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小説総合点: 786位/2,367作品中 (総合点3.00/偏差値49.05)
関東大震災(小説)
読み仮名: かんとうだいしんさい / 英語タイトル: Kantodaisinsai
評価板/掲示板/評価統計:説明・概要:日記(2008/06/14): 画像/壁紙: 商品(順:売上/新着/)(本/漫画)
直近発売の商品: 関東大震災 (文春文庫) \570

2006/06/21 最高! [編集・削除/ この評価を推薦]
by 634 評価履歴[良い:1431(50%) 普通:563(20%) 悪い:872(30%)] / プロバイダー: 21108 ホスト:21138 ブラウザー: 5234
日本の歴史に残るもっとも有名な自然災害を扱った作品ですが、その内容はリアルすぎて怖く、地震が起こった時の惨状とパニくる人の心理、そして、その震災がもたらす影響と恐怖が生々と描かれており、20万以上の死者を出したこの大災害から学ぶ事は未だに多く、それ故に、単なる自然災害ものと呼ぶのにはかなり奥が深い作品だったといえます。
今村と大森の立場の違いから起こる二人の学者の対立、そして、その結果が人心を騒がせないようにした大森が、地震が近いうちに起こるという今村の言葉に敗れるものとなりました。
この事で立場は逆転するのですが、地震という身近にあるけれど、ある意味、もっとも恐ろしい自然災害の脅威と恐怖、それから起こるパニックや暴動というものが起こる事を考えれば、地震が起こる事を予想して公表し、動揺を買った方が良いのか?それとも、地震が起こってから後で更にパニックを引き起こすような状況の方が良いのかという論点については、今でも異論が分かれるし、普通に考えても解決できないし、自然災害という脅威に対し、人類は結局無力ではないのかという部分も学者同士の論戦と、震災後の結果から伝わるようにも思えますし、また、それで解決できる程人間は力強い生き物ではないのだという限界を見せつけられるような思いでした。
しかし、震災の悲劇は起こってからではなく、ある意味、起こった後から始まるといってもよいものがあります。それは朝鮮人達への言われなき迫害です。
当時、第一次世界大戦後、戦争インフレのお陰で、国民の生活は苦しくなり、特権階級の人々に庶民の不満が向けられていました。そんな中、日本に流れてきた朝鮮人達が、日本での冷遇ぶりに耐えかねて暴動を起こすような事件もありました。
当時の財閥が利権を独占する事態だった為に、その権益を守る為に多くの朝鮮人達を、震災で起こった大火災を引き起こした者達として、苛烈な弾圧を行い、そんな朝鮮人達を助けようとした、又は、そうではなかった日本人達もとばっちりと巻き添えによって殺されていきました。
これは震災の後の精神と情緒が不安定で起こった事と、それによって、自身を守ろうとし、責任を逃れようとした特権階級の歪んだ論理が招いた結果であり、人が災害にあった後、獣と化してしまうのかという点も生々しく描いているし、そのリアルな描写と人間の浅ましさを描く作風は非常に心に重くのしかかるものだと言えました。
今でもスマトラ、ジャワ、パキスタン、トルコなど、震災で多くの人命と財産が失われていますが、現在でも人間達は、そんな震災に備えるという意識が欠けている為か、今尚、多くの人々が震災によって苦しめられていますし、この作品内で描かれた以上の事が起こっているのかも知れません。
明日か今日にでも起こるかも知れない震災。しかし、それに対し、人類はあまりにも無力で無関心であり、又、それが描かれている事が、本作の持つテーマ性を示しています。
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