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奇子〜AYAKO〜
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2008/02/29
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一言で言えば、手塚治虫版『マタンゴ』とか『蝿の王』、または『八つ墓村』や『犬神家の一族』といったところでしょうか。とにかく暗い作風で、その意味では手塚作品の中では一番暗いものかも知れません。重いトーンと醜い人間模様に、結局はエゴによって引き返せる場を引き返そうとしない部分があり、その為に破滅へと向かっていく・・・という場面と、どんなに醜い人間の行動や素顔を映し出していても、それでも人間の希望とか、美しさを描いていた手塚作品の中では徹底的にダークサイドを描いたストーリーであり、『アラバスター』などにも近い作風ですが、えげつなさを描くという意味ではアラバスター以上です。
登場人物はどれも救いが無く、皆が自分自身のエゴで動いていき、全てが狂っていく・・・というものですが、この当時、作者はスランプに陥っていたという事もあったし、その中で描いた部分もかなりヘビーでした。そういった部分も本作の特徴でしたし、その中で妖艶な女性となった奇子が美しいのに、何故か抵抗を感じてしまう・・・というキャラクターになっていました。こういった毒の強さを出せたのも、さすが漫画の神様という印象を強く訴えました。
本来ならもっとこの作品は長期連載になるはずだったのですが、あまりにも毒が強すぎる作風だったのか、連載が打ち切られたような感じです。しかし、こういった作風の凄さを漫画の神様はよく出せたなと思うことしきりです。今だったら、こんな生々しい作風を書ける人は少ないと思います。
18禁のエルフゲームの『河原崎家の一族』のシリーズにも本作(とゆーよりも、横溝正治作品の印象が強いが)の影響を受けたような匂いがあるし、人間の醜さが、奇子の美しさとの対比として、作風に出ていたし、実際に家庭内での虐待や、拉致・監禁みたいな事が社会に大きな衝撃を与えた・・・という事件は今も起こるのだし、乱れた世の中に今をある意味、神様本人がこのような形で描いていた・・・というのは飛躍でしょうけれど、実際の現状を思えば、本作で描いていたことが・・・と思うと重い気持ちになります。
事実は小説よりも奇なりとはいえ、今の時代と、本作の内容を見比べていくと、絵空事では無かったようにも思えるし、人間のダークサイドを知らなければ、人は自分自身とも向き合えないとも思えるし、重いトーンの本作から学んだ絶望とエゴという側面は、真っ白なままでは生きられない人間というものを映し出していたといえそうです。
もう一度見るのには抵抗がありますが、非常に心に残る作品でした。
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