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| [推薦数:1] 2008/02/10 とても良い(+2 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/] by ネムリネズミ (表示スキップ) 評価履歴[良い:27(77%) 普通:5(14%) 悪い:3(9%)] / プロバイダ: 28246 ホスト:28318 ブラウザ: 6520 今までに読んだ乙一氏の作品の中では一番好きな本です! 【良いと思った点】 ・主人公コンビのドライさが非常に面白い。「僕」と夜が周辺で起こるいくつもの猟奇的事件を追いかける訳ですが、彼らを突き動かすものは犯人に対する憎悪や被害者に対する憐憫といった感情ではなく、ただただ事件の異常さへの興味だけ。犯人が分かっても警察に通報しなかったり、被害者のことを思うといたたまれないと話しながら平然と蕎麦をすすったり…「おいおい君たち、それでいいのか(笑)」と思いつつも、読み進めるうちにすっかり彼らの生態に魅了されてしまうのです。ただこの二人、本当に意気投合した同志なのかというとそうでもありません。作中の言葉を借りれば、あくまでも「僕」は「殺す人間」、夜は「殺される人間」。二人の意識の根底は確実に異なっているのです。友人でも恋人でもない彼らの微妙な関係性にも注目です。 ・凄惨な内容がが淡々と語られているのも良いと思います。グロテスクな部分が過剰に強調されるようなこともなく、好感が持てます。「暗黒系」では、死体と静謐(せいひつ)な森が調和して独特な雰囲気を醸し出しています。 ・現実味のなさも功を奏しています。主人公たちの周りで猟奇的事件が多発するのは確かにありえないことですが、これはミステリの醍醐味と言うものでしょう。作中の「夜が変質者を誘うフェロモンを分泌している」という説明で充分のように思えます(笑) ・本格ミステリ大賞に輝いただけあって、使われているトリックが秀逸です。「声」の結末を知ったときには本当に驚きました。ある意味一話目からずっと伏線が張られていたことになりますね。 ・犯人の心理描写にも舌を巻きます。乙一氏はあとがきで適当だとおっしゃっていましたが、全くそんなことはなく、よく描き込まれています。特に「土」では犯人の葛藤が伝わってきて、かなり臨場感がありました。 【悪いと思った点】 ・上でトリックが秀逸だと書きましたが、一つだけ納得できなかったのが「犬」です。見事に騙されてしまったものの、よく読み返してみると所々に不自然な記述があり、少しアンフェアなように思えました。 ・私が読んだのは文庫版だったのですが、上巻に当たる「夜の章」と下巻に当たる「僕の章」、それぞれのラストで重大な事実が判明する構成になっています。これでは楽しみが半減してしまうような気がします。ハードカバー版と同じ順番で話を収録するべきではなかったでしょうか。 【総合評価】 残念な点はあるのですが、作品を台無しにするほどではありません。 評価は「とても良い」とさせていただきます。
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