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ショーシャンクの空に
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読み仮名: しょーしゃんくのそらに / 英語タイトル: SHAWSSHANK REDEMPTION
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2007/06/23
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by
HUNGRY SPIDER
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これは感動的というより、とても綺麗な作品だと思えた。
といっても、別に映像とか音楽とか、所謂芸術的側面における秀麗さのことを指すのではない。その観点からすると特筆すべき部分はないだろう(正確には、音楽こそ地味であるが故に作品の空気感を醸し出していたが)。むしろ自分が言いたいのは、作品の根底に流れるテーマに関ることだ。
この作品の主題は「生の誇り」だと感じる。
「希望」という言葉を使わないのは、「希望の象徴」たるアンディといえど、20年間のうちに絶望に陥った(希望を失った)こともあるだろうから。トミーが殺された時の、アンディの澱んだ表情は忘れられない。それまで、常に締りのある顔つきを見せていた彼だから、あの時の落胆に沈んだ彼の顔ときたら、まるで別人のようだ。あれは明らかに絶望の顔だった。つまり自分は、アンディと言えど希望だけで推し進むことができなかっただろうと言いたいわけ。そんな彼を活かし続けたのは何か。自分は、「気高き尊厳」だと思えてならない。
アンディの呟き「必死に生きるか必死に死ぬか」というのは、肉体的なことではなく、「一個人として、生命を持つ者としての尊厳を保ち続けるか、環境の前にそれを捨て去るか」なる意味合いが込められていたのだと思う。レッドが「終身刑は人を廃人にする罰だ」という旨の発言をしていたが、この「廃人」とは、希望より深い部分で生命に活力を与える精神性を失った者を指すのだろう。これを逆に考えれば、絶望に追い遣られても、尊厳を失わなければそれは廃人ではないと言えるわけだ。アンディはまさにそんな男だった。
彼は一時絶望に陥ったが、彼の生命は尊厳によって生き続け、それが脱獄を成功させた。確かに愚かであるかも知れないし、映画として考えると「ちゃっちい」と思えなくもない。しかし、そこから放たれる光の強さは筆舌に尽くしがたいほどのもの。汚物塗れになって、高らかに拳を突き上げる彼の表情は、まさに声にならない声での叫びに思えた。「I'm Alive!!」。どれほど汚れても、生命の誇りを失わぬ者は、どこまでも神々しい。まるで、人間の強さの中核を見せられたかのようだ、と言えば大袈裟だろうか。
ここで、キリスト教のことを考えると実に深遠に思えてくる。「罪人こそ救われる」「神は貴方の中にいらっしゃる」という言葉が髣髴としたものだ。つまり、罪人に身を窶しても失われなかったアンディの個人として、生命としての尊厳こそが、神だったのかも知れないと感じられたのだ。これでは、まるでアンディが神性を持っているようだが、事実その通りだと自分は思いたい。何故なら、彼の気高さが一見不変のショーシャンク刑務所に変化を齎したからだ。確かに「施し」を連想させるところもあるし、それも変化と言えるのだが、それ以上に、自分はレッドのそれに注目したい。レッドは20年の歳月をアンディと共に過ごすことで、埃塗れの尊厳を見出せたのだから(それができずに死んだブルックスとの対比により一層際立って見える)。一隅を照らすと言えば適当か、その生き様で他者に尊厳という光を見出させたアンディは、やはりとても神々しい男だったのでした。多くを語らないところも、ドモリ癖があるところも、彼に独特のオーラを持たせている。
そして、レッドが田舎に出発してからの展開、即ちラストは、本当に全ての場面が輝いているかのようだ。ラストのハグは、これまで見てきた抱擁の中では最も美しい。勿論、本作のハグと同様以上の価値を感じているシーンは他の作品にもあるのだが、ひとつの描き方としては頂点を示している、と言っていいだろう。
…長々と語ってしまったけど、本作「ショーシャンクの空に」は、旋律のない人間賛歌だと思います。根源的なところを美しく謳い上げてるのだから、うっとりするほど綺麗に見えたのも(勝手に)納得。
とはいっても、作風が地味なだけに、142分という長い時間、起伏の少ない刑務所のシーンを見せられるのは、精神衛生上良いとも面白いとも言い難い。目を背けたくなるような残虐シーンが多いし、事実自分も、刑務所の職員や狂った男色の悪辣さには非常に腹が立ったものだ(まぁそれでも、殴られても鋭い眼光を放ち続けるアンディには、確かな大物感、上の言葉で言えば神性を感じたけどね)。
ラストには最高級の価値がある(これまでのマイナス的感情さえ払拭するくらいの力がある)ことは確かだと思うが、そこに到達するまでの長い長い道のりをどう見るか。これによって、本作の評価が分かれるかも知れない。殆どエンタ性ゼロの作品だから、退屈と言われると受け入れざるを得ないかな(エンタ性を望むべき作品じゃないことは重々承知だけど…)。
あちこちで聞く高評価にも異論ありません。評価は「とても良い」。面白さを求める作品ではないにせよ、一見の価値は十分にあると感じる。ちなみに自分は、生きてることの素晴らしさを考えさせられました。
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