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光源氏殺人事件(小説)


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読み仮名: ひかるげんじさつじんじけん / 英語タイトル: Hikarugenji satsujinjiken
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(本/漫画)
直近発売の本/漫画: 1992/07 ()光源氏殺人事件 (講談社文庫) \469
本/漫画(2件)
売上/新着
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新書:光源氏殺人事件 (講談社ノベルス)
参考:\693
1985/06
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文庫:光源氏殺人事件 (講談社文庫)
参考:\469
1992/07
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作品紹介(あらすじ)

藤谷建設の会長綾子は、夫の死後堅実に社業を担ってきた。先妻の子和正は畑違いの国文学者で、その年若い妻尚子は、一族の青年秋弘との罪の子を妊娠している。素知らぬ顔の和正は、秋弘に源氏物語に関する或る調査を命じるが、驚くべき秘密が判明しかかって……。愛執の悲劇を、王朝物語に託す推理長編。 (amazon「BOOK」データベースより)

著者:皆川博子
出版社:講談社

講談社ノベルス版・1985年6月発行
講談社文庫版・1992年7月発行
発売日:1985/06/05(日本)
最終変更日:2007/07/08 22:28:57 / 最終変更者:遠野 / 提案者:遠野 (更新履歴)
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2007/07/12 良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by 遠野 評価履歴[良い:241(100%) 普通:0(0%) 悪い:0(0%)] / プロバイダー: 28399 ホスト:28431 ブラウザー: 4184
文章の密度も然程高くなく、さらりと読短時間で読めてしまう小説です。本作も、「世阿弥殺人事件」や「忠臣蔵殺人事件」等と同じように、旅行等の移動時間にでも読み捨てられる軽いものを、と、求められて執筆された作品のようです。著者の紡ぐ濃密な描写、徹底的に織り上げられた世界観に惹かれる身としては、些か物足りない思いをさせられてしまう一冊でした。

物凄く入り組んだ家系に纏わる物語です。この人にとっての叔父が、あの人にとっての従兄弟だの、祖父の甥であり、叔母の元夫であったり。掲載された家系図を指で追わなければならない位には、ややこしかった。見るからにこの家系図が、今後の展開に関わってきそうだったので、可能な限り頭に叩き込もうと頑張ったのですが、そこまで意固地になる必要性もなかったのが、少しだけ切なかったです……。
所謂、紀行ものミステリーに分類されるであろう本作。しかし、源氏物語云々と、阿蘇、この二つのポイントが、作中でうまく重なっていない印象を受けます。東京と宇治の往復で物語を拡げたほうが良かったのでは、との思考は、矢張り甘いものなのでしょうか。

しかし、著者の源氏物語に関する考察、それに基づく展開は、非常に興味深かった。ふるい時代の文章が、ゆるやかに流れ、そこに丁寧な解釈が添えられるさまが、上品で良いのです。読み応えだけでなく、著者の筆の美しさが、存分に生きる一連でもあります。トリックに当該作品がふんだんに使われているのも、美しくてよい。源氏物語は、古典の授業で掻い摘んだ以外には、現代語訳されたものしか読んだことはなかったけれど、辞書片手に原文を読んでみるのも悪くはないなあ。
ミスリードも、中々に巧妙でした。ただ、古典にもう少し詳しければ、もっと穿った読書が出来たかもしれません。トリックを読み解いて、にやりとすることも出来たかもしれないと思うと、それが心残りであり、情けなくもあり。
作品の根底を成す部分は、強引だ、と思える所はありましたが、それよりも意外性が勝り、中々に面白いものでした。なるほど、その為の家系図だったのか、と、感心しきりです。

中途半端に昔の作品なので、表現等に相容れない部分はありますが、これはまあ、仕方ないことなのでしょう。ただ、同時代に同時代を描いた作品にも、表現云々の違和感を気にせずに惹きこまれる作品は多くあるので(勿論、著者の他作品も含む)、やはりこれは、軽さが一因にあるのだな、と捉えざるを得ません。

余談になりますが、作中に、西条八十の詩が引用されているのが、嬉しい。近年発行された「ゆめこ縮緬」や、「蝶」などに共通する、鮮やかな毒と匂やかさが感じられ、思わず浸ってしまいます。そういえば、皆川氏は、他作品を、自作品に溶け込ませる技量も、巧みなのでした。

この系統の著者の作品を読むたびに、歯痒い感情を覚えてしまいます。ですが、文章のはしばしに、「らしい」ふくよかさ、緻密さが見えることは、正直に嬉しい。
いまの著者が、本作品をリメイク――とはいかなくとも、源氏物語を同じく題材にとった作品を執筆したら、どのような作品が生まれるのでしょうか。想像するだに本作は、重ね重ね、勿体無いものなのだな、と思ってしまいます。
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