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白鳥異伝(小説)


評価: 好評評価限定(日付順) [他形式: RSS/携帯版/English]
読み仮名: はくちょういでん / 英語タイトル: Hakucyou Iden
総合
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懇談室日記
2007/02/18
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2007/11/24 最高! [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by 評価履歴[良い:147(92%) 普通:7(4%) 悪い:6(4%)] / プロバイダー: 19056 ホスト:19186 ブラウザー: 5234
「物語」に求めるすべてがつまってました。これこそ物語、と思って読んでいました。
物語られるためだけに存在している物語、他のジャマなものがなにもなかった、そんな気がします。

荻原作品の中で、完成度はいちばんかもしれない、とも思う。長さも構成も盛り上がりもなにもかも。
ジブリでのラピュタ位置、と勝手に思っています。三部作品中、賞をなにももらってない、ってのもラピュタ的。
(もらってればいいってもんでもないでしょうけど、自分はミーハーなので、
好きな作品が賞もらっていると世間様から認めてもらえたみたいで、つい喜んでしまいます・・・。)

あと出てきた勾玉の数もいちばん笑。あまりに剣の力に匹敵しているので、空色でもみんなの勾玉集めたらよかったのでは・・・と思ったりもしました。
(きっとソレが出来ない何かの理由が合ったに違いない・・・!)
歩いた距離も一番では。(西の善き魔女も結構歩数ありそうですが)
大変なことばかり起きているのに、文章が妙にからっと明るいのも楽しく面白く、引き寄せられるように読み進められてしまう話でした!
入り込んででもメロウになることのない文が、すごかった。
ラストも、どこまでもがんじがらめでどうやってこれを・・・と思っていたのに、あっという間の力技でねじ伏せられた!と感じました。でも違和感もなにもなくて、全面降伏だった・・・。雪の降る前のしんとした空気感をこれ以上ないくらい使っていたと思う。大事なときには必ず何かが降っている気がします。光や雪や雨そして花。

登場人物みんな魅力的だったけど、個人的に象子に思い入れがあります。
中の姫という呼び名に興味を引かれます。(明姫と遠子と3人セットだったのかな、とか・・・きついなそれ・・・とか・・・)

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こちらで評を寄せる最後の日に追記。(07/11/24)
作中の遠子の菅流に向かっての「あなたのものさしでわたしをはからないでよ」(文庫だと下巻p98)って台詞、改めて読み返すととても印象的でした。
この作品以外でも「樹上のゆりかご」なんて、まさにそれそのものがテーマな感じ・・・。
樹上以外でも、その内なるものさしを発見する過程を見せてくれた稚羽矢と苑上、徹底的に自分のものさしの目盛りを無理を承知で押し通したフィリエル・・・すべての荻原作品に通用する言葉でもあると思います。
そしてこの作品での遠子の小倶那へのふるまいに強く関わってくる言葉。
みなが彼を縛り上げて心に思い描く位置に据えようとしたのに対して、遠子だけは小倶那のことを「自分のものさし」ではかることをやめた。気持ちを勝手に計測しないで仕立て上げないで、相手の思うあるがままを受け止め、愛情はそのままに執着を捨てた。
そこを深読みしつつ興味深く読み返しています。
たぶん、一生読み返す本だと思います。現場百回・読書百ぺん、です。
2006/11/28 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by アマンドの木 評価履歴[良い:254(77%) 普通:72(22%) 悪い:5(2%)] / プロバイダー: 17574 ホスト:17513 ブラウザー: 3646
自分の持っていたのは黒い表紙だったのに、数年後に見たら白い表紙になっていたのに驚いた。内容とは全然関係ない事ですけど。
前作は神代、今作は古代日本がモチーフです。元ネタは題名を見れば分かる通りにヤマトタケルノミコトのお話。元ネタの方はそれほど関係があるわけではないのですが。

前作では半分神様見たいな人が普通に歩いていた世界ですが、時代が下ってそういう人はいなくなります(作品間の関係性も非常に上手いと思う)。そして、その神様の時代の力を伝える勾玉を巡って物語が動き始めます。前作同様に、話の骨子は非常にスタンダードなもの。
しかしスタンダードだからこそ、細部の描写(舞台となる世界の描写にせよ、登場人物の心の機微にせよ)は非常にしっかりしている。それでいて読みやすさは損なわれていません。むしろそういった描写がしっかりしているからこそ、スタンダードな「少女の成長譚」が心地良い物語として本の中に広がっているのかもしれない。

好きだったのは大うす(字が出せない・・・)皇子と明姫。恋とか愛とかを自覚できない年齢のヒーロー(主人公が女の子のなので、その相手役はヒーローですよね)にとっては、一種の不条理として立ちはだかったのだろうな・・・

そしてこの作品にもモチーフとなった世界から取り入れた、暗い設定が後半になって顔を出す。インセストタブーがこの物語の背景に横たわっています。そういった生々しさが、嫌悪感を引き出す一歩手前まで描写されているため、物語全体に暗さや重みだけが残る。
だからこそ、主人公のスタンダードな恋物語の美しさが祝福に値するものとして、さらに浮かび上がる。

前作もそうだったのですが、今作も終盤のクライマックスの前後がやや駆け足な雰囲気。その部分だけ見たら、十分に上手いと思うのですが、それまでがそれ以上に上手いので、何となくトーンダウンな感じを受けないでもない。大団円なラストで美しいのですけど。

個人的な趣味好みでは前作の方が好きなのだが、出来としては間違いなくこちらの方が上。何度読んでも面白いし、ふと読みたくなる事がある。児童文学という枠ではあまりにももったいない、上質のファンタジー。
「とても」は当然の作品だと思います。
2006/04/14 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by 遠野 評価履歴[良い:244(100%) 普通:0(0%) 悪い:0(0%)] / プロバイダー: 7995 ホスト:8072 ブラウザー: 4184
勾玉3部作、第2弾作品です。一作目である空色勾玉より、幾世代か下った時代の物語。
ストーリー上の繋がりは無いので、単独で読んでも大丈夫ですが、出来れば3部作、発行順に読んでいただきたいところ。はしばしに、おや、と思える書き込みがありますよ。

「風土記」や「日本書紀」から題材を得た物語ですが、それらを知っていなくとも、引き込まれてしまう力を持った作品です。肩肘張らずにゆったりと、しかしドキドキしながら読むことができました。
幽玄な雰囲気は相変わらずです。恐らくは古代日本と鏡映しであろう豊葦原が、雄大に、高く深く描写されています。閉ざされた暖かな世界から、主人公が放たれてしまう、その寄る辺の無さと果てしなさが感じられるのも良かった。

個人的に物語中盤、遠子と従姉妹である象子が、陥落した三野(恐らく美濃)から伊津母(出雲と思われる)へと旅する一連が面白かった。僅か数頁でしたが、起伏に富んでおり、危機や出会いあり、成長ありと、ここだけで半章作れてしまいそう。世間知らずの少女の始めての旅、もっと読んでみたかったです。
伊津母から日牟加(日向/宮崎、鹿児島あたりか)への旅路も愉快で、多少気楽な面白さがありました。それにしても、交通手段が殆ど発達していないのに、結構とんでもない移動距離だなあ。

前作に比べ、ファンタジー度合いはやや減ったものの、ドラマティックさが更に増していました。穏やかで頼りなげな少年と、勝気で逞しい気性の少女。設定に既視感を感じずにはいられませんでしたが、それでも人物構成はしっかりしており、主人公の少女、遠子には感情移入してしまいました。

彼女が小倶那に向ける、盲目的な探求の激しさのくだりは、とても優れていました。一途さやあやうさの絡まり方、またその結末も、丁寧に描かれています。
少女から女性へと変わってしまった、その後のシーンも興味深い。弱くなったところ、強くなったところが、さりげなく溶け込ませてありました。
また、それ以外の部分に於いても、妬心や不安、挫けそうな――挫けてしまった心の描写も秀逸。嫌にならない程度の生々しさが本作を一層、掘り下げる効果を持っていたと思います。
中盤からの主要人物である菅流の、つかみどころのない飄々としたキャラクターも良かった。さっぱり頼れないかと思いきや、物凄く懐大きく頼れてしまう、そのギャップが楽しい。上手い具合に展開を引っ掻き回す印象を持ちました。著者曰く、人気の有るキャラクターだそうですが、何だかとても納得。
小倶那と七掬のコミュニケーションには心温まりましたが、百襲姫はやっぱり怖かった(笑) 彼女が濃く描かれていたのに対し、重要な位置にある大君の書き込みが少なかったのが、やや不満です。

ラスト、彼の顛末はうまく行きすぎというか、妙に都合のよさが目に付くというか。それ以外の部分がとてもよく出来ていただけに、少々残念。
ただ、終結の仕方はとても幸せできれいで、鮮やかだったと思います。きちんと、収まるものが収まるべき場所に還った印象。これでもか、という位の大円団が、気持ちよかったです。

2作目という事もあり、更に拡がった世界は、読み応えがありました。結構ボリュームの有る作品なのですが、それを感じる事がありません。3作目への布石もきちんと配されており、いやが応にも次への期待を高める造りとなっていました。
大人でも楽しめる児童文学、読むなら3作品すべてを手元に置いた状態が、良いのかも知れません。兎にも角にもお勧めです、是非ご一読を。
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