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読み仮名: くじらのえまき / 英語タイトル: SCHLOOROFWHEER
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2006/12/18
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一人の鯨捕りの猟師の人生の物語で、豪快で荒々しいというイメージが伝わってきて、若い見習いだった頃には好きな娘と結ばれるために無茶をしでかしたりというシーンもあります。
舞台は明治初期だったので、まだ近代化や機械化が進まず、沿岸捕鯨は人の手でやるという時代でした。その為に捕れる鯨の量は70年代のように問題視される程のものではなかったのでした。
しかし、明治維新後の技術革新後の為に沿岸の小さな村落にも近代化の波が押し寄せて、嫌が応にも漁師達もそれに合わせた生活と漁の対応を迫られていくという部分は現代にも通じる社会変化と環境変化という意味合いがあります。87年に商業捕鯨が禁止された時、捕鯨を生業としていた人達はこの作品の登場人物のような状態だったのだろうか?と思う時もあります。欧米諸国の捕鯨の強引な禁止(もともとこれは、アメリカがベトナムで枯葉剤を散布して環境破壊をした事を誤魔化すためのもので、反対国はアメリカの経済圧力を受けた。)が今の世界をある程度創ってしまったのですが、そうした事でも人類社会の変化とそれによって人々の生活も翻弄されていくという部分が色濃く滲み出ています。
作品自体は主人公の猟師の一生という形ではありましたが、捕鯨というものがかつては日本という国で普通に行われていたという事が判るし、日本人の食文化が鯨にあった、とよく言われるような部分もこの作品から感じる事ができます。
しかし、今は海の環境も激変し、最近はマグロまで捕れなくなってしまうような時代となりつつあります。
21世紀の今、地球の多くの命を支える海と、それに依存してきた人間達は果たして海と共に共存できるのだろうかという思いがあり、海や底で生きる生物達と、それに頼って生きている人間達は大丈夫なのかとすら思ってしまいます(遂、数日前にはヨウスコウカワイルカも絶滅してしまったというニュースもあったし。)。
メルヴィルの「白鯨」と違い、地味な感じの作品ですが、メルヴィルのそれとは違う意味で、現実社会とそこで生きる人々の姿を色濃く捉えている作品だと思います。
時代の変化というものが色々な人々を否応なしに巻き込んでいくシビアさと冷たさもこの作品に出ているので、そうした社会のドライさも描かれているのが本書です。
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