一郎とも関わることで、話を進めていく中で重要な役割を果たしていく。 文体は総じて前作を含めた、無駄の少ない隆氏らしい読みやすい文となっている。内容は充分な厚みを持っていながら、読みやすさがそれを感じさせず、読み続けることが苦にならない作品であるのは氏の小説に共通する点であろう。 誠一郎とライバルである義仙の心理描写・心情変化も丁寧に描かれており、彼らを含めた登場人物の息吹を感じることが出来るのも前作から巧みに継承されているところであろう。 惜しむらくは話を完結させるために時代を飛ばしている箇所があり、その間の描写と言うのが不足しているところかもしれない。 本作における義仙との最後の対決の後、5年ほどの時間を再び経過させて物語の終幕へ向けて進むことになるのだが、描かれている時間に対する中身が非常に濃いため、描かれていない経過した時間と言うのが読者には感じることが難しく、読み進める上での印象としては5年が5ヶ月程度の経過にしか思えないところではないだろうか。 その話の結末は本作を読み通して確認して欲しいが、『吉原御免状』から続く松永誠一郎の話は本作を持って一応の幕を閉じる形になっている。 本来であれば隆氏は誠一郎の後の吉原も続編として描く構想を持っていたとの事だが、やはり小説家として5年と言う短い期間で世を去ることになったのが惜しまれる。 この評価板に投稿する |
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