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精霊の守り人


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読み仮名: せいれいのもりびと / 英語タイトル: SEIREI NO MORIBITO
注意: これはアニメ版。その他メディアのページ
漫画:精霊の守り人 / 小説:精霊の守り人

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[獲得推薦数:1] 2007/10/30 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/]
by 37moto 評価履歴[良い:99(99%) 普通:1(1%) 悪い:0(0%)] / プロバイダー: 3676 ホスト:3523 ブラウザー: 7299
アジアを思わせる架空の世界を舞台にして、ある事情から父である帝に命を狙われることになった皇子チャグムと、その母
に彼を守るよう請われた女用心棒バルサの運命を描く、ファンタジー.アドベンチャー+α。原作は上橋菜穂子の小説(筆者は
未読)…最終評価につき全面改稿。

TVアニメとしては屈指の作画を見るだけでも価値ある作品。都会の雑踏、厳かな宮殿、緑豊かな里山、そして普段は窺い知
れないもう一つの世界。こうした場所に備わる空気の肌触りまでも巧みに表現した映像は、ほとんど破綻がなく、おそらく
このまま劇場で上映しても遜色ない出来栄え。特にCG作画の自然ななじませ方はすばらしく、本作が当面のマイルストーン
になると思われる。原色を抑えた自然な色彩設定、美しい背景美術、よく考えたライティングといった部分も魅力的で、作
品の雄大な世界観を支えている。
人物の動きが丁寧に描かれている点も高く評価したい。バルサ達が見せる殺陣の躍動感あふれるアニメーションは絶品なの
だが、立つ.座る.あるいは食事をするといった、ごく普通の動作にこそ本作の実力を感じる。人物の瞬き一つとっても魅力
的というのは少々買いかぶりすぎだけど、キャラクターの動作がアニメとしてではなく生き物として自然に見えるというの
は、実はすごいことだと思う。(極端な比較ですが)「パタリロ」と好一対を成す傑作といえよう。
そうした作画で表現されるバルサ達の豊かな人間性が、本作の魅力の源泉だろう。どんな端役であれ、物語にかかわるキャ
ラクター全員に歩むべき人生があり、それを全うするために誰もが誠実に生きている。その姿が実に美しい。22-3話で語ら
れたジグロのエピソードが、チャグムの人格に大きく影響を与えるといった、人物そのものの魅力が物語を動かす進行が随
所にあったのも、本作ならでは。
また、大人が大人として描かれている点に好感を持つ。三十路の「おばさん」がヒロインというTVアニメも珍しいが、彼女
が年齢にふさわしい人格と経験を備えたキャラクターとして描かれたことが嬉しい。サブキャラ群も含めて真の意味で大人
(たいじん)が物語を紡いでいく様子は、見応え十分。
また、チャグムの独特の人物像が絶妙のバランスを見せている。第2皇子という微妙な立場と、自立した一人の聡明な少年の
自我がうまく溶け合い、本作の主人公にふさわしい独特の風格があった。楽しい相方トーヤに俗世間を教わっていたはずが、
いつの間にか自分が世間を煙に巻く側に回れるようになるとは、彼自身思っていない…いや、そんなことすら自覚していな
いところが、彼の育ちの良さをうまく感じさせてくれて、心地よい(10話)。こっそり様子を窺っていたバルサが「寝た子を
起こしてしまった」と感慨にふけるあたりも、保護者としての視点がうまく描かれている。
そのバルサが買ってきた服装で一気にチャグムが大人びる描写(23話)には、身震いするような思い。単に見た目だけでなく、
彼の内側からあふれ出る人としての魅力が深まったことがこれほど劇的に表現されたシーンは、TVアニメでは稀有の存在だ
ろう。こんなキャラクターが生き生きと動く作品は、それだけで十分に面白い。
こうした綿密な描写に支えられることで、あの重厚な物語がはじめて活きた。キャラクターが誠実であるがゆえ、物語に小
細工が利かないのだが、そんなものは必要ないと終始堂々とした語り口で綴られたストーリーは、歯ごたえたっぷりで味わ
い深い。多少の揺らぎがあっても、物語の進む道は終始一貫しており、安心して世界を追いかけることができた。最終盤に
向けてちょっと性急な印象になった点が個人的には惜しいのだが、作品全体を通じて、物語が動いてゆく力強さを存分に楽
しめたのは、TVアニメでは久々の経験だった。
最終話、バルサ達を謁見する皇太子チャグムと、バルサ達に別れを告げる少年チャグムの対比が巧い。ここで必要以上に別
れの場面を引き伸ばさないことで、エピローグに向けてさわやかな余韻を残す演出に、筆者は酔いしれた。この大冒険で成
長したのはもちろんチャグムなのだが、バルサやタンダ達も同様に人間として豊かになったのだ、と改めて実感させてくれ
た。
主人公2人に舞台系の役者を揃えた声優のキャスティングはお見事。バルサ役はもともと演技力十分だが、難役であるチャ
グムを演じ切った声優の成長ぶりが楽しみだった。脇を固める方々の演技も魅力的だった。また、ほぼ毎回登場する食事
シーンの描写が効果的で、かつての「バイファム」を思い出して感慨深かった。
こうした真の意味で重量級の作品は現在のTVアニメのトレンドから大きく離れており、それだけで毛嫌いする人がいるか
もしれない。それをあえて選択し、一つの作品として見事に開花させた製作スタッフの努力に、筆者は敬意を表します。

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