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ブレイブ・ストーリー


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アニメ:ブレイブストーリー - BRAVE STORY - / 漫画:ブレイブ ストーリー (姫川明版)

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[獲得推薦数:2] 2006/07/05 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/]
by 遠野 評価履歴[良い:235(100%) 普通:0(0%) 悪い:0(0%)] / プロバイダー: 7995 ホスト:8080 ブラウザー: 4184
映画の予告編も、度々CMで見かけるようになった本作。文庫落ちを待って、購入致しました。ゲームのような小説だ、と聞いていたので、ぺらっとした軽いものを想像していたのですが、不安や懸念はあっさりと――とても良い意味で、裏切られてしまいました。
テンポの良さ、明瞭な筆づかい、豊かな感情の起伏。息もつかせぬ展開に、垣間見える深い洞察。約1400ページ、その厚さを感じさせない面白さでした。

物語のはじまり、ごくごく普通の小学生に降りかかる、理不尽な災難。骨格を成す序盤パート、しっかりとした厚みがありました。
日常の喜びや、他愛も無い幻想、プライドや好奇心、他者に対する鬱屈と妬み、遣る瀬無い哀しさと絶望。それらの緻密な積み重ねと、丁寧な織り上げは、流石宮部みゆき、といったところ。亘の感情の揺れなど、特に優れており、彼視点の世界に、問答無用に引っ張り込まれました。
この部分をどっしり描ききったからこそ、その後の幻界でのワタルの冒険にも、説得力と重みを感じることが出来たのだと思います。辛く、痛いシーンが連なるけれど、それらを内包しつつ、頁を捲る手を止まらせない。
彼の父親とその周りをめぐる、あれやこれやに落ちこみながらも、一気に読了してしまいました。

がらりと世界の変わる中盤以降、最初は違和感――もとい取っ付き難さを感じはしたものの、筆運びの巧さに、直ぐに馴染んでしまいました。
剣や魔法には、ちょっとばかりむず痒くもありましたし(私自身が、こういったジャンルの小説を、読み慣れていない為なのでしょうけれど)、型に嵌った都合の良い展開等が、気になったりもしました。
ですが、読めば読むほどに増してゆく、面白さ、吸引力は、それらを払拭して尚、有り余るものがありました。ある程度読み進めて振り返ってみれば、最初に感じた違和感も、箱庭の中のエンターテイメントのようで、楽しいじゃないか、と思えるように。
現世を投影しているのであろう、幻界の社会事情の描写も、興味深かった。某国のあれやこれやを連想させたり、戦時中の暴虐をあからさまに匂わせる記述が挟まれていたり。かと思えば、我が身の回りをさらりと撫でられたり。
見習い勇者のファンタジーだと括っていたら、思わぬところで容赦なく切り込まれる印象。生々しさや残酷さも含めて、重層性のある作品だったと思います。

多種多様なキャラクターの造形も、魅力的。大らかに場を和ませてくれるキ・キーマと、矢鱈格好良いカッツが、特に気に入りでした。
ミツルの在り様は、腹立たしくもありましたが、11歳らしからぬ思想、行動がエスカレートしてゆく様は、やっぱり悲しかった。結果、齎された結末も然り。「おためしのどうくつ」で、彼は何を望んだのか、それが少しだけ気になります。
カッツとロンメルが最期の最後まで、逢えないままだったのも、切なかったなあ。

個人的に終盤も終盤は、些か物足りない印象。それまでは文章の至る所から、イメージが湧き出てくるようなところがあったのですが、最後の盛り上がりに於いては、それが欠けていた様に思えました。
意味深な存在であった彼女の登場、退場が、あっさりしていたのも残念、寂しい。

後味の爽やかなラストは、好印象。ワタルの選択の行く末には、最後までずっと気を揉まされ、ミツルの結末には泣かされてしまいましたが、それらを含め、とても良い物語でした。未来へと続く力強さや、優しさに満ちたさきゆき。気持ちよく本を閉じる事ができ、大満足です。
映画版はどのような作品になるのでしょう。こちらも気になります。

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