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二人阿国(小説)


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読み仮名: ふたりおくに / 英語タイトル: Futari Okuni
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(本/漫画)
直近発売の本/漫画: 1988/08 ()二人阿国 \1,264
本/漫画(1件)
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単行本:二人阿国
参考:\1,264
1988/08
()
作品紹介(あらすじ)

流れ芸者の娘、お丹と、歌舞伎の創始者「出雲の阿国」。
一人の少女の成長と変化、そして二人の女の、芸に向ける情熱と鬩ぎ合いを描く。

著者:皆川博子
出版社:新潮社
装画:富沢千砂子
発売日:1988/08/15(日本)
最終変更日:2008/04/24 22:16:21 / 最終変更者:遠野 / 提案者:遠野 (更新履歴)
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2008/04/24 最高! [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿/]
by 遠野 評価履歴[良い:233(100%) 普通:0(0%) 悪い:0(0%)] / プロバイダー: 28399 ホスト:28393 ブラウザー: 4184
戦国末期から江戸時代初頭――歌舞伎の創始者である阿国をモチーフとした、あでやかに力づよい伝奇小説。全編に亘って、皆川博子の筆が冴えわたります。

流れ芸者の少女、お丹のまなざしを通して、出自も諸説さまざま、史実から解くにしても曖昧な存在である「出雲の阿国」が、踊る文字の上、そこに在る者として生きている。血や汗、泥の臭いまで、鈍痛を伴うような生々しさでもって、視神経から全身に伝わってゆく。
芸事に生き、やがては対立する運命にある二人の女性の誇りや執念を、抉るように描ききった、凄まじい作品です。読後、その圧迫感に暫し、茫然とさせられていました。

タイトルから「二人静」をイメージしたのですが、当たらずとも遠からず、と言ったところでしょうか。もっとも、影であり、また亡霊でもある役割を振られたのは、主人公である、お丹の方だったのですが。
序盤、彼女の視点で紡がれる、お国(阿国)は雑駁で、当たり前のように色を売る。芸術の崇高さからも遠い。初めのうちは、この人物があの阿国であると結びつけることが出来ずに、お丹こそが阿国であると、思い込んでいました。

けれど、頁を捲る毎に露わになって行く、お国の芸事への、滾るような情熱。知らぬうちに、お丹に同調して、揺るがされてしまう。その才能に嫉妬してしまう。
蔑まれる身分にあり、また身体を売ることを当然のように強要される立場にありながら、自分の後ろを歩むお丹を、力の限り護ろうとする姿には、惚れ惚れしてしまいました。

そんな彼女を追いかけるお丹は、どことなくぶれが目立つキャラクター。感情の面で、読み手と完全に重なったかと思えば、ふ、と離れてしまう。お国のような、強いインパクトを与える人物ではないけれど、彼女のひたむきさや打算、幼さや惑いは、とても魅力的でした。共感の絆を結ぶ相手もなく、拍手も賞賛の声もなく、独り――ままならない事が多い人でもあったので、我が身を照らし合わせて、溜め息を吐くこともありましたが……。

お国とお丹、求心力の違いは、どこにあったのだろう、と思います。才能の違いであると言ってしまえばそれまでですが、芸――エンターテイメントに関する理解の深さも、大きかったのではないでしょうか。
お丹は、自分の芸を高めようとするあまり、観衆を置いてけぼりにしてしまう傾向があったように思えてならないのです。(そういった部分も、本作品に於ける彼女の魅力であったことは、否めないのですが)
魅了に加え、楽しませる事、喜ばせる事、創意工夫する事。今も昔も変わらない、芸能の基本なのだなあ、と考えさせられてしまいます。

ですが、そんな思考を吹き飛ばしてくれる程に、阿国が己が芸を披露するシーンは圧巻、見事。足場の定まらない不安定さも、援けになっているのでしょうか。いつ崩れてもおかしくない、退廃を匂わせた華やかさに、酔わされてしまう。容赦なく引きずり込まれる、鳥肌がたつ。翻る袖の色彩が、眼前に溢れる。
毎度の事ながら、とんでもない文章の力に、息を呑んでしまいます。

徹底的に女性目線で造り上げられた本作、もしかしたら、男性にとっては少々、居心地の悪い作品であるかもしれません。(男尊女卑を、女性側から描いた作品に触れた経験があるのならば、問題は無さそうです)
どのような解釈が為されるのか、興味のあるところではありますが、それを脇に置いても、素晴らしい作品である事に変わりはありません。この時代の風俗の描きも秀でており、一読に値するものだと思います。興味を持たれましたならば、是非に、どうぞ。

余談ですが、Amazonの作品紹介は、微妙に大分間違っています。ご注意なさってください。
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