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読み仮名: どらえもんのびたとあにまるぷらねっと / 英語タイトル: Doraemon: Nobita and the Animal Planet
2006/08/29 悪い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/]
by HUNGRY SPIDER 評価履歴[良い:175(41%) 普通:70(16%) 悪い:185(43%)] / プロバイダー: 5251 ホスト:4977 ブラウザー: 7395
連星は生命体が発達しにくい、ということはさておき…
本作は今までの長編ドラと比べて「見掛け倒し」のような気がしてならない。ドラに耳が生えるファンサービスもそうだが、それより長編の醍醐味でもあった深部のメッセージとなるべきものをあまりに前面に押し出しすぎ、説教臭さが拭えないものとなっている印象が強い。子供に環境問題の重大さをわからせるには、わかり易い説明で効力があったのかも知れないが(俺も環境問題を本作で知った)。ドラ映画のメッセージは一見するとわからない、深いところで発見されるのを待っている、といったイメージがあり、また、それができている作品ほど秀作となる傾向が見られるが、本作の場合は残念ながらそうはならない。
この年になってみると、「主義主張の押し付けが過ぎる作品」といった印象が拭えないが、子供の目で見ればどうだろう。これが、結構よくできているのだ。まず、「動物」というメルヘンティックな要素。二足歩行と言語を習得した動物と、自分も動物になってお友達に。空想の世界でしかありえないことに子供は憧れるものだから、まず設定という大枠での掴みは成功だ。次に舞台だが、遊び場がどんどんなくなっていく地球・緑で溢れた理想郷たるアニマル惑星・荒れ果てた地獄星と、視覚的な対比をこれ以上ないくらいに行っているため、それぞれ強力な印象が残る。「どうなっちゃうんだろう(地球)」「いいなー(アニマル惑星)」「怖い(地獄星)」という風に。それぞれを目に焼き付けたところで、それぞれの星で環境問題を語る。「地球もこのまま行くと地獄星みたいになっちゃいますよ。」恐怖に怯えた単純な子供は、自分の住処が地獄とならないように真剣になる…とまあ、子供の教育アニメとしては良くできている。しかし作品として見るとあまり完成度が高いとは言えないのではないかな?
皆さんの仰る通り、のび太がラッキーマン化するのはご都合主義というのもあるが、それはアイテムの名前の如くFさんが意図して展開したご都合主義なので大目に見ようと思う。むしろ、ラッキーマンより先にそのアイディアを使っていたことに拍手を贈りたい。それよりもあまり感心しないのは、「人間=悪」という一方通行(確かに子供向けの話に二項対立は必要な要素でもある)。ニムゲとは「人間」の意味がある名前だそうだから、まあ人間の愚かさを露呈するにはいいと思うが、子供向けの本作にそこまでペシミズムを詰め込むことはないだろう(もっともFさんは「戦争は人の性」という思想を持つ、根っからのペシミストだったそうだが)。ラストの宇宙連邦警察の台詞も薄い、つまりニムゲの悪行の方が圧倒的なインパクトがあるため、人間(ニムゲの正体)は悪者だ、と映っても文句は言えまい。環境問題といった視点で考えると人間は確かに悪者なのだが…まあ、「だから、環境について真面目に考えろよ」というメッセージを表立たせない分、反面教師としての役割を果たしていると言えば無難だろうか。多感な子供がどう捉えるか、とは別だが。あと、ピンクの靄の話は少し複雑すぎるような…
動物の形をした異性人とのコンタクト、という設定だが、魔法が使えたり小さくなったりというような、心の底から羨ましくなる以前の設定に比べると弱い。また、何兆分の一というとんでもない確率で巡り合った友人といっても、宇宙救命ボートというアイテムのお陰か、「宇宙開拓史」のようにいつ会えなくなるかわからないといった不安や寂しさをあまり感じられず、別れも淡白だった。ただ、バックに流れるドラ主題歌最大の人間賛歌「天までとどけ」は高く昇っていくシーンにこれ以上無いほどマッチしていたが。相変わらず主題歌だけは見事なもので、ニムゲ=人間という構図を考えても、サビの歌詞は「ニムゲのような弱い心を持っている方がいい、自分の欠点に気付き、克服することができるんだから」といった優しさが込められているように思える。「流れる涙は人間だから、弱い貴方は人間らしい」ってね。武田鉄矢特有の、ペシミスト(海援隊の歌詞は、金八先生からは信じられない諦めが伺える暗さを持つものだ)故の優しさが滲み出ている。
個人的な印象として、本作は総合的にまずまずでしかない上、押し付けが強すぎていい印象が一気に薄くなる。この後の大人も耐えうるメッセージの見せ方をしているドラ作品の登場は「ブリキの迷宮」まで待たなければならないし、以降の零落振りから、それが10作目以降のドラ映画では最初で最後だったという感が強い。
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