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無限のリヴァイアス
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読み仮名: むげんのりうぁいす / 英語タイトル: Infinite Ryvius (Mugen no Ryvius)
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] 2006/06/12
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アマンドの木
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初めての投稿に当たって、この作品を選びます。自分にとっては、この作品は「最高の作品」だと信じて疑わないから。
この作品、一見すると各個人の悪意や敵意を押し出しているように見えます。ですが、その裏には明確に「社会」が存在する。「女が生き延びるには男を咥え込むしかない」という随所に見られる人間関係は、まさに個人の領域の話ではなく社会、しかも否定すべき社会の構造です(男女共同参画社会が未だに「理念」でしかない現状と同様に)。
その他にも、既得権益の侵害に対してそれまで敵対的な関係だったキャラの意見が「既得権益維持」で一致するとか、どれほど政権が交代しても「官僚」のみは安泰であるとか、官僚が情報を統制する事によって政治を動かすとか、その官僚に食い込むためには「色仕掛け」が手っ取り早いとか・・・現実社会のシステムが物の見事に、閉鎖された小社会に発生している。
銃による支配、巨大ロボによる統制、これも個人の思惑ではなく「政治とは暴力装置である」という真実を端的に表すものでしょう。そのため物資の困窮という「経済の疲弊」が政治体制を揺るがすという結果を、常にもたらしていました。(ポイント制という配給システムは「貨幣経済」を表現するための仕組みだと思っています。普通あの状況ならある程度の不正はあっても均等配分以外の発想はないと思う)
このように現実社会に似た構造を持つ世界で、主人公はいかに生きるべきか。これは個人としてより良く生きることを目的とするのではなく、あくまでも「社会の中で」より良く生きることを考えなくてはならないということです。この「社会」という観点を持ち出したアニメは、もの凄く少数派だと思う。
そしてこの作品、あれだけ暴力の応酬を描きながら、暴力の勝利を描かなかった。テロやクーデターといった手段による(勧善懲悪的)「悪の排除」は、アニメなら普通にやることです。それをやらなかった。逆を言えば、主人公に暴力という手段を最終的に行使させないために、それまでの暴力を描いたのだと思う。
本来なら、論理による対話で「政治という暴力装置」を一部の人間の占有物から、全ての人間の共有物に変化させていく過程を描くべきなのですが、それは出来ていません。もっとも、現在の民主主義の基礎が「革命」という暴力によって誕生した事を考えれば、致し方ないことなのかもしれませんが。
その代わりに、あの世界に渦巻いていた「狂気」に対して「笑顔という理性」を対峙させる事によって、暴力に対する勝利を描いています。『右の頬を打たれたら左の頬を』という言葉は適切ではないかもしれませんが(この作品では宗教も社会システムの一部であり限定的な暴力装置として機能している)、暴力の応酬を止める唯一の方法は「自分の方からそれを止める」という最大限の勇気であり無上の優しさを示す事なのだと描いています。
しかし、それではあの世界は救われないだろうという、いかんともしがたい現実もその背後で展開しています。彼らは自力で助かったのではなく、外的要因で救助されたにすぎません。
そのため救助された後の現実は、ささいな変化しか表れていない。ただそれに対するやるせなさを背景にしながら、それでも主人公たちは成長したし変わっていくんだ、と希望を描いてもいます(それがささやかなのがイイ)。
誰一人として事態を打開できるヒーローのいない世界。その中で「自分自身」は何をすべきなのか。それを突きつけられ続ける作品でした。だからこそ見ていて辛い。何も出来ず「その他大勢」として、不正に目をそらし、暴力に屈服し、権力に媚を売るであろう「自分自身」が画面の中にたくさんいるから。だからこそ主人公は、「肉体的・技術的」に使えない男であっても輝く。
ロボットに乗って敵をやっつけるのが主人公ではない。世界を救うのに暴力は要らない。あまりに健全な主張を不健全な世界で描ききった作品だと思います。
ただ、もう一回見ろと言われたら躊躇する。たとえオチが分かっていも、痛すぎる。でも、一回は見ておくべき作品だと思う。
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