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ラーゼフォン 時間調律師
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読み仮名: らーぜふぉん じかんちょうりつし / 英語タイトル: RahXephon: Jikan choritsu-shi
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アニメ原作のノベライズではない。「出渕ラーゼフォン」を神林氏の切り口で再構成した、趣きが大きく
異なる一作。
神林氏の作品履歴にあったので興味を持ち、最近古本で入手、読了した。もう出だしから、会話も描写
も雪風-神林節全開(主人公明が「フムン」って言うのにはさすがに笑った)。人生やその失敗をリセット
してやり直すというのはSFではしばしば見られる状況(たとえばBTFだって、タイムマシン物だが
その言わんとする『面白味』は同じ)なんだが、それが何万年というオーダーで繰り返されている、し
かもそれを主人公が自覚していることをすらっと突きつけてくるのが小気味いい。このサプライズに乏
しいクセにハードルの高いSF「的」設定をくどくど説明しないトコロや、キャラ造詣など全く無縁な
「色気の無さ」は、「アニメ作品のノベライズ」を期待した向きにはきつかろう。もう完璧に「SFアニ
メ小説」ではなく「SF小説」。
ストーリーの根幹自体は実はアニメ版とそう違わない。要は「並行世界をラーゼフォンで『調律』する」
話なのだが、視点の違いでこうも違う物語になるとは興味深い。アニメ版も実はSFアニメとして高い
素養を持っていたのだが、テツジンさんや審美じうむさんが指摘している様にラブストーリーへの軸足
に引っ張られ、さらに終盤でイメージをうまく映像で伝えられなかったのが残念な作品だった。映像作品、
特にアニメでこのいわば「神の視点」をイメージで訴えるのは非常に難しく、成功例はイデオンくらい
に思える。この小説版では、「神の視点」「神の尺度」といったイメージを文字作品だから許される
「受け手の想像力」にごっそり委ねていて、それを上手いというかずるいと言うべきか。もちろん神林
氏はそんな打算などなく、小説と言う『文法』でそれを表現しているんだが。
アニメ版の旨みである、綾人と遥の『胸をえぐらんばかりの切ない愛(←勝手な解釈です。わかり易く
言えば、オブラートに包んだラブラブ)』はばっさりスポイル、替わって据えられた親子愛はいたって神
林氏なドライな会話でのみ見せられる。アニメ版を否定しているのではなく全く違う視点・アプローチ
なのだ。だからこれを読んだ後でも別にアニメ版に違和感を感じない。むしろアニメ版がイメージ先行
で伝えられなかった「ラーゼフォンのドライな全貌」が見えてきて目からウロコが落ちる思いだ。
難を言えば、物語の運びがあまりに登場人物による状況説明・会話に終始している点だろう。受け手の
イマジネーションにあまりに「おんぶに抱っこ」と言わざるを得ない。これが本作を非常に「読み難く」
していてどうしても読者を選んでしまうのだが、先にも書いた通り、アニメ版ラーゼフォンをより深く
理解するために、広く読んでもらいたいと思える。
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