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ギャラクシー・クエスト


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英語タイトル: Galaxy Quest

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2007/07/24 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/]
by HUNGRY SPIDER 評価履歴[良い:173(41%) 普通:69(16%) 悪い:181(43%)] / プロバイダー: 5251 ホスト:5015 ブラウザー: 7395
「スター・トレック」は未見。
この作品はパロディということで、視聴前、懸念という名の不安感は隠せなかった。パロディであることの懸念其の一、不真面目な作品になってはいないか? 懸念其の二、元ネタに頼り切って未見の視聴者に置いてけぼりを食らわせないか? まぁ、パロ作品全てを否定するわけではないが、単体で見る以上はどうしてもハンデを感じさせてしまうのは、この手の作品の宿命と言えるかも知れない。
しかし、実際に見てみると、これが単体として見ても面白く、しかも「作品」として物凄く真面目な作りをしていたので吃驚。見事に「パロディ」が与える先入観を破壊(克服)してくれた感じで、非常に心地よい(個人的には、この部分だけで本作には絶大な価値があるとさえ思っている)。

何に最も真面目さを感じたかって、そのストーリー性の高さだ。
本作は一見するとひょんなことから俳優さんたちが本物の「ヒーロー」になって活躍する、血沸き肉躍る冒険活劇のようだが、本作の価値はその冒険活劇の側面と、真摯に語るべきテーマ性を、絶妙な匙加減でもって融合していて、尚且つそれを胡散臭くならず解りやすく伝えきれていたことにあると思う。

この作品は、ある意味「ラヂオの時間」以上に、作り手側のことを上手く伝えていた。もっとも、作り手側といっても俳優さんに限定されてるけどね。
序盤に於けるギャラクシー・クエストの登場人物は、紛うかたなき「ダメ俳優」でしかない。何故なら皆、愛を持っていない(正確には持てない)から。自分の役柄に愛を持てない人物なんてのは、俳優のみならずどこの世界でも「ダメ」な人材だ。それを特に体現してるのが、陰口にショック受けてファンを邪険に扱うジェイソン(艦長役の人)だろう。ファンに笑顔を売ることも仕事の一環たる俳優さんにとって、一時の感情でファンを突っぱねるなど言語道断も甚だしいところだが、結局その行為を引き起こしたのは、彼の役柄に対する愛のなさだろう。本当に役を愛してるなら、「俺はこんな役をやったんだ」と胸を張れる筈だ。とまぁ、彼のダメ俳優振りが、最初に鮮烈な印象を与える。
そんな彼らが、宇宙で活躍することによって自らの役柄に誇りを取り戻し、徐々に愛を感じ始めていく、この変遷は絶妙だ。彼らの意識変革が、手に取るようにわかるし、尚且つそれを不自然と感じずに済む。
思えば、燃料を補給するまでは、不協和とも言えるくらいにクルーの人間関係は刺々しいものだった。「俺が俺が」状態に陥る者、都合のいいように役柄を言い訳にする者の言動が兎に角目立つ。冷静なクルーも一応はいたが、完全に機能を殺されてる感じだ。こんな状態では「団結」なんて無理。そんな関係を緩和するが如く宇宙人の横槍が所々で入るが、この段階では空しく響くだけ。
物語の中盤、敵さんの潜入によってクルーが身分を明かさねばならなくなるのだが、このシーンの持つ意味は重要だ。ここでクルーは、自分の身分を、自分たちを「神」と崇めてる民族に明かす。見ていて非常に心苦しい場面。その重さは、マセザーの表情からも見て取れる。しかし、ここでクルーは自らの役柄、立場を真に受け入れることで、役柄に対して確かな誇りが芽生えるわけだ。思うに、これまでの彼らは、自分の役を宙ぶらりんにしていた。「それでも役者か」の言葉に言い返せないアレックス、「あたしはこんな役なの!!」と半ば逆ギレ状態に何度か陥るグエンなどはその好例で、自分と役柄に折り合いをつけられない未熟さが感じられる。そんな未熟さを、「告白」は成熟させる。本作で最大の転機はここなのだ。
受容の概念は、終盤で役への愛に変貌する。アレックスの、あれだけ嫌っていた「トカゲヘッドの…」という例を出すまでもなく、クルー各々が自らの役割を全うせんと奮戦する様子そのものから、それが見て取れる(クルー全員に重要な見せ場を作っていたところなどは本作の脚本の完成度を物語るところ)。そして役への愛は作品への愛に昇華される。邪険に扱われたオタク少年にナビゲーターを頼むなど、緊急事態とは言え作品のことを思ってなければできないことだ。これまでの心理的変遷に説得力があるので、彼の再登場には思わず唸ってしまった。
そしてラスト、感じられるカタルシスは絶大なものがあった。オタク少年の一団がヘリポートの役割を果たすという、この作りが憎い。このシーンは序盤の、ないがしろにされたファンと、半端な意識の俳優が真に「ひとつ」になっているように思えて。何気にここで「俳優はファンに支えられてるのだ」と暗示してると言えば飛躍のしすぎかな。
長々と書いてしまったが、要するにこの作品では、登場人物の心理的変遷を中心に据え、役者の意義を真摯に描ききることに成功していたと思えたわけ。
また、本作のキャラ立ては見事だ。クルー全員の個性を引き立ててるばかりか、相応の活躍の場まで与えて強く印象付けてくれる。これは活躍する人員を絞ったが故の成果と言えるだろう。

それだけでなく、純粋なスペース・オペラとして見ても面白い。
まぁ、この部分は悪く言えば「手堅い」程度の、普通の面白さといったところ。息を呑む映像効果だの派手なアクションだの独特な雰囲気だのといった、王道的な楽しみに関しては、さほど特筆すべきところも感じられない。映像は1999年にしては地味な感じだし、音楽も強烈さはあまり…それに異星の獣が転送されてくるシーン…あのグロさは思い出したくないかな。恐怖生物との抗争を描いたSFホラー「エイリアン」じゃないんだから…ただ、SF特有の設定トリック(終盤でわかります)は、ご都合主義を上手に生かしてるかな、と思えたけど。これは伏線の妙技と言うべきだが、それ以上にジェイソンの機転が光っている感が強い。
まぁ、SFとしてはそんな感じなのだが、上記のテーマを上手く脚本に絡めた上で楽しませてくれたのだから、本当に見事な仕事だと思う。グエンは「シナリオライター最悪!!」と言ってたけど、どうしてどうして(笑)。本作のライターは素晴らしい仕事をしてますよ。脚本にこれほど見応えを感じた作品は久しぶりだったからね。

そんなわけで、パロディとは言いつつも、真面目な姿勢に裏打ちされた、見応え抜群の秀作だと思わされたのでした。いい意味で期待を裏切ってくれて感謝。脚本・物語・テーマ性の強さは「最高!」レベルではないかとさえ感じる。しかし、純な「活劇」としては「普通〜良い」クラスだと思えた(そこまで求めるのは贅沢か)ので、評価は「とても良い」とさせていただきたい。原典を知らずともここまで楽しめちゃったんだから、このことからも、よくできてんだな〜なんて実感させられます。

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