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2010/03/17 とても良いby HUNGRY SPIDER
この「アクトレイザー」だが、何度やり直しても、これが1990年の作品かと驚かされる。もし知識のない状態で、本作が95年くらいの発売だと言われると、あっさり信じてしまいそうだ。それほどの作品。
【概要】
舞台は魔物に支配された世界。そこで眠りから覚めた神は魔物と戦いつつ領土を広げ、人間を育み信仰心を得る…といった内容。そして、本作では魔物との戦いをアクションとして、領土拡大をシュミレーション(クリエイション)として表現している。そのため、本作にはふたつのジャンルが混在することになる。
【ふたつのジャンルがあること】
FC時代にも、ひとつのゲームにふたつ以上のジャンルが混在するゲーム作品というのは幾らかあった(有名どころではハドソンの「ドラえもん」辺りが挙がるだろうか)。しかし、斯様な作品群は、時代が時代ということもあったのだろう、ジャンルを単発で終わらせていることが殆どなので、「散漫」といった印象を抱かせることも少なくなかった。
けれど、本作ではそんな違和感が非常に小さい。アクションとクリエイション、どちらをやっている時も、「アクトレイザーを進める上で意味のあることをやってるんだ」という認識が消えることはなかった。
それは、両者の役割がきちんとしていたからだろう。本作の基本はアクションだが、そのパートは純粋な実力の勝負。ところが、本作のアクションのレベルは低くないので、適正レベルのまま特攻したら手も足も出ない、ということも起こりうる。そこで、クリエイションモードだ。「人口を増やすことでパワーアップ」「神の力となるアイテムを受け取る」といったイベントにより、時間はかかるものの無理なく神を強化させられる。そして、納得のいくまで強化したところでアクションモードに進めばいい、という「攻略の方程式」がしっかり形作られる。
といって、本作の遊び方はそれに縛られない。腕に自信のある人は、パワーアップもそこそこにアクションモードに挑むという、(RPGのそれとは少し違うが)低レベルクリアに挑戦することもできる。極端なのになると、街を全て焼き払った上でサタンに挑む、なんて無茶も可能だ(笑)。上述の「方程式」に則ったもの以外にも、このような楽しみ方などもできる。スタイルを選べるほど自由度が高いゲーム作品と言えるだろう。
それもこれも、アクションとクリエイション、互いの性質をゲームに上手く反映させた賜物だ。物語の上でもゲームの上でもしっかり差別化が図られ、それでいて両者のリンクも強い。だからやっていてメリハリも出るし、作中に於ける行動に意義を感じることもできる。実に素晴らしい仕事だ。本作のような形で、ここまでジャンルのミックスに成功しているゲームは、かなり少ないかも知れない。
【神であることは自由であること?】
本作に於ける美点は、ジャンルの融合の他に「自由度」が挙がると自分には思える。
上述のプレイスタイルもそうだが、本作の自由度は極めて高い。
まず、ステージがそもそも選択制(但し、入る為には必要なレベルのラインが存在する)なので、それなりにレベルを上げさえすれば、好きな場所から攻略していくことが可能だ。個人的には得意なステージから攻めていくことをオススメするが、苦手から攻めるのも、テキトーに選ぶのもアリだろう。
また、クリエイションモードにしても、街ごとに起こるイベントは好きな順番でこなせばいい。幸い、クリアの為の必須イベントはACT2出現(フィールドの魔物の巣を全て封印した時に起こる)以外にはないと言ってもいいので、気に喰わないイベントだったら無視することもできる(笑)。必須のACT2だって、「棚上げ」が可能だ。逆に、一個一個の街でじっくりアイテム収集をするのもいい。
主人公が神であるのをいいことに(?)、遊び方、進み方をプレイヤー自身に選ばせているようだ。もっとも、はじめのうちは斯様なスタイルを不親切に思われるかも知れないが、本作ではやるべきことをしっかり示してくれるので、本当に道に迷うことは少ないだろう(未開の地にヒントがある場合は少々頭を捻ることになるが…)。つまり、本作の自由度は親切さに裏打ちされた、性質のいいものだ。
神になって好きなように遊べる。これは、本作のかなり大きなアドバンテージではないだろうか。
【完璧なんてありえない】
さて、システムの上では非常に魅力的な本作だが、難点がないかと言われると、そうでもない。それは何かというと、ゲームバランスがあまりよくないこと。
これは特にアクションシーンで言えることだ。例えばカサンドラACT1。ここの必須レベルは4であるにも関わらず、必須レベル6のアイトスACT1より格段に難しい。その他にも、ACT2がACT1より簡単なステージだって少なくないし、ボスの強さがステージの難しさからして明らかに不釣り合いということも頻発していた(特にブラッドプールACT1、いきなりあのボスは相当キツい)。正直なところ、本作の基準レベルは入れるレベルを示す以外、何の基準にもなってないんじゃないかとさえ思える。それから、魔法で消費するMPの設定もかなり雑で、ほしくずの魔法が「万能兵器」になってしまっている。この辺、もう少し調節していただきたかった。
もっとも、バランスがよくないとは言っても、基本は後半になるほど難易度が上がっていくという王道をきちんと踏まえたものになっているので、絶望的なほどの悪さではなく、「少し違和感があるな」といったレベルに留まっていることも言える。ただ、他の面が素晴らしいだけに、バランスが「もうひとつ」なのは、ちょっと惜しいかな、と思える。まぁ、だからこそクリエイションモードで蓄えられる(で、蓄えは膠着の処方箋に十分なりうる)ような、自由度の高い設計にしてあるのだろうけれど…ここは微妙なところだ。
それから、バランスとは関係ないが、アクションモードに於けるプレイヤーの操作性も良いとは言い難く、攻撃の間合いも狭いので、慣れないうちは難儀させられるかも知れない。自分は「そういうゲームだ」と思っているので気にはならないが、少なくともマリオのような快適さは、あまり望めないだろう。こればかりは慣れるしかない。幸い、ステージの構成そのものは良質なのだから。
【演出力はピカイチ!!】
ところで、自分は冒頭で「これが1990年の作品か!?」と申した。今もその印象は変わらないが、何がそれほどの驚きに導いたかというと…あまりにも圧倒的すぎる演出力だった。それは、ゲームシステムも独創的だし、自由度が高いのも魅力だが、時代を信じられなくなるほど「凄い」と思わせたのが本作の演出力だ。
まず、なんといっても音楽が良い。SFCになってFC時代から格段に音質が進歩したとは言っても、いきなり荘厳なオーケストラの音色を流されるのだから参る。アクションステージの曲も実にセンスが良く、とりわけブラッドプールACT1やノースウォールACT2のBGMは思わず聴き惚れてしまうほど。悪い点と言えば曲の使い回しが多いことだが、これは容量の問題から仕方ないとも取れるし、何より個々のグレードが高いものだから、殆ど気にならない。
次に、画面の徹底的な描き込み。アクション画面の美しさたるや、SFCの可能性を十二分に感じさせるもの。FCの画面に見慣れていたであろう当時のプレイヤーにとって、本作の画面は衝撃的だったのではないだろうか。クリエイションモードでも、人間がバンザイしたり家を建てたり畑仕事したりと、アニメーションの部分が凝っていて、見ているだけで楽しい気分にさせてくれる。クリエイションそのものは単調な作業に近いが(アイテム収集を目指せば頭を使うなど、幅広くて面白いところも多い)、こうした人間たちの挙動を見るのが非常に楽しく、内容の割に飽きが来ない。演出如何でここまで変わるのかと、いい意味で驚きだ。
本作の演出という項目は、自分の中では手放しに称賛したくなるもの。まさに「いうことなし」だ。
【物語、それからまとめ】
本作の物語をちょっと語らせていただくと…自分は特にエンディングを「すごくいい」と感じた。自分が育てた街がこんなに大きくなった。自分の育てた人が力をくれた。実に感慨深いこと。美しくも寂しげな音楽も相まって、本作の設定が本当に威力を発揮するのはここではないかと、今でも思う。そして、ノースウォールの神殿を見たとき、ジーンと来てしまった。アクションゲームの物語で感動を味わった、数少ないシーンがこれだ。もちろん、そこに至るまでも、神の目線を持っているがゆえに見られる物語を幾つも展開してくれる。それぞれの街に、それぞれのドラマがある。
本作は素晴らしすぎる演出をバックに、プレイヤーをあの手この手で遊ばせて(遊び方を選ばせて)くれる、とっても魅力的な作品だ。アクションもクリエイションも面白い。バランスの悪さは否めないが、それを差し引いても名作の域にあるソフトであることは言えると思う。そんな名作が最後の最後に、設定にかこつけた、いや設定を活かしきったエンディングを用意しているとなれば堪らない。クリエイターの皆さんに拍手を贈りたい。評価(感想)は「とても良い」だ。
【ところで…】
本作の続編「アクトレイザー2」は、売上が芳しくなかったというが、本作と比較してみるとそれもすごく納得。2はひとことで言えばプレイヤーとアクション面でガチンコ勝負を挑むという、往年のFCソフトのような厳しさを面前に押し出した作りをしており、「遊ばせる」といったポイントを意図的に無視した感さえ漂う。自分は難関ゲームに燃える性質なので、2のような作品も歓迎したいし、何より2はアクションとしてよく出来ているのだが、「遊べる作品」だった「アクトレイザー」で難関アクションだけをやるのは、完成度はどうあれ少し不味かったのかも知れない。
ちなみに自分は本作の「SPECIAL」をクリアしたことがあるのだが、その程度ではとても2に太刀打ちできない(体験談)。「アクトレイザー2」は自分の知る中で最も難しいアクションのひとつだったりする。
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