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藤田和日郎短編集 夜の歌
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読み仮名: ふじたかずろうたんぺんしゅうよるのうた / 英語タイトル: Fujita Kazuhiro-Collection Of Short Stories. Yorunouta
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2007/12/20
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古代米ダブル
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藤田和日郎先生の短編漫画集第1弾ですね。デビューしてから『うしおととら』が連載されている時期までがこのなかに入っています。
いやぁ……流石です。藤田先生は魅せるべき場面では徹底的に魅せる漫画家ですので、1〜2話完結の短編でもその実力が充分に発揮されています。
では、それぞれ収録された話について触れていきます。
『からくりの君』
からくり人形を操る蘭菊と、幻術の達人である忍の加当段蔵が、城の当主を相手に戦う話です。この話はまさに『からくりサーカス』の原型ですね。登場人物の名前といい、設定といい……
この話の人形は、純和風なデザインがいい感じです。特に太郎丸は『からくり』にはあまり出て来ていないタイプの人形で良かったと思います。でも「三郎丸」がいないのは何故でしょうか?
読んでて背中がムズムズするような作品でしたが、裏を返せばこの作品がそれほど雰囲気が伝わるものだということでしょう。藤田先生ならではの冒険活劇が、短いながらも一気に楽しめる良作だと思いました。
『掌の歌』
藤田作品で形意拳といえば真っ先に『からくりサーカス』の鳴海が浮かびますが、そのなかで崩拳の名手である「半歩崩郭」郭雲深(峪生)の話です。獄中での修練の結果編み出したとされる「虎撲手」は『からくり』でも使われてましたね。
何も掴むことができない手に何ができるのか?という話ですが、この話は特に看守さんがいい人だと思いました。こういう人を「徳のある人」って言うのかもしれません。最後の締めも良かったです。
少し短い話ではありましたが、どこか心に響くいい話でしたね。
『連絡船奇譚』
藤田先生のデビュー作品ですね。妖怪「ころび」と、その呪いと戦う一族の青年との戦いを描いた話で、もうこの頃からおどろおどろしい絵柄と激しい戦闘描写が確立されています。青森から函館まで連絡船を用いて移動するという設定は『うしおととら』の「鎮魂海峡」を思い出しますね。また、『からくりサーカス』にも「転(ころび)」という技が出てきますし……
絵柄は粗いものの、この作品はまさしく藤田作品の原点です。したがって、私的な評価は高いです。
『メリーゴーランドへ!』
メリーゴーランドへ行きたくて病院から抜け出した亜矢のために、空手の強い「鉄の愛賀」こと平吉がメリーゴーランドへと連れていく話です。
この話は、藤田先生の「人間ドラマ」という面での原点といえるでしょう。子供に元気を与えることの大切さが込められた作品です。「ちっちゃな子の一生懸命な頼みもきけねーんなら…大人なんかやめっちまいなっ!!」という台詞が良かったですね。
まぁ、このドタバタとした異様なテンションの作風は藤田作品では珍しいですけど、こんな感じのも描けるんだと改めて関心しました。
『夜に散歩しないかね』
探偵の削夜秋平が、とある殺人事件を解決する大正時代を舞台とした話です。
夜の静けさと(藤田先生は、夜の描写が実に上手いですね)、大正浪漫のあふれる佇まいがいい雰囲気……なのですが、この短編集のなかではかなり大人向けですね。死体を芸術にするというかなりスプラッタな話です。
最初読んだとき、この大掛かりなトリックには驚きました。それと、あの生首が転がっていく場面なんかはおぞましいの一言ですね。
少し目を覆うシーンが目立った……とはいえ、これぞホラー作品とも言うべき出来の高さです。特に、削夜秋平のキャラは個人的に気に入ってるので、いつかまた別の話を作ってくれませんかねぇ。
総評ですが、私としましてはどれも甲乙つけがたいですね。藤田先生の連載作品は長期におよぶので、藤田作品について知りたいならまずこの漫画を勧めます(ファンならなおのこと)。うむ……「とても良い」が妥当ですね。
余談ですが、この漫画は50年目の終戦記念日に発売されたんですよね。偶然とはいえ、狙ったのなら凄いです(果たして狙う意味があるのか?)。
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