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巷説百物語
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読み仮名: こうせつひゃくものがたり / 英語タイトル: Kousestuhyakumonogatari
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2004/06/06
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暴走天使
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初めて読んだ京極作品がコレでした。
時代に乗り遅れすぎです^^
「巷説百物語」は又市一味の仕掛けを焦点にあてた「必殺仕事人」もの。
語り手が変わったり、物語中の節ごとの時間配置をバラバラにしたりと、仕掛けだけでなく文章表現にも凝っていて、大変楽しめました。鈴の音と共に発せられる「御行奉為」という台詞には、惚れ惚れとしてしまいます。カッコイイ。ほんとに。
唯一、他の話と違う趣を感じる「帷子辻」。御行の又市シリーズ(というらしいです)「嗤う伊右衛門」とリンクしており、また、又市の内面が(巷説百物語の中では)少し描かれています。話としても、救いが無く、哀しい結末でした。
「続巷説百物語」は、短編集という形式をとりながらも、数々の伏線が散りばめられており、「死神」で一本に繋がるという、粋な長編になっております。
治平やおぎんの過去が分かったりと、さらに人物に感情移入できました。
「死神」では、巧妙に仕組まれた、藩主を相手取った大仕掛けや、口先で藩民の心を操ってしまう又市の底力にも圧巻です。
テイストとしては、「帷子辻」と似ていますね。人の業の哀しさが全面的に出されています。読んだ印象は「切ない……」でした。
最後の「老人火」は、胸に穴が開いたような気分になってしました。治平の死に「天狗」達の死。そして、又市らと百介の今生の別れ。
ああ・・・思い出しただけで切なくなる…
「後巷説百物語」は、終わってしまった物語独特の虚しさとでも言うべきものが漂っています。時は巡り、明治十年。御行の又市、おぎん、治平、徳次郎等は既に亡く、彼等は、齢80を過ぎた百介の回想にしか登場しません。
又市たち夜の住人たちに憧れながらも、結局は決心がつかず、昼の世界に残ってしまった百介。手が届く世界でありながら、その世界に足を踏み入れる勇気を持てなかったのですね。だからこそ、又市たちの生き様に憧れる。ヘタレであるからこそ、裏の道なら裏の道を、表の道なら表の道を行く、一貫した主義を持つモノに惹かれるのでしょう。しかし、それは我々読者も同じなのではないでしょうかね。しっかりと根を張った巨木に、安心感を感じる人もいるでしょう。それは、自分がしっかりと地に足を付けていないからこそ、その感情を抱くのだと思います。
ここでの巨木。それは又市ら化物遣いです。
私は又市、おぎん、治平という人物に魅了されてしまいました。本当に大変魅力的でした。
それは、日々をなんとなく生きていた百介もそうだったのでしょう。
又市は、百介の前に突然現れ、そして突然消えてしまう。まるで、それまでの日々が夢か幻であったかのように。百介は、彼等と共にいたという証を求めます。それは、自分が「生きていた」証でもあるのです。
ある時、老いた百介の元に来た若者の話から、又市が、少なくとも20数年前まで生きていたことが分かります。その時の嬉しさ、懐かしさ。なんか、百介の感情に、読んでいるこちらも感化されてしまい、胸がはちきれそうになりました。
又市たちはもういない。でも、確実に存在していた。あの日々は夢などではなかった…!そんな、百介の気持ちが伝わっていました。
その後、百介は一世一代の御行を行います。血に塗れた御坊の悪事を暴いたその時、耳に届いた鈴の音。そして、「御行奉為」の声……。
果たして、その声は幻だったのか…。
そして、百介は静かに息を引き取ります。又市たちとともに、妖怪を必要としなくなった「明治」という時代から去っていきます。世の哀しみを埋める存在は必要なくなった時代。だから、消えてしまった……。
でも、読者は残される。残されてしまう。終わってしまった物語をかみ締めながら。
怖いのだけど観てみたい、壊されるかもしれないが、試してみたい。まさに百物語なのですね、この作品は……
読後、感じたことは「寂しい」ということでした。本当に寂しい。もう、彼等に会えないのかと思うと、自然と目頭が熱くなってしまいました。なんせ、次のシリーズが始めるとは知らなかったもので。
「怪」にて「前巷説百物語」が始まるそうですね^^
買いたいのですけど、どこにも売ってないんですよねぇ…。無念。
どうも、又市って、私の中で竹中直人さんと被るんですよね。田辺誠一さんは、合わない……
キャストを変えて、またドラマ化してくれませんかねぇ……。
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