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シュマリ
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英語タイトル: Syumari
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2007/03/28
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幕末と明治初期の北海道を舞台にした手塚作品でした。
もともと侍だった男がアイヌの生活に溶け込み、そこで暮らしていくというもので、当時のアメリカの西部にも近いイメージが、同じ時代の北海道にもあったかも知れないと思えそうなものでした。
しかし、そういった西部劇の幻想とは違い、インディアンが侵略者であるアングロサクソンの白人達によって悪にされたように、この作品でも正史でも、アイヌの人達は明治新政府や幕府の人々から侮蔑され、悪という具合に見られていた負の歴史も描かれています。
主人公シュマリは北の大地を耕し、そこで牧場や農場を開いて暮らそうとしますが、時代の波がシュマリとその家族にも押し寄せ、生活や環境を変えられていくという部分も描いています。
元来無ければならないものを破壊していく文明への警鐘というのが、この作品にも出ているし、チャップリン作品のように、人が人でなくなり、歯車のように使われていき、そして悲劇が起こるという労働面での部分も捉えていました。
こういった作品は子供向けの学習漫画ではとかく、ボカされがち(それこそ、某教科書が・・・・・・なんて問題が起こるであろう)ですが、この作品はそのタブーを破っているし、そういう点では非常に印象深く、手塚作品ならではのハードさと、権力に屈しない人間達という部分も描かれていました。
しかし、本作の最大の魅力はそういった時代に翻弄され、どんなに辛い境遇に合おうとも、どれだけ人に裏切られようとも、ひたすらに真っ直ぐに行き、北海道の原野のように大きな心を持ち、ひたすら進み、生き続けるシュマリの男らしさ、人間らしさが描かれているところです。
手塚作品ではこういう部分がとかく、暗くなりがちだし、本作もちょっと暗めの作品ではあるのですが、そんな暗い明治の時代の暗黒部分に触れながらも、人間らしさを失わずに生き続けたシュマリの姿に、作者の人間賛歌と、思い入れがあったように思います。
シュマリのように体も心も強くなるのはとても難しい事ですが、「人間はこういう姿にもなれる」という作者の思い入れと、文明警鐘と時代の変化をシビアに映しながらも、そこで自分を捨てずに生き続けた男の生涯に、作者の人間への希望が記されていたように思います。
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