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サイコ (1960)


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英語タイトル: PSYCHO (1960)
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漫画:PSYCHO+ / ドラマ:サイコ(サウンド・ストーリー)

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[獲得推薦数:1] 2007/01/28 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/]
by HUNGRY SPIDER 評価履歴[良い:173(41%) 普通:69(16%) 悪い:181(43%)] / プロバイダー: 3586 ホスト:3751 ブラウザー: 7395
何故幽霊や都市伝説が怖いかと言うと、それ自体が物理的な形をとっていない、未確認の存在だから。本作における恐怖感というのは、それに近いところがあるように思う。

話は、簡単に言えばマリオンが金を盗んでトンズラしたところ、旧道沿いに建つ安モーテルで…といった単純なものである上、展開自体は結構遅いのだが、それでもダラダラせずに十分な緊迫感を持たせたまま最後まで魅せてくれる。この理由はやはり、演出の素晴らしさによるものだ。
正直、本作のように展開の遅い作品は作るのが非常に難しいものだと思う。冗長な作品になってしまう危険性と常に隣り合わせの関係にあるからだ。そこで、最も大切になるのが、その危険な遅さをプラス方向に持っていく演出であるが、本作のそれはまさに「一級品」との形容が相応しい。
例えば序盤の車内のシーン、ただ(しかもかなり長い時間)運転してるだけなのに、全く退屈だと思わなかった。そこにマリオンと関わった人の意味ありげな台詞を(恐らくは彼女の脳内で)リフレインさせることで「逃げている」ことに対する不安感を醸し、同時に音楽によって更に相乗効果を齎している。特に雨が降っている時など、雨自体が隠れ蓑になってくれている安心感と上記の不安感の両方が入り混じり、何とも言えない複雑な感じがしたものだ。
この例もそうだが、全編を通してわかったこととして、本作の演出は、基本的にはかなり感覚的に恐怖に繋げている。簡単に言えば登場人物の言動よりも、音楽やカメラワークを駆使して作り上げて「雰囲気」そのもので「怖い」と思わせているのだ。これこそ、本作の真髄だと感じている。物理的には確認できない影が迫り来る、形容し難い不安や焦り(「恐怖」はそれが進化したものかな)を、その雰囲気で伝えきる作りの上手さを、自分は本作の中で最も高く評価したい。
本作でなされたような、様々な効果の使い方を指して「演出」と呼ぶのだと、今は思っている。

それと、自分が「伝説の惨劇」に対して抱く感想は、(少々特殊かも知れないが)女の裸の撮り方が非常に上手、というもの。当時、映画界では結構規制が厳しかったらしいのだが、それにしても一部しか撮ってないのによくここまで妖艶さを伝えたものだと、変な意味で感嘆してしまった(笑)。惨劇に関しても、直接的にマリオンが刺される場面どころか犯人さえも映さず、彼女の顔と声と流血だけで十分伝えることを伝えきっているのは、流石「伝説」になるだけのことはあると、素直に感心。

Psychoとは、直訳すると「精神病患者」の意味。そう言っちゃうとなんとも差別的なタイトルっぽいのだが、目に見えない怖さ、即ち見てるだけで精神的に蝕まれていくような感覚(錯覚?)が堪らない本作だ、タイトルはまさに作風を象徴していると言えるだろう。また、本作のラストにはどんでん返しが起こり、それによって一層「Psycho」が意味深なものになっている。それがどんなのかは、ここでは言わない。どうかご自身の目でお確かめを、とオススメする価値は十分にある名作だろう。
自分はサスペンスというジャンルには非常に疎く、そのジャンルで真剣に見た初めての作品が本作だったわけだが…また随分とハイレベルな作品が基点になっちゃったもんだ(苦笑)。評価は、素直に「見てよかった」と思えるので、「とても良い」を進呈しようと思う。何故最高じゃないのかと言うと、不明瞭だと思えた台詞回しがあったからである。

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