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邪眼は月輪に飛ぶ
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読み仮名: じゃがんはがちりんにとぶ / 英語タイトル: ZYAGANHAGATIRINNITOBU
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2007/12/10
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古代米ダブル
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藤田和日郎先生が掲載誌を少年誌から青年誌に移して連載した短編漫画ですね。
この漫画は『うしおととら』『からくりサーカス』とは異なり、1巻と実にコンパクトなものとなっています。
それにしても……フクロウを敵役とするのは面白いと思います。今じゃあ「不苦労」すなわち幸運のシンボルだったりと「良い」イメージがあるので驚く人も多いと思いますが、単行本の後記にもある通り、昔は逆でしたからねぇ(これと似たものにカラスがあり、今は「不吉」なイメージですが、昔の我が国ではいわゆる神の使いでした)
この漫画のテーマは、「自然に対する畏敬」「家族愛」のふたつだと私は定義します。
まず、この作品は「自然に対して畏敬の気持ちを忘れてはならない」というのを端的に表していると思います。最初のミネルヴァの惨劇は、事件を対岸の火事として現状を省みないことの愚かさを提示しております。しかし、最終的にその脅威を打ち破るのは「自然を畏敬し、自然と生きる」マタギである鵜平だったわけですね。
輪の台詞に「人間が、動物達の……いえ、この世界にとっての「邪眼」にならないよう……あたしは祈っています。」というのがありますが、これは地球環境を破壊し、その結果自然災害が増えている現状に対して我々に投げかけた警鐘なのかもしれません。
そして「家族愛」。これは藤田作品によく見られるテーマですね。この作品では鵜平と輪の関係を描いており、本当の親子では無いけれど鵜平は内心では輪のことを想っており、輪の危機を救う場面がありました。鵜平の「かつて家族を守れなかったこと」からの悔しさから「守れたこと」の喜びが表れております。
最終話の「おまえは子供が、欲しかったんだろ。オレにゃ、おるんだぜ。」という台詞からも解るように、ミネルヴァが「孤独」であるのに対して鵜平は「家族がいる」という表と裏の関係であることがうかがえ、結果的に鵜平が勝ちました。家族のいることによる「強さ」が、ミネルヴァを打ち破ったということですね。
この作品は「今の大人が未来に残せるものとは何か」を提示しており、以前の「少年に元気を与える」ものとは違った意味でメッセージ性の強いものだと思いました。
絵柄についてですが、この作品は青年漫画であるためか制限に縛られず自由に描いている印象を受けました。最初のミネルヴァの惨劇につきましては、もはや少年誌に掲載できない代物でしょう。この部分だけでも、藤田先生の「おどろおどろしさ」抜群の画力が十二分に発揮されていると思います。正直怖かったですね。また、兵器の描写もリアルで良かったです。
キャラクターはそれぞれ個性が出ており、いい味を出しています。主役の鵜平や輪もいいのですが、マイクも正義感があって好印象ですし、ケビンも何だかんだでいい人ですからね。
総評ですが、「最高」に近い「とても良い」とします。と言うのも、短いゆえに展開が予測できちゃいますし……また、設定は良かったのにこれが1巻で終わったのも残念でなりません。もっとこの作品の4人の活躍が見たかったものですね。
最後に余談ですが、鵜平の仮面って『からくり』の白銀が着けていた仮面に似てますよね?懺悔という意味では着けている理由は似てますし、やはり意図的なものを含んでいるのでしょうか?
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