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ピンポン


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2006/11/18 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/]
by HUNGRY SPIDER 評価履歴[良い:175(40%) 普通:72(17%) 悪い:188(43%)] / プロバイダー: 4807 ホスト:4699 ブラウザー: 7395
原作未読。個人的にこの「青春」「スポ根」ってのがあんまり好きじゃない。好きになれた作品は…「ウォーターボーイズ」と「スラムダンク」くらいだろうか。
そんな俺には、見るまでは勿論本作に対する期待などない。どーせ派手なアクションだけのドタバタムービーだろ、そんな風に思っていた。ましてやクドカン脚本と来れば、高得点は期待する方が難しかった。

しかし、そういった侮りが、視聴後にあっさりと裏切られることになる。これは想定外の、ナイスな作品だ。
先に俺は「アクションだけ」と書いたが、これが大間違いだったことに気付く。勿論、そのアクションや映像効果も良かったのだが、何故良く見えたかと言われると、ストーリー的な完成度が高いからに他ならない。

本作は、実は「ヒーロー」が主題だったのではないか。
その意味で本作において最も大切な位置にいるのは、月本でも星野でもなく、風間だと思う。風間とは「ドラゴン」の異名を持ち(名前が「竜一」とは…)、大物の貫禄を十分に顕示している本作のボス的存在。星野がヒーローだとしたら、風間には「帝王」が適当だろうか。前半、彼の「自分には才能がない」という旨の発言、血の滲むような努力を描写したシーンがあったが、それはまるで彼の悲哀をそのまま描いているようだった。きっと彼は、誰よりも卓球にかける情熱があったのだろう。そのため人の何万倍もの努力をして、帝王の座に上り詰めたのだろう。しかし、そんな帝王はヒーローになれない。風間にとってはやりきれない事実だろうが、本作を見ていてそう感じてしまう。身体能力から知略まで、あらゆる能力で一番であろう風間には絶対的なものが欠けていた。それは「自信」ではないだろうか。恐らく彼は知性にも長け、謙虚な性格をしていたのだろう。故に、彼の葛藤は計り知れぬものがあったに違いない。俺には月本や星野のような才能があるのだろうか?ここに立っていていいのだろうか?トイレの中でそう考えていた筈だ。何とも皮肉な話である。才能も努力も第一級の彼が、その性格の良さによって、ヒーローになり損ねているのだから。ヒーローには問答無用の精神的強さが必要であり、彼は自信のなさ故に臆病になって、その資格を自ら掴めないものにしているのだから…彼の努力の裏には、そんなヒーローへの羨望と嫉妬、そして臆病な自分への憤りがあったように思えてならない。
そんな彼の対極に位置するのが、星野。才能といった意味では、風間とあまり大きな差は見られないけれど、星野には上記の「問答無用の自信=ヒーローとしての素質」がある(子供時代の星野が鉄仮面を被って登場するシーンが沢山挿入されているところに、「星野=ヒーロー」という図式が見て取れる)。いや、正確には後半部分で自分がヒーローに「なる」のだが、何故なれたかを考えると、行き着く答えは風間に欠けていた「自信」なのである。その自信が彼を知らず知らずのうちに月本や佐久間にとってのヒーローに押し上げたのだ(ここに、ジャンプ方程式たる努力・友情・勝利の概念が見えて、その意味でも書き込んでるなと思えたものだ)。風間は卓球を「自分のためにやる」と言っていたが、彼も星野のようになりたかったのでは…と勘潜ってしまう。
そんな二人だからこそ、彼らの対決は素直に良かったと思える。派手なアクションや演出(風間のバックにドラゴンでも飛ばしますか、笑)もそうなのだが、何より風間の散り際が本作最高だった。あの満足気な顔の奥に潜んでいたのは、多分自分に足りなかったものをはっきりとした形で伝えてくれたことへの感謝なのではないか。この時、王はヒーローとなる資格を得たのだ!!
そんなこと考えてる俺は、本作で最も人間らしくて魅力的な男は風間であると信じて疑わない。
本作最大の見所は、星野と風間なのである(超個人的見解)。

…長々と書いてしまったが、それ以外についても少し。
個人的に、月本はあまり好きではない。この男の態度は、星野や風間をバカにしているようにしか見えなかったから。後半では努力の図も見られ、そこは、まあ悪くないのだが…
それに、俺は月本など脇だとさえ思っている。星野や佐久間と対比させ、終盤で星野を引き立たせるための、頻繁に顔を出す脇だと。個人的な見解に過ぎないが、彼の役割は物語の核に迫っているとはどうにも考え難いし、成長や努力の描写も今一つ。
あと、気になった問題点として、子役の棒読みが過ぎるのでは?何と言いますか、学芸会レベル…まったく、これだから俺は日本の子役が嫌いなんだってーの。

色々考えた結果、本作は「ウォーターボーイズ」とはまた違ったタイプの良作だと思える。派手な外見だけでなく、そのストーリー性の高さにも十分注目できる、見応えのある作品だ。勿論、役者さんたち(一部除く)の演技力にも支えられているのは言うまでもない(竹中さんのゲイっぽい監督のキャラも絶品ですな)。とは言え欠点も割と多い…まあ、今回は甘口で「とても良い」。クドカンって、意外といい脚本書けるじゃないの。少し見直したかな。

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