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邪眼は月輪に飛ぶ


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読み仮名: じゃがんはがちりんにとぶ / 英語タイトル: ZYAGANHAGATIRINNITOBU

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2007/08/17 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/]
by Tokyo16 評価履歴[良い:79(71%) 普通:13(12%) 悪い:19(17%)] / プロバイダー: 13951 ホスト:13771 ブラウザー: 2463
まさに理想的な冒険アクション漫画。
まず始まりからしてキャッチーだ。

岸壁に打ち上げられる、幽霊船と化した米空母!
乗員の全滅した艦内に残る謎の鳥かご!
血を噴き出しながらする死亡する総理大臣!
首都機能のマヒした東京の空を舞う一羽の怪鳥!
ふたりの米エージェントが訪ねた山村に待つ、仮面の老マタギ!

……なんだこのメチャクチャ面白そうな導入は。
スピリッツ誌上で第1話を読んだときの衝撃は忘れがたい。
久しくなかった「ドキドキワクワクする!」という感覚を、味わうことができた。

そして、そのワクワク感は最後まで裏切られることがなかった。
上記の導入部分も凄まじいスピードだったが、以降も最後までブレーキがかからない。
まさにジェットコースター・アクションの典型で、一息つく暇もなく読み進めてしまう。
藤田は大長編の構成力は疑問だが、単行本一冊単位での盛り上げ方はホント神がかっている。

それでいて情報量も多く、読み応えがあるのもいい。
老マタギVS殺人フクロウというメインストーリーに加え、親子関係や友情などのドラマも描かれているのだ。
特に巧みなのが、ウヘイ、リン、マイケル、ケビンの四者の配置だ。
序盤では、ペアで行動する相手がウヘイとリン/マイケルとケビンだったが、状況とともにこれが入れ替わっていく。
これが中盤ではウヘイとマイケル/リンとケビンになり、終盤はウヘイとケビン/リンとマイケルという構図になる。
彼らが「他の3人とちゃんと会話している」ことが解るだろうか。
それぞれの背負ったサブストーリーを互いに補完しながら、クライマックスに雪崩れ込んで行く様には感動すら覚える。

これに更に、藤田お得意のハッタリが加わる。
終盤いきなり出てくるハリアーには「何だ何だ?」と思ったもんだが(役割としてはヘリで十分)
最後の最後であのハッタリをかますために、わざわざハリアーを引っ張ってくる豪腕ぶりが楽しすぎる。

切ない余韻を残しつつ、爽やかで明るいエンディングもグッド。
この4人のハンティングをもっと見たいと思わせるものだった。

欠点と言える欠点は、ジェットコースターアクションというジャンル自体の宿命で片付けられるものばかりだ。
以前『マンガ夜話』でオタキング岡田が、藤田を「全盛期の平井和正チック」と評したが、本作はまさにそれである。

作者の持ち味である「爆発力」が存分に発揮された、B級冒険アクション漫画のひとつの理想形を見た。
藤田和日朗の作品を「1冊だけ他人に薦める」なら、まさに最適な一作となるだろう。

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