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| 2005年文学総合点 | 42位/134作品中 | 41位<= =>43位 |
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| 著者:皆川博子 装丁:柳川貴代 出版:文藝春秋 掲載:オール讀物 1999年10月号〜2005年10月号 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 日本 開始日:2005/12/15(木) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 最終変更日:2011/12/09 / 最終変更者:雪霞 / その他更新者: 羽幌炭鉱 / 提案者:遠野 (更新履歴) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 2006/04/21 最高(+3 pnt) [編集・削除/削除・改善提案/これだけ表示or共感コメント投稿/] by 遠野 (表示スキップ) 評価履歴[良い:250(100%) 普通:0(0%) 悪い:0(0%)] / プロバイダ: 7995 ホスト:8066 ブラウザ: 4184 装丁の美しさに惹かれて手に取った一冊。しかし、本文の美しさはそれ以上でした。 収録された作品すべてが、詩句を題材にした短編です。数十年前に発表された作品と、現代に創られた作品、この2者の絡まりあいが、非常に優れています。 皆川博子氏の操る日本語の美麗さには、耽溺させられてしまいました。同程度のレベルの表現力を持つ作家も、そうそういないのではないだろうか、とも思うくらい、綴られた文章全てが美しいのです。 何の意図もなしに適当に頁を捲り、開いた箇所の文字列に、例外なく魅入らされる。軽やかさ、端整さと匂い立つ色香、幻惑性。 癖が強く、多少分かり辛い展開を辿るものもあります。万人にお勧め……な小説ではありませんが、耽美色の強い作品が好きであるならば、嵌ってしまえること請け合いですよ。 8編全てに、第二次世界大戦の影が射し込んでいます。しかし、本作は戦争に真っ向から向き合っているのではなく、あくまで「その時代」を、ひとつの影響――装置として、取り扱っている感があります。「蝶」や「艀」のように、そのカラーが濃いものもあれば、「空の色さえ」「龍騎兵は近づけり」等、後半でさらりと触れる程度のものまで、印象は様々。 描写は非常に装飾的ですが、しかしとても生々しい。60年前の生活の、その息吹を感じるようです。少女が主人公の小説など、とても綺麗な表現が連なるのに、常にどこかしら後ろめたさが付き纏っているよう。薄汚れた日常のかけらも、濁々とした流れも、より合わせて、どこか歪んだ幻想に昇華してしまっている。手腕は鮮やかです。 個人的に好きなのが、「空の色さえ」と「艀」。 「空の色さえ」は、無邪気な明るさと、すぐ隣にある薄暗さ、不安定さのバランスの取り方が良い。織り込まれた詩も手伝って、主人公である少女の生活や松葉牡丹の咲き乱れる庭、二階の幽霊の姿が、色彩豊かに瞼の裏側に浮かび上がります。 フェードアウトするような終わり方は切なく、虚ろに寂しい。少女の人生と重ねて、その心情を想像し、また切なくなってしまう。良作です。 「艀」は、戦後の混乱期に、たった一人放り出された少女の、半年間の物語。幼い頃に脊髄を損傷した青年との、静かな交流が美しい。海や桟橋といった、情景描写も勿論、素晴らしいのです。果てしなさや清明さをも感じますが、同時に、取り残された者の、寄る辺の無さも感じます。 少しだけ登場する、地元少年のぶっきらぼうで不器用な優しさには、ほろりとさせられてしまいました。 怪しさの滲む「幻燈」も、どうにもな吸引力を感じてしまう。エロティックであり、背徳の漂う作品なのですが、艶やかな淀みの中に、子どものような純粋さが隠れているよう。 救いの無い展開、終結にも関わらず――だからこそ、なのか、それこそ夢幻のような色彩の作品だったなあ。 あまりまっとうでもなく、健全でもない短編集。溢れる言葉には、麻薬めいた中毒性を感じます。合わない人には全く合わず、合うひとにはとことん合う作風、なのではないでしょうか。 日本語の美しさを再確認できる小説であるとも思います。多少の毒には揺るがないのであれば、是非。 この評価板に投稿する |
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