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フォレスト・ガンプ 一期一会
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読み仮名: ふぉれすとがんぷいちごいちえ / 英語タイトル: FORREST GUMP
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2007/07/04
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by
HUNGRY SPIDER
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ホスト:
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7395
確かに良作であるとは思うけれど、個人的には「ショーシャンクの空に」の方が良かったかな、とも感じた。別に本作とショーシャンクを比べる気はないのだが、感情の揺れの大きさ、視聴後のカタルシスという点では、どうしても見劣りしてしまうので…
この作品での最大の特徴は、ガンプの幼児性ではないかと自分は考える。IQ75という、軽い知的障害を抱えた彼は、極端すぎるほど視野が狭い人間として描かれている。正確に言えば、ガンプは多岐に渡る思考ができない。行動に移すまでのプロセスとしての選択肢が少なすぎるのだ。そのため、彼の行動様式が異様に近視眼的で短絡的に見えてしまうことは、致し方ないことだろう。
この短絡性こそが、幼児性というわけ。「したいからやる」とか「悲しいから泣く」とかは、人間の思考としては最も単純なプロセスを辿るが、それは殆ど幼稚園児の理屈だ。分別がついてしまっては、このようにはできない。様々な外的・内的要因が絡んでくるから。ガンプの行動というのは、まさにそんな感じだった。
さて、ここで重要なことは、そんなガンプの幼児性をいい意味での「愚直さ」「純真さ」として捉えることができるか否かではないかと思う。それが可能であった場合、恐らくガンプの語りが骨格となっている本作は、かなりの良作と映るのではないか。
幼児性と言っちゃ言葉が悪いけど、実はこれこそが、人間が抱くことができる最もまっすぐで、嘘偽りのないキモチであるから。分別がつくと思考も複雑化して、なかなか本当に近い意味で「賢く」なれるのだが、同時に嘘偽りなく物事を捉えられなくなってしまうことも、実感としてあることだろう。オトナになりたくない、という感傷は、そんなことを感じられるから喚起されるものだと思う。
ガンプの幼児性を良きものと捉えた場合、彼はその感傷を引き起こしてくれる存在となる。現実を生きるため、利口にならざるを得ない哀しみが、彼にはないからだ。謂わば彼の生き様は、オトナになると捨て去らざるを得なかった幼児性を全面的に反映しているという狭義的な意味に限ってだけど、オトナの憧憬そのものなのだ。
次々と幸運が転がり込んでくるから彼を羨ましく思えるのではない、自分にはできない、けれどしてみたかった生き様を曝してくれるから羨ましく思えてしまうのだろう。
あと、ガンプの思考・行動が我々の胸を打つ理由も、恐らくはこの幼児性だろう。短絡的思考というのも言葉が悪いけど、逆に考えれば思考のプロセスが少ない分、根源的な思念を強く反映しているとも言える。即ち、本当の意味で彼の行為には忌憚がない。だからこそ、彼の言葉のひとつひとつには、重みが伴っている。数値の面、一般的な尺度から言えば知性に劣るはずのガンプの言葉の方が、豊富な知識と巧みな論により武装した人の言葉よりも心を揺さぶるというのは、ある意味とても皮肉な構図と言えるかも知れない。
ただ、その幼児性を良きものと捉えられなかった場合…即ちガンプの愚直さにシンクロ出来ず、醒めた目で本作を見た場合に於いては、置いてけぼりを食らわせる面があることも、自分には感じられてならない。
本作の根幹はガンプの語りだ。語りの大筋は基本、時系列的な構成がされているが、それは彼の人物に絡んだ様々な人物にフォーカスした上での時系列であるため、散漫な印象を抱く。まぁ実際、そこまでキチンとした筋立てで話すことは容易ではないし、ましてやガンプは…てな感じだから、語りの描写にはリアリティがあるとも言える。また、絡んでる人物の絶対数自体も多いとは言えないので、一人ひとりの人物像の確立にも成功しているとも思える。しかし、オムニバス形式で物語が展開される作品の場合、どうしても性質的に散漫に成らざるを得ないため、一層のこと人物に感情移入できるかどうかが重要になってくる。
そう思ってる自分が何故ガンプに感情移入できなかったかというと…すぐに思いつく理由としては、彼の人生の軌跡、即ち勝手に幸運が転がり込んできたケースが多過ぎることだろうか(本作を快く思わない人は、大抵このポイントで躓くのかも知れない)。いくら愚直に生きる姿の美しさを描いた作品だからといっても、ここまでガンプの人生を苦労知らずと映るものとして描写するのは、正直な気持ちとして白けるし、関った人たちとの絆も、これによって少々軽くなっているような気がする。まぁ、実際はガンプにも相応の苦心があったことは見て取れるが、「苦悩」より「成功」の描写が明らかに多いので、バランスが悪く感じられた。
それに何より、「愚直に生きてりゃ勝手に幸運が転がり込むのか!!」という、妬みにも似た反発が湧いてきたことも否定できない。これは、リアリティがある映画だからでもあるのだが…
上記の不満点は、いずれもジェニーに出会う前を指す。では、ジェニーに出会った後はどうだったか…
ここでは、主にガンプの幼児性に対するアンチテーゼが示されているように感じる。即ち、ガンプの幼児性が全否定されることのなかった前半に対して、避けることができない哀しい現実を彼に突きつけている。これはガンプの人生―一番ほしかったものだけが手に入らなかった―に憐憫の念を抱かせると共に、視聴者を「この作品も所詮は夢物語だ」と、ある意味で作品から突き放す効力がある。つまり現実の視点に戻されるのだ。
この構成には、上手さという意味では文句なし。自分の感想としては、ガンプの涙を少々弱く感じたものの、彼の純粋さは伝わってきたかな、と思う。
普通、ガンプのような人物には苛々するものだが、ガンプに対してはそれを殆ど感じずに済み、それだけでも印象は上々と言える。それを齎したトム・ハンクスさんの演技力は、純粋に素晴らしいと思えた。そんな彼の演技力に支えられた面があるであろう本作の印象も、物語的には多少の不満も残るけれど、決して悪くはない。
総評としては、主観も多分に入っているが、「とても良い」とするにはちょっと感情が揺り動かなかった感じなので、「良い」とさせていただきたい。
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