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ポーツマスの旗
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読み仮名: ぽーつますのはた / 英語タイトル: Flagofportumus
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2008/04/16
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同作者の『海の史劇』と並ぶ日露戦争題材の作品ですが、ポーツマス条約によって、日本海海戦後、既に国力を使い切っていた日本がどのようにアメリカに働きかけ、ロシアとの講和を結ばざるを得なかったかという部分が描かれています。そういった日露戦争の知られざる面をトピックにした内容といえるでしょう。
小村寿太郎外相の苦悩と決断に、どのようにして相手を圧し、どのように妥協するかという部分が描かれていますが、こういった外交の難しさはある意味、砲弾が飛び交う戦場よりも難しい部分があります。砲弾は飛んでこない変わりに、どのようにして、その砲弾が飛ばないようにしなくてはならないかという面を突いているのですから。
東郷平八郎や乃木希典のような人物にスポットが行きがちですが、小村寿太郎の苦闘もまた、日露戦争の勝利に貢献していたし、その小村の奮闘がなければ、日本はロシアに負けていたことは明白だったといえそうです(実際、現在でもロシア人の多くは、日本に戦争で負けたとは思っていない)。
そういった日露戦争の勝利の為に奮闘した小村は東郷や乃木に比べれば、とても目立たなく、地味な存在であるのは否めません。しかし、こういった小村のような目立たないけれど、堅実にしている人が多くいるからこそ、社会派支えられているように思えるし、そういった人がいないと社会は成り立たないようにも思えるし、小村の奮闘は目立たないとはいえ、日本の勝利に貢献したという意味では東郷や乃木以上だったようにも思えます。
しかし、同時に、小村のように良識や常識があり、また、いざ強気で、いざ妥協すべき箇所は・・・という分析する冷静さと、ある部分は捨てなければならないという冷徹さを持つ外交は最近は行われていないように思えるし、そういった外交が日本はどんどんできなくなっていったようにも思えます。
実際、ロンドン条約で、山本五十六が、「米英と建艦競争をしたら日本は負ける。だから、ここは戦闘回避の為に条件をある程度呑もう」と政府や軍部に具申しましたが、全く受け容れられなかったし、井の中の蛙に成り下がっていた日本がよせばいいのに中国に軍を送り込み、戦争を長期化させただけでなく、ドイツ、イタリアと三国同盟を結んだり、勝ち目のないアメリカとの戦争に突入していった事を思えば、本当に小村のような外交をすることができなくなってしまったように思えます。
後の太平洋戦争きっかけのハルノートも許されざる歴史の汚点的なものですが、このハルノートの前に日本が中国やアジアでの不毛な戦いをさっさと切り上げていたり、満州国なんてものを創らなければ・・・と思うと、無念でならない気持ちにもさせられるし、本当に太平洋戦争当時の日本は謙虚さを無くしていたのだと、この当時と比較して、改めて感じました。
けれども、日本や国民は一般的には東郷や乃木を持ち上げ、小村を称えなかったし、それどころか戦争に勝ってもあまり得をしなかったことで、小村を詰ったり、誹謗したりということが当時からあったようです。小村の外交があってこそ、財産と引き替えに日本が負けたり、戦争をしなくても済んだのにという謙虚さが、この時点から少しずつ薄らいでいったように思えます。
そうでなければ、中国へ不毛な戦いをしかけたり、アメリカの喧嘩を買うという無謀な事にはならなかっただろうし、そんな日本の外交の拙さが大戦前や後だけでなく、現在でも続いているし、そういう外交の拙さは、おそらくは小村のような謙虚さと、いかにして戦争を長引かせないようにするかという思考や配慮が欠如していたようにも感じます。
小村は東郷や乃木に比べて、外交という舞台の為に、どうしてもこの二人よりも知名度や活躍で劣りがちというイメージをもたれることがありますが、それでも、戦争終結に果たした貢献度は、東郷や乃木のそれよりもはるかに大きかったようにも思えます。戦争はやることよりも、起こさないようにすることの方が難しいのですから。
しかし、一時の勝利に酔いしれ、大国に勝ったと酔いしれてしまった事が、結局は日本を破滅の方向へ向けてしまった事を思えば、東郷や乃木の大勝利よりも、小村の外交の方をもっと評価すべきだったように思えました。小村の外交手腕の方が、日本を戦果に巻き込むような事はなかったのだから。
そういった日本の外交と、どのようにして大国と胸を付き合い、どの当たりに妥協点を見いだして、外国と付き合っていくかという部分は忘れてはならないように思えます。けれども、日本は小村の外交方法よりも、東郷の訓練によって軍は鍛えられるという方面に向いてしまったし、目先の派手な物に騙されてしまうという人間の心理を思えば、派手なだけで統一されるものの怖さというものを感じました。何故なら、今のテレビ番組でも、そういったものが流されたりしている事が圧倒的なのだから。
日露戦争を終わらせたのは東郷や乃木ではなく、小村だったように思えるし、そういった外交の大切さと、その外交が上手く行かなければ国が・・・という部分は、今の日本や、戦争でチョンボばかりしているアメリカのように思えてしまいます。(派手な戦果ばかりに目を奪われ、地味な交渉に目を向けないところも)
そんな外交というものの難しさと、どうすべきかという意味では、今でも重大課題であるし、戦争に勝ってしまった事で慎重さや謙虚さが失われ、傲慢さが出てきてしまうという警鐘も、後の時代や作品と照らし合わせてくれば見えてきそうです、
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