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小説評価: 1,187位 <= 1,188位(2,343作品中/偏差値48.47) =>1,189位

熊撃ち (小説)

読み仮名: くまうち
総合情報評価
(評価投稿)
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(本/漫画)
直近発売の本/漫画: 1993/09 ()熊撃ち (文春文庫)
本/漫画(3件)
売上/新着
471479
文庫:熊撃ち (文春文庫)
参考:\377
1993/09
()
586545
文庫:熊撃ち (ちくま文庫)
参考:\357
1985/12
()
990986
:熊撃ち (1979年)
参考:\945
1979/09
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著者:吉村昭 出版社:新潮文庫
発売日:1979/09(日本)
最終変更日:2008/05/01 00:18:37 / 最終変更者:634 / 提案者:634 (更新履歴)
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 評価平均小説評価順位偏差値評価ポイント最高の中の最高
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1. 2008/05/01 とても良い by 634 [編集・削除/削除・改善提案//論客限定表示/これだけ表示or共感/納得コメント投稿]
評価履歴[良い:1380(50%) 普通:541(20%) 悪い:851(31%) 推薦人:51 推薦評価:165] / プロバイダー: 10536 ホスト:10830 ブラウザー: 6342
北海道にいる熊撃ちの猟師と人を食い殺した熊との戦いを描いた小説ですが、いろいろな猟師を出し、その猟師達の人物象と、凶暴化した熊との戦いだけでなく、いろいろな事情があったり、猟師達の苦闘にしろ、対人関係にしろ、いろいろなパターンや見方などがあり、とても興味深いものとなっています。猟師達の10人中10人全てが同じ性格をしている訳ではないのだし、そんな猟師達の個性がいろいろとあって、そんな人物象には、熊を獲っていた頃の北海道や、その頃の猟師達という部分が非常に興味深いものとして描かれたといえそうです。

今は自然が壊され、熊の数も減り、そういった意味では昔の小説だという時代のギャップもあります。この頃は羆といえば、とにかく日本唯一の猛獣であり、獰猛で非常に厄介な生き物というイメージが固定化していたのだし、そういう点が、熊の生態に少し詳しくなった今となっては、あまり良い形で作用している訳ではないし、羆という動物のイメージを悪くするような部分があるのも否めませんが、それだけ、熊がとても恐れられていた時代という部分も感じることが出来ます。

ゴリラも映画の『キング・コング』のせいで、凶暴な荒くれた野獣という間違ったイメージを植え付けてしまったのだし、そういう部分で見てみると、熊の生態にはあまり迫った内容ではなく、シートンの『動物記』の、『タラク山の熊王』とか、『灰色熊の一生』という動物の生態と想像に迫ったというものではなく、熊の恐怖と、それに対する猟師と人間達という側面が前面に出ています。

その為に古い昭和の30年代や40年代の世情という部分がどうしてもでていますが、そういった懐古的な部分にも想像を働かせたり、実際に山の広大さを知ったり、山の中で獣とは逢おうと思っても、なかなか逢えないという事を考えれば、山の中の経験や行き方という事を知れば、かなり、雰囲気を味わうことが出来る小説でした。

反面、追い詰めた熊を射殺するシーンは、あまりカタルシスを感じることが出来ませんが、案外そういうものだと思います。昆虫採集にしても、魚釣りにしても、大物は予想もしないで取れることが多いのだし、そういった意味ではようやく出くわした相手との戦いの迫力は、シートンの作品のような興奮はありません。しかし、シートンはそういう意味では、物語の印象と場を盛り上げるという作為も多少はあるのだし、それを敢えて廃したことは、作者のリアリティという部分を感じることが出来るし、そんなハンティングの現場はこんなものなのかも知れないというイメージも感じられました。

しかし、作者特有の描写だけでなく、射殺した熊にしても・・・という視点も決して抜けてはいないことも注目できたし、安心できた部分だったと思います。
この作品に登場する敵役の熊たちはみな、やむにやまれぬ事情で人を襲い、本意ではないのに人喰い熊になってしまい、人間によって、すみかや食料を奪われ、人間を襲ってしまったのでした。

殺された人にしろ、射殺された熊にしろ、どちらも加害者であり、被害者であったという側面を描いているのは、人間偏重であることを阻止しているのだし、熊をここまで追い詰めてしまったのは・・・・・・という部分が、この当時から描かれていた事もとても心にやるせないものとして残ります。

熊に殺された人間の復讐を果たした、けれども、その熊をここまで歪めてしまったのは人間であり、熊の領地に入って、それを土足で・・・という事を考えると、熊に非は本当にあったのだろうかという部分も浮かび上がってきます。この本が書かれていた当時から、日本の自然破壊が問題にされていたこともあったのだし。

そして、今でも熊撃ちの猟師は北海道にいますが、そういった猟師達も、年々数を減らしているし、熊の個体数の減少と共に、猟師さん達も時代の流れの中に・・・という諸行無常感も伝わってきます。そんな自然をよく知らない頃に出たこの作品は、当時はどういった印象で受け止められたのかは不明ですが、今はある程度自然の謎が判り、熊の生態も解明されつつあるのですが、この本で書かれていた頃よりも熊や多くの野生動物の数が激減してしまったし、ちょっと前には普通に見られて生き物が、レッドデーターブック入りを果たすようになってしまった現代と比較すると、人間という動物が、他の野生動物や自然のこと、更に自然が残っている場所の現状を知れば知るほど、とても気持ちが・・・・・・という形にさせてくれます。

未来では、この本で描かれていた熊と人との戦いのような書物を我々の時代に出るのかどうかは不明ですが、昔の小説でさえ、こうなのに、果たして、未来にどれだけの自然が残っているのか、どれだけの熊が生き残っているのかという不安や将来を考えると、人間は自然を大切に出来ない生き物であるようにも思えるし、今の地球環境破壊の様々な原因と照らし合わせても・・・・・・と思うと、単なる熊退治のお話しで片付けることは出来なかったといえます。
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