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| 文学総合点=平均点x評価数 | 1,559位/3,067作品中(総合2/偏差値48.08) | 1,558位<= =>1,560位 |
| 1988年文学総合点 | 24位/49作品中 | 23位<= =>25位 |
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評価統計
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| 作品紹介(あらすじ)発想を中世以来の様式に求めながら、老と若、女と男、光と闇、そして夢と現実とのありうべからざる交錯と混沌とを、底光りのする言葉に紡ぎ出した新たなる幻想的連作綺譚5篇。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 著者:皆川博子 出版社:中央公論社 *以下掲載 景清・別冊婦人公論・1987年夏号 幽れ窓(ステーション・ホテル改題)・婦人公論・臨時増刊1986年 夜光の鏡・別冊婦人公論・1987年秋号 冬の宴・別冊婦人公論・1887春号 青裳・婦人公論・臨時増刊1987年 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 日本 開始日:1988/04/07(木) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 最終変更日:2008/04/13 / 最終変更者:遠野 / 提案者:遠野 (更新履歴) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 2008/04/13 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/] by 遠野 (表示スキップ) 評価履歴[良い:250(100%) 普通:0(0%) 悪い:0(0%)] / プロバイダ: 28399 ホスト:28393 ブラウザ: 4184 5つの能、その演目より5つの世界を拡げた短編集です。それぞれの作品のワンシーンから、想像と変相の筆により、あらたな息吹を与えられた物語たち。それらが艶やかに、頁を彩っています。 本書の中で、もっとも惹かれたのが「景清」です。過去といまが混ざり合い、重なり合う。著者の技量の鮮やかさが、これでもか、と云うほどに揮われた編です。 特筆すべきは、その色彩の見事さでしょうか。白粉の一種おそろしげなうつろさ、そして、行間からしたたるような緋色。――紙で造られた、まがいものの椿、童女の幼い唇に差された紅の色、散る血液のイメージは、視覚だけでなく、嗅覚にも訴えかけるようです。 隔たれた時にあって、互いに影響しあい、影をさしかける。双方に通じる、満ち満ちた寂しさが、胸に響いて、少しばかり痛い。ここで描かれる大人たちが皆どこか、鬱屈としているだけに、童女と彼女が出会った少年の稚さ、屈託の無さが際立って、やわらかく輝くさまが、どうしようもなく切ないのです。 攫われた井戸の底、あらわれた少女の骨。ごくささやかな、呟きの端の哀しさにも揺らされる、美しい編でした。 過去といまが混じりあう、という点に於いて共通する「夜光の鏡」も、非常に優れた一編です。(もっとも、ここに表記する「いま」は、戦時中ですし、「過去」も、単純に時間を遡った上での事象と定義義して良いのか、怪しいところではあるのですが) 遊女とその子ども、歪で不安定な関係が織り上げる空間が、絶妙なのです。足場の悪さにも、馴染んだように横たわり、けれど、決して馴染めないでいる。あやふやな筆が、何とも言えず、良いのです。冒頭、鏡に映る幻影の描写も、素晴らしい。 いまに於ける、少年の体験と思考も、瑞々しさと生々しさのかけ合いに、引っ張られてしまいます。湯船にて、少年の腕に絡まる幾筋かの髪の毛にはじまり、ゆるやかに増大してゆく母という存在の怪しさ――少しずつ、けれど確実に、ぎりぎりと引き絞られ、唐突に断ち切られた、一連。 ラストにて、溶けあう過去といま。皆川作品らしい閉じ方と幽玄さに、感嘆の息を吐いてしまいます。 「景清」の、続編あるいは、世界を共有する作品「青裳」も、視覚につよく訴えかける、印象的な編です。「映る(写る)」ことが、暗示的に多用されており、少々解き方に戸惑ってしまいました。主人公が鏡に視た幻影と、現実との繋がりには、何ら説明は成されていない為、こちら側で解釈しようにも、一時毎に捉え方が変わり、一向に纏まらない。けれど、やわらかな不条理さが、アンティークめいた言葉と重なって、世界を構築してゆくのです。化粧台、焼け残った洋館に住まう女、模造大理石の浴槽、亡命露西亜人が開いたバレエスタジオ、遺されたフィルム、薄青いチュチュ。ひとつひとつが醸し出す雰囲気が、物語りも終盤に向かう読み手を、酩酊させてゆくようでした。こちらも、らしい閉じ方。そしてやはり、美しい。 頁数のわりに、読了までに時間を要してしまいました。原典となった能をある程度知っていなければ、入り辛い編があった所為ですが、それを除けば、概ねどっぷりと嵌りこむことが出来たのも確か。 けれど矢張り、原典に関する知識があれば、より面白くなるであろう事は、想像に難くありません。もう少し知識をつけてから、再読したい一冊です。 この評価板に投稿する |
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