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ルパン三世 ヘミングウェイ・ペーパーの謎


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読み仮名: るぱんさんせい へみんぐうぇいぺーぱーのなぞ / 英語タイトル: Lupin the 3rd Peper of Hemingway

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2007/06/22 悪い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/]
by HUNGRY SPIDER 評価履歴[良い:176(40%) 普通:72(16%) 悪い:189(43%)] / プロバイダー: 5251 ホスト:5041 ブラウザー: 7395
この作品における致命的な欠陥は、取り柄がないことではないでしょうか。
ここで言うところの「取り柄」とは、白眉或いは見せ場ということになります。「パンチ」「決め球」と言い換えても差し支えないでしょう。多くの作品では、それがあるからこそ印象というものを抱けるのですが、残念ながら本作からは、その決め球を見出せませんでした。

いや、正確に言えば「決め球候補」はそれなりの数が揃っていて、尚且つ球威もそこそこあるんですよ。
例えば、次元と五右衛門がワケあってタイマンを張らなきゃならなくなった時、仲間意識からギャグテイストに持っていくのは、上手いと言えば上手い。ギャグ自体もしょーもなさ故に笑えるものになっていたし(特に相撲のワザとらしさはハイブロウとコミカルが同居するルパン三世の世界を活かしてると思いました)、何より両者の絆が見えたような気がして清々しい。
ヒロインのマリアは、今で言うところのツンデレですが(笑)、比較的好感度の高い女性でしたね。暗いバックグラウンドを持ってるとか、段々ルパンに惹かれていくとかは、まぁ定石通りと言えばそうなんですが、細身に鋭い目つき、声優さんの声質と熱演、そして台詞回しの良さが手伝って、存在感をアピールしてくれました。正統派のヒロインとして描かれていた、とも言えるでしょう。流石に最後のキスは唐突だと感じましたが、少しだけ大袈裟な表現ということで許容範囲内です。そんなマリアと、彼女の経営するクラブを見て思ったんですが、この作品からはアメリカ風の匂いを感じます。マリアのクラブは、イメージ的にですが米西部開拓の時代を連想させますし、敵キャラのマッシュも米風悪役的な性格・容姿で確立していました。だから、ヨーロッパにいながらアメリカでの活躍を見てるように思えたんですね。ここんとこ、褒めるべきか責めるべきか微妙です。
お宝の正体が「魔性の宝石」であること自体については、文句はありません。ヘミングウェイが魅入られた理由、「死の谷」の由来、などなど、物語的な辻褄が合っていますので。マッシュはそいつに手を出すことで絶命しますが、それも作中における宝の魔力を物語るものでした。

…とまぁ、本作なりに個性となり得そうな美点を挙げてみましたが、どれもこれも、もう一押しが足りないんです。
次元と五右衛門の抗争など、両者に限れば「ごっこ遊び」に過ぎないわけだから、ギャグとしては成立しても所詮はギャグ。ルパンシリーズで目玉となり得ることはありません。だからそのシーンの力は、言い方こそ悪いですが高が知れています。
マリアは魅力のあるゲストヒロインではありますが、その活躍面ではどうしても「今一歩」という印象が否めません。彼女は人間的な部分こそ見所アリですが、実を言うとさほど物語の上では活躍してないんですよね。だから意外なほど目立っていないし、「カリ城」のクラリスの如く愛着を抱くには弱い。
お宝については、「それ自体」よりもむしろ「手がかり入手までの変遷」に問題を感じます。ヘミングウェイ・ペーパーの入った箱とその鍵を手に入れることが一味の目的でしたが、手に入れるまでの手口が簡単すぎて鮮やかさなど感じられません。その上、ペーパーに書かれた文書は暗号でもなんでもない、実にあっさりとしたものなので、謎解きの要素はゼロ。つまり、「知略のカタルシス」が皆無なんですよ。だから宝物自体は考えられてたとしても、驚きこそしますが感動はできないんですね。

…美点に但し書きがつくと、その輝きは一気に小さくなる。本作はまさにそれを体現しているかのようでした。輝きが小さいため、作品の起伏も微弱に感じられ、その結果、醸し出されるはずの緊迫感も今一つといった感じです。物語自体もそつない作りでしたが、結局無難は無難以上の何物でもなかったですね。
まぁ、緊迫感のなさに関しては、敵がさほど魅力的じゃなかったってのもあるんですがね。黒幕は大物感を発揮する間もなく、一人は撃ち殺されて一人は流されて…次元の因縁の敵マッシュもただの殺人狂でしかない。本作の悪役サイドには、カリオストロ伯爵やマモーの如きカリスマ性を秘めたキャラがひとりもいません。そのため、否が応でも「どうでもいい感」というものが付き纏います。悪役としてキャラが立っていたとしてもです。

銭形警部不在というのには、あまり文句はないですね。劇中でルパンと銭形がドタバタやるからこのシリーズは面白い、と思われる方にとっては不満だと思いますが、自分はルパンシリーズの醍醐味は、あくまで一味の活躍―ルパンの頭脳、次元や五右衛門の戦闘、不二子のお色気―であり、銭形は作品の大きなアドバンテージではあるけれど「必須条件」とまでは行かないかな、と感じているので、出番があるだけでも良しとします。まぁでも、彼がもっと積極的に話に絡んできたら、物語も面白くなったであろうと思えば、やはり減点せざるを得ないかも知れませんね…

酷くはないんだけど、どうしても物足りなさを感じてしまう作品でした。その点が非常に不満なので、自分の評価は「悪い」とさせていただきます。

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